第3話 新しい気持ち
恋は甘い香りがする
第3話 新しい気持ち
あれ・・?これは・・夢・・ですか・・?
だ、誰か・・ゆ、夢と言ってくださぁぁぁああぁい!
事件が起こったのは今さっき。
悠馬「俺の好きな奴はこいつだから」
とみんなの前で私の腕を掴まれ発表され
今教室を出て廊下を走っています。
悠馬・・最悪!みんなの前で好きって発表して!
好きでもない私が迷惑してる!
はずなのに・・嬉しくて飛び跳ねたい。
すると音楽室の前で悠馬が足をとめた。
杏里「あ、あの悠馬・・?」
悠馬「な・・」
杏里「え?いまなんて・・」
悠馬「さっきのやつ嘘だからな!」
あ・・やっぱりそうだよね。
あの悠馬が私を好きになるわけないよね。
あー..期待して損した。
どうしよ...今すごく泣きそうかも。
杏里「嘘だって私に分からないとでも思った?」
悠馬「え・・」
杏里「だから!私が悠馬の嘘にだまされたことなんてないでしょってこと!」
悠馬「えーそうかなぁ?俺がお前の大好きなお菓子食ったときも
結局杏里全然気づかなくて最終的に俺が教えたのに~」
杏里「うっ、うるさい!悠馬バカなのにそうゆうのはよく覚えてるんだから~」
悠馬「いやいや~杏里も相当だと思うぞ?」
ニヤリとイタズラ顔で言う悠馬。
またまたドキッとしてしまった。
杏里「うっ、うるさい!」
悠馬「じゃ、戻ろうぜ」
私の目の前から離れて行く悠馬。
私は1つだけ確かめておきたいことがあった。
杏里「まっ、待って!」
私はとっさに悠馬の服の袖を掴んだ。
杏里(あ、とっさに掴んじゃった・・)
もう掴んだ手を離すことはできない。
言うしかない。
悠馬「なっ、なんだよ」
杏里(あれ?悠馬顔・・赤い?気のせいかな..)
杏里「あっ、あのねどうして嘘ついたの?」
悠馬「嘘って?」
杏里「わ、私のこと・・すっ、好きって・・」
私は思わず下を向いてしまう。
手の震えが止まらない。
悠馬「あー、そうしたら美奈との騒ぎ収まるかなって」
杏里「えっ・・」
ドキンドキンドキンドキン
それって---・・・
私が御取ってこと・・?
もうヤダ。悠馬の考えてること何もかも分かんないよ。
杏里「それはつまり・・美奈ちゃんのこと好きってことですか?」
私は下を向いたまま答えた。
これは確認。
お願い。好きって言わないで--
お願い----。
悠馬「は?なんで俺があいつを好きになんだよ」
杏里「へ?」
掴んでた悠馬の服の袖から思わず手が離れる。
悠馬「俺はただあいつのこと好きって思われるのが
嫌で杏里のこと好きだって言っただけだ。
悪かったな。御取みたいにしちまって」
杏里「そ、そうだったんだあ!」
私は思わず笑顔がこぼれる。
悠馬「俺むしろあいつのこと嫌いだし。
で、なんで杏里がそんなに喜んでんの?」
悠馬が不思議そうに私の顔を覗き込む。
杏里「いやあ。喜んでないよ?」
悠馬「いやむっちゃ喜んでた。顔に喜んでますって書いてた」
杏里「よっ、喜んでないってば!」
ベシッ
私は悠馬の背中をたたいた。
悠馬「あー認めたー」
杏里「でも本当に美奈ちゃんのこと好きだったら私応援するからね?」
私は決めたんだ。
好きな人の恋はきちんと応援するって。
さっき悠馬が美奈ちゃんのこと嫌いって聞いて
改めて恋の大切さを実感した気がした。
悠馬嘘ついてないかとかそんなことを考えてしまったからだ。
悠馬「・・・お前の声援なんていらねーよ」
杏里(それってどゆこと!!??)
杏里「な、何それ!?私の声援がなかったら悠馬絶対結ばれないよー?」
悠馬「逆に不幸になるし」
杏里「あぁん?」
こうやって悠馬と遊んでいる時が私の一番の幸せ。
こんな時間がもっと続けばいいのにな。
キーンコーンカーンコーン
悠馬「うわ!マジかよ・・俺ら何時間喋ってたんだ?」
杏里「うわこれ反省文10枚ぐらいのやつじゃん」
悠馬「よし教室戻ろう!」
悠馬が私の手を握り締めて音楽室の前から走り出した。
私も悠馬に負けないぐらいの全速力で走った。
何より悠馬の握ってくれる手がとても暖かくて。
私はもっと悠馬に触れたいと思った。
ギュッ
悠馬「!? 何すんだよ・・」
杏里「え?」
私は手を見ると衝動のあまり手を握り返していたことに気がついた。
でももうごまかしたくない。
杏里「ゆ、悠馬が引っ張るから・・どうせなら繋ぎたいっていうか・・」
悠馬「しっ、仕方ねーな。きょ、教室行くまでこのままでいてやるよ」
階段を駆け降りる私と悠馬。
杏里(あっ・・悠馬顔真っ赤・・耳まで・・可愛い・・)
この時間が長く続けばいいのに。
この瞬間は二度と忘れない私の大切な瞬間。
-教室-
クラス女子1「あっ、美奈!どこ行くの?」
美奈「お手洗い」
クラス女子2「わ、私たちも行くよ!」
-トイレの中-
クラスの女子1「ごめん!美奈!悠馬くんと美奈くっつけるはずが
あの最低女とくっついちゃうなんて思いもしなくて」
クラスの女子2「私も本当にごめん。また出来ることあるなら手伝うから」
バンッ!
美奈はトイレの壁を足で叩いた。
クラス女子1・2「み、美奈・・?」
美奈「じゃあ今すぐ手伝ってよ」
クラス女子1・2「え・・何を手伝えば・・」
美奈「決まってるでしょ?あのクズ女をこらしめるお手伝いに」
続く