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モノクロ  作者: 一富士二鷹
1/1

其の一 「殺人事件は突然に」

この小説は、フィクションです。

いつからだっただろうか。


世界に色が見えなくなったのは。





ボクは普通の一般家庭に生まれた。

父、母、妹、ボクという家族構成だ。

ボクは自分で言うのもなんだけどなんでも卒なくこなすことができた。

その分突っかかってくる輩も大勢いた。そういう輩が来るたび僕は不思議に思っていた。

どうしてコイツラは努力をしないで人を羨むのだろうと。大した努力もしてない奴が才能がどうとか言って人を揶揄するのがひどく不快で堪らない。

だからボクハそういう輩にお灸を据えてきた。こう言ってはなんだが当然のことだと思う。そうやってボクは平穏な生活を送ってきた。そうひどく不自然に。

普通の人だったら躊躇するようなことまでやったこともある。


その度に周りの人から止められた。その時ようやく自分は異常だと気づいた。思えばその時からだっただろうか。何かが狂イ始メタハノハ。だからあんな罰があったのかもしれない。


あの日ボクはいつも通り登校に向け朝の支度をしていた。

朝6時に起きて15分程度の朝風呂に入り、ボクと家族の分の朝食を作りコーヒーを嗜んでいた。

普段はあまりテレビは見ないのだが、その時は何故か電源をつけてニュースを見ていた。

リポーターが少し焦った様子で状況を伝えていた。

なにやら事件があったらしい。現場の報告を見ていると思いのほか近所だったので驚いていた覚えがある。

「今日の未明、S県Z市で若い女性と思われる遺体が発見されました。警察によりますと免許証や学生証など身元を特定するものはなく、身元の確認を急いでいるとのことです」

……朝から物騒なことだ。その後もリポーターとキャスターのやり取りが続いている。しかし数分経つと別の話題へと変わっていった。

「おはよー」

妹が降りてきた。それから遅れて父と母も降りてきた。

家族の朝の団欒が始まる。

「今朝近所で殺人事件があったから気をつけた方がいいよ」とボク

「えーマジ? 兄貴私のこと守ってよねー」

相変わらずこいつは頭が悪そうなことを言う。妹じゃなかったら話してすらいないだろう。

「そんなことを言えるのなら心配する必要はないな」

「こら、朝から喧嘩しないの」 母がボクと妹を諌めた。

父は我関せずと言った感じで新聞を読んでいる。

この父親は寡黙で、いつも何を考えて過ごしているのかボクでも予想できないところがある。

いつも通りの朝だった。ボクと妹がじゃれあい、それを母が諌め、父が静かに新聞を読む。

近所で殺人事件があったとは、とても想像できないだろう。


学校に着いて教室のドアを開けると、仲良くしてるトモダチが話しかけてきた。

「おはよう、佐々木。朝は物騒だったな。知ってるか?被害者はうちの高校の生徒らしいぜ。 いやー、朝会とかあんなかなー?あったら面倒だよなー」

コイツは羽鳥。学校でボクが話す数少ないうちの一人だ。羽鳥は接していて楽な人間の部類だ。他の奴と違って色眼鏡なしで接するし、ボクの意見を限りなく尊重する。

明白な上下関係がある訳ではないが、羽鳥は人を見る目には長けているのでなんとなくボクの本質というものを感じ取っているだろう。

そしてボクが羽鳥と接する最大の理由は、情報通だということだ。ボクは、喧嘩を売ってきた奴には誰にもバレないよう、色々と制裁を下してきたのでやっかまれることは多少……いやかなり多い。

そういう時羽鳥がいてくれるとかなり楽だ。相手が手を打つより先に芽を摘むことができる。おっと話が逸れてしまった。


朝の事件か……正直どうでもいいが、コミュニケーションの一環だ。適当に相槌をしておこう。

いや待てよ…… 何故羽鳥は被害者の身元が分かっているんだ?

「おい、なんでお前が警察が把握してないことを知っているんだ」

「あーいや、まだ確定はしてないんだが、部活の後輩が一昨日から行方不明でな。 その可能性が高いかなってな」

羽鳥は接しやすいといったが、多少気に入らない部分もある。こういった憶測で話すところはあまり好きになれない。

「あのなあまり憶測で話すな。人が一人死んでるんだ。少し不謹慎だぞ」柄にもなく感情を出してしまった。

すると羽鳥は少し意外そうな顔をした。

「どうした?鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして」

「佐々木が感情を出すのは少し珍しい感じがしてなー。そこまで深い意味はないぜ。気を悪くしたならすまん! 」

少し驚いた。ボクは誰にも自分を悟らせないようにしていたが、意外と羽鳥は鋭かったようだ。

「いや、ボクも珍しく気が昂ぶってしまった。すまないな」

「いやいやお互い様ってことよ! 」


一通り情報交換を終えた後担任が入ってきて、朝のホームルームが始まった。

「えー、みんなも知っているだろうがウチの高校の近くで殺人事件が起きた。これからそのことについての全校朝会があるから、今から廊下に並べ」

予想した通りだった。どういう内容であれ何らかの情報は得られるだろう。

「やっぱり朝会あるのかー。かったりーなー」

コイツはやはり面倒臭そうだった。



「全員起立! 礼! 」教頭がマイク越しにしてはやや大きすぎる声で言った。

「校長から話があります」

校長が登壇した。

「皆さんおはようございます。 皆さんも知っての通り、今朝大変痛ましい事件が報道されました。」

校長が長々と話している。ボクが欲しているのは情報だ。早くしてくれ。

「そして警察の方から本校に連絡がありました。

今回の被害者は我が校の生徒の可能性が高いと言われました。

私はどうか嘘であってくれと思いましたが、被害者の女子生徒が一昨日から行方不明となっていることから鑑みるにその可能性が高いと思われます。まだ犯人も捕まっていないので、今週から一週間放課後は部活は行わず、集団で下校してもらいます。」


……ふむ。警察は身元に大体の目星をつけたのか。

やはり羽鳥が言っていた通り本校の生徒が被害者だったのか。しかし少しづつ分かってきて、何故自分がこの事件に対して興味を示していたか不思議になってきた。そんなもやもやを抱えながら授業を受け、羽鳥と共に下校をした。


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