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水泳部1年春  作者: 田尻山 一由
6/24

中学一年生 〜ゴールデンウィーク1〜

主要選手タイム

No.3 相川 陽介(中1入学時)

種目 50 100 200 400

Fly 38.2 1.21.5 ----

Ba 32.5 1.09.9 ----

Br 45.0 ---- ----

Fr 32.2 1.08.5 2.23.9 ----

IM ---- 1.19.9 2.58.4 ----

今日からゴールデンウィークが始まった。今年は4連休だ。しかし、JSC木田の選手達に休みなどはない。


「ゴールデンウィーク合宿初日なので、コースわけのデータするか。奇数Fr、偶数IMで、100×20の2分サークルな。上から、3人で1コースにしようと思う。」


飯田班と山井班合同ゴールデンウィーク合宿一日目である。先輩に1人だけ県の代表合宿に呼ばれているため、人数は21人で7コースあるため、1コース丁度3人になる。


「山井コーチにも、それくらいは計算できるんですね」


陽介が冗談を言う。山井コーチは県内の最も偏差値の低い高校にギリギリで受かった、いわゆる低学歴である。それでも、水泳のコーチに正社員としてなっており、昔は就職しやすかったことがよくわかる。といっても、かれこれ10年くらい前の話である。


「図形とか、方程式とか言われたら分からんけど、答えが2桁くらいの掛け算、割り算引き算足し算くらいはできるわ。」


この発言には小学5年生の石田ですら苦笑い。30手前の大人の発言としては少しかわいそう…否、かなりかわいそうな発言だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


データ後


「あぁ疲れた。データとか二度としたくないわ。流させろー。」


疲れた疲れた…と、騒いでいる陽介。


「みんなだから…疲れとるのみんなだから休ませろや。うっせぇわ。」


とは、四季。


「また、四季に負けたかー。15本目で休んだのがあんま意味なかったか。」


「いやいや。15本目の休憩ないと、追い上げすら出来なくなってただろうから、あれは仕方ないって。」


「だー。くっそー。この1月で大分持久力には自信ついたはずなんになー。」


とは、涼介。「だー」や、「くっそー」は、涼介の口からはいつもなら出ない言葉だが、四季はニヤニヤ笑うだけでゲラゲラ笑うのを必死にこらえている。


「でも、結局俺ら3人で1つのコースやろ?」


「えっ、そうなん?」


「四季から俺までが7.8.9番らしいよ。」


アベレージは、四季がFr 1.15.2、IM1.20.0。涼介はFr1.14.0、IM 1.22.9。陽介はFr1.16.0、IM 1.22.0だった。


「陽。その、「でも」の使い方変じゃね?だって、涼が頭抱えてるのは、コースが上がらなかったからじゃなくて、俺に負けたからだろ?」


ニヤリ。と、四季の会心の笑み。しかし、そのころには涼介も冷静になっていた。


「まぁ、負けたのはしゃあない。次勝てばいいってことだろ?」


四季はつまらなさそうにしているが、無視して涼介が話を続ける。


「午後の練習って3時集合やろ?疲れたまると嫌だから寝るわ。2時半にはおこしてくれ。」


合宿中は2回練習。朝食後9時〜11時半まで、15時半〜18時半までの2回水中練習がある。朝は6時半〜7時までが、全員集まっての体操の時間だ。


「涼は寝てしまったし、ほかの部屋に遊びに行くか?」


合宿中の部屋割は、中学生以上は3人部屋で、小学生は7人部屋である。


「でも、小学生は7人部屋だろ?うっさいしせまくねぇか?」


「でも、2人でだらだらしててもつまらんだろ」


「ちーっす」


これからの話をしていたら、石田がいきなり部屋に入ってきた。


「おい。ノックぐらいしろよ。」


「鍵かかってない方が悪いですよ。ちなみにー、俺のデータのタイムはー…」


「確か、俺の次だよな?中2の先輩とかにも勝つなんてすごいじゃないか。まあ、俺らに勝てないようじゃあまだまだだけどな。」


陽介の満面の笑みが、照り輝いている。


「なぁ…寝てる奴がいたら普通静かにするよな~?」


涼介が眉間にシワを寄せながら四季、陽介、石田…と睨んだ。


「ごめん。」


すぐに謝ったのは四季。少し、陽介の眉間のシワが治まったかに見えた。がしかし、陽介が爆弾を投下する。


「いやいや、合宿は楽しまないとダメでしょ?」


「は?」


「いや、だから『バン』…すみません。」


それ以降一日目は3人の部屋はとても、とても静かだった。

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