表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水泳部1年春  作者: 田尻山 一由
8/24

中学1年生 〜ゴールデンウィーク3〜

何事もなく合宿は進んで行き、今は最終日の午前の練習が終わったばかりだった。リレーでの成績は3連敗。四季、陽介、涼介、泉子の4人は炊事係となっていた。


「はい、昼ごはんこっちです。今日は弁当じゃないみたいなので、少し待ってて下さい。」


「なんか申し訳ないです。」


「謝るならFrのところBrにしろよ。てか、そうじゃないと足引っ張るの分かってるだろ?」


「だって、ダメだって言われましたもん。飯田コーチにFrでBr禁止って。」


「どうせ、これが最後のリレーだから関係ないだろ?それに、終わったことの話ばっかしてもつまらないから、その話は終わりっと。準備終わり。部屋戻ったやつら読んで来てね。自分の責任だとおもってるなら」


「ほら、寝に持ってるじゃないですか。いじわる…四季先輩は意地悪です。」


最後にそう言い残して、泉子は階段を登り始めた。


「行ったから、内線で呼ぶぞ〜。」


ゲラゲラ笑いながら陽介が言った。一番下の階の部屋から順番に、内線を使う。





「やっぱり、先輩は酷いです。意地悪です。性格悪いです。お姉ちゃんよりも悪いです。」


結局、泉子が呼びに行ったときにはみんな動き出した後だったので、誰1人として泉子に呼ばれた人はいなかったのだ。


「あ、姉いたんだ。へぇー…そんなに興味ないけど。」


「興味ありそうに言って。興味ないけどってなしです。そういうの。」


「そういうのは、上げて下げるって言うんだぞ〜。覚えておくといいぞ〜。」


陽介はバカにしながらいった。


「上げて落とすじゃないの?俺知らんけど。」


とは涼介。すると、みるみるうちに陽介の顔が赤くなり、陽介は俯いてしまった。


「うわっ。間違えですか?間違いですか?恥ずかしいですね。訂正で言って間違えて、恥ずかしいですか?いぇ、恥ずかしいですよね。」


泉子は満面の笑みを浮かべた。



ラスト練習の前の移動バスの中で、作戦会議が行われていた。

6 4 3 2

四季 50Fly32.0 33.0 34.0 35.0

100Fly1.10.0 1.12.0 1.14.0 1.16.0

涼介100Fr 1.06.0 1.08.0 1.10.0 1.12.0

200Fr 2.14.0 2.18.0 2.22.0 2.26.0

陽介 50Ba 32.5 33.5 34.5 35.5

100Ba 1.08.0 1.10.0 1.12.0 1.14.0

泉子 50Br 38.0 39.0 40.0 41.0

100Br 1.20.0 1.22.0 1.24.0 1.26.0


それ以下タイム関係なく0.5点


これが、四季たちの紙に書いてあった点数の表だった。


「なんか、きつくないですか隊長?」


「これは、1本泳げば0.5点をひたすらやれって意味ですか?隊長。」


「いや、違うだろ、俺と隊長に楽させて、今までのリレーで足引っ張って来た2人が頑張るってことだろ…ね?隊長?」


「お前は乗らなくていいぞ四季。ただでさえウザいのにお前が加わるとより一層ウザくなるから。」


涼介は一度大きく息を吐いてから続けた。


「50点とるためには、6点を4つとって4点を4つとってしまえばいい。簡単じゃないか。基本ベストを出して、出せない奴も全力でやれば3.4回で終わるだろ。」


「涼介。お前のFrのベストよりも、4点の方が速いぞ?」


涼介の顔から一気に正気が消え、顔面蒼白とは、正にこれよ。となっていた。


「一本目なら、大丈夫。だって、俺天才だもん」


涼介が壊れた。目がいっていたのだ。すると、何故か四季が最も冷静に、正確に今の現状からの最善手を見つけ出した。


「俺らじゃあ2回で終わるのは無理だ。不可能だ。だから、4回で終わることを考えようぜ。1本目で4点、2本目で3点、3本目で3点ダメだったところのフォローで、あと0.5点を1本。これなら、なんとかなりそうじゃね?2本目の3点は涼介は無理だから、それをフォローするってことで、ラストの4本目を、使う。」


みんな、納得顔だった。


「つまり、1本目は全力で、2本目からは落ち着いて、フォーム重視でってことか?」


「その通り。」


みんなの顔は希望に満ち溢れていた。



アップが終わり、今から1本目が終わるところになった。四季たちのチームはリレーで負けてたことで、最後スタートの権利を持っていた。つまり、他の班の結果はでている。石田のチームは何故かみな6点。他のチームは4点や3点ばかりで、0.5点はいなかったのだが。


「涼介1.09.8 四季1.10.5陽介1.18.0泉子1.20.9」


一本目はみんなで100を泳いだのだが、1人だけ足をかなり引っ張っていた。


「0.5点ってなんだよ…陽介。」


四季が怒りのあまり、セームタオルをムチのように扱っている。


「おい、四季。やめるんだ。はやまるなよ?俺だって、全力だったんだ。痛いっ!」


四季は止まらない。陽介も必死に避ける。すると、あっという間に時間は経ち、


「おい、四季。2本目」


飯田コーチから声がかかったため、すぐにスタートの準備をし、飛び込んだものの、慌てていたこともあり、タイムは振るわず結果…


「ほら、10本目これで終わるから。」


ただ飛び込んでいただけになった。


「終わったから、早く着替えてトレーニングルーム集合。あと20分な。ダウンは300Fr」



合宿の閉会式が終わり、解散となったあと


「泉子!お前のせいだからな!俺らがタイム出せんかったのわ!反省しろよ!」


理不尽な発言をしている横で涼介は苦笑い、四季は


「なら、俺のタイムが悪かったのは陽介のせいやな、ちゃんと一発叩かせてくれれば、追いかけたりしなかっただろうし、何より、18秒ってなんやねん。」


4人が仲良く?歩いていると、そこには、もう1人の安達が立っていた。


「お姉ちゃん。この人たちがいじめて来ます。やっつけてください。」


泉子以外の4人は固まっていた。特に、四季は口が開いたままだ。


「お姉ちゃん?」


泉子は首をコトリと傾げ、本当に不思議そうにしている。


「妹が大変お世話になりました。」


安達さんは世辞を言った。なお、その声は涼介にしかまともに届いていなかった。


「こちらこそ、安達さんがまさか泉子の姉だとは思いませんでした。苗字が一緒だったのに気づきませんでした。」


「そんなことはいいです。泉子を虐めたのはだれですか?」


美人の笑顔は怖いというが、美人の笑顔が怖いのではなく、女らしい人のあからさまな作った笑顔が怖いのだな。と、男3人は理解した。


「僕じゃあありませんよ?」

「俺でもない。」

「・・・・」


「知らない人には何も出来ませんよ。でも、今日、覚えさせてもらってもいいですか?」


「いいえ、結構です」


陽介はわなわな震えながらボソッと言った。


「何故、お前は泳がない」


陽介のビビリようをみて冷静になった四季は冷たい言葉で安達秋に言った。


「山Cさんには関係ありません。それに、私は泳ぐのが苦手です。」


「帰宅部になって、何度も練習を覗いてたくせに。それに、「黙って?」…水泳部には入れ。それだけで俺は満足する。安心する。」


「それだけ?」


「元から俺はお前に期待していない。俺の方が才能ある。お前が水泳部にきたら、俺の才能を見せてやるよ。」


「水泳部だけでいいのよね?」


「ああ。」


「明日入部届けを出してあげる。じゃあね。泉いこ?」


「泉子です!」


2人は早足で去って行った。


「何のこと?」


陽介が訪ね、涼介は睨みをきかせたが、


「クラスの気になるあの子が水泳部に入ってくれたら嬉しいだろ?他の部活の人に取られる可能性が減るから。」


笑顔で、冗談を言う四季に呆れて陽介も涼介も、溜息を付くことしか出来なかった。


「それじゃぁ、またしばらく後」


そして、3人とも自転車にまたがり去って行った。


「四季さん待って下さいよ。俺と一緒に帰ろうよ。待ってよ四季さん。」


石田は置いてかれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ