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水泳部1年春  作者: 田尻山 一由
5/24

中学一年生 〜仮入部〜

主要選手タイム

No.2.小笠原 涼介(中1入学時)

種目 50 100 200 400

Fly 35.0 1.17.2 ----

Ba 40.0 1.25.4 ----

Br 39.5 1.23.5 ----

Fr 32.2 1.09.0 2.23.5 ----

IM ---- 1.20.2 2.50.3 ----

JSCで班編成が行われてから一週間が経ち、月曜日に仮入部期間が始まってから、2日が経って水曜日。もちろん、JSC木田所属の四季と涼介、陽介の3人と、四季のクラスメイトの大地は、5日間とも、水泳部の仮入部の申請をした。


「なぁ、四季。水泳部って、疲れるんだな。プールの授業とか楽しかったんに、楽しいよりキツイの方が、俺の心を占める割合がデカイわ。」


「4泳法泳げてないやつが、1から教えてもらってるだけだから、結構楽だと思うぞ?お前の今の練習は。こっちの練習は、普段スクールでやってるのよりも、はるかに軽い練習だからおれにとっては楽勝だわ。ただ、2.3年生たちの俺たちを見る視線は、やっぱり、いい気持ちせんけどな。」


「そりゃ、そうだろ。四季と、涼介?と…陽介…だっけか?の3人は2年生の人たちよりも速いからなぁ。昨日の練習の最後だって、200IMの、タイムトライアルしてただろ?あれの時、1年の3人に勝ったのが3年生1人だけだったんだろ?」


「あー…なるほどー…俺らに自分の出たい種目取られるのが嫌だってことかー?」


「そりゃそうだろ、誰だって大会には出たいし、ましてや一年生に種目取られるなんて、悔しいし嫌だろ。普通に考えたら。でも、あの人速かったな。お前らに勝った人。いやぁ、水泳するためにこの学校来た。とか言ってた四季よりも速いとはなー。」


中学体育連盟主催の大会は、1人2種目までかつ、各学校から一つの種目に2人まで。と、大変少なく設定してある。そのため、大会に、出たくても出れないなんていうのは、よくある話である。


「まあ、あの人は県でも結構名の売れた選手だし、負けても仕方ない。むしろ、隣で泳がせてもらったことと、Frまで互角のレースができたことの方が大きいわ。」



昨日の仮入部時…


「今日は最後、200IM測ります。組は…仮入部の人たちから…て、言いたかったけど…仮入部の人…3人かぁ…じゃあ…」


「俺が横で泳ぐよ?てか、俺は新入生たちと泳いでみたい。」


先輩の1人がそう言った。経験者が3人しかいない今日の仮入部参加者にとっては、ありがたい申し出だったので、女部長がすぐに了承した。


「分かりました。じゃあ、お願いします。」


1コースでは、4泳法がの内のいくつかが泳げない人達がつかっているため、2コースから、先輩、四季、涼介、陽介、の順に4人並んでスタート台に登った。


「よーい・・ ハイ!」


Flyは四季の今の専門種目だ…が、先輩がぴったしと横につけている。涼介、陽介と続く。


Fly→Baのターンをすると、四季と先輩に大きな差が生まれ始めた。四季と先輩の差は開き続け、Baが得意な陽介が、先輩よりも速いBaを泳ぎ、Ba→Brのターンの時には四季を抜いていた。


Brになると四季の独壇場だった。5m以上の差をつけていた先輩も、Brの真ん中…丁度125mのターンの時には身体1つ分のリードしかなくなっていた。今まで3人のはるか後方にいた涼介も追い上げて、Brをとても苦手としている陽介を抜いて125mのターン時には陽介と涼介には、身体半分くらいの差がうまれていた。Br→Frのターンで四季は先輩に追いつき、ここからが勝負かのように見えた。


が、しかし。ここからは先輩の一人旅、四季を置き去りにして、175mのターンの時点で四季と先輩の差は5mも開いていた。到着順は先輩、四季、涼介、陽介だった。


「先輩の名前。まだ教えてもらってないので、教えてもらってもいいですか?」


「おい、四季。お前、この先輩の名前知らなかったのか?」


陽介が先輩のことを知ったような口調で言うが、もちろん四季は知らない。が、一応、記憶をたどってみる。


「やっぱり知らない…なぁ。今の中3にそんな速い人なんてBrに1人しか記憶にないし…やっぱり分からんわ。」


「いいよ。俺の名前は飯田(いいだ) 明彦(あきひこ)、いつも俺のお父さんがお世話になってます。」


飯田コーチの息子さんだった。


「よろしくお願いします。」


とは四季。すると、陽介が疑問に思ったのか、問いかけた。


「でも、なんでスクールはうちじゃないんですか?あの速さで泳げるなら、確実にどこかスイミングスクールに通ってますよね?」


「一昨年までは木田にいたよ。あの時に、俺も甲斐田コーチについていって、新しいスイミングスクールに移ったんだよ。おかげで、ここまで速くなれた。あの選択は俺にとっては正しいものだったと、思っているよ。」


「一昨年か…」


四季が感慨深気につぶやき、飯田先輩はそんな四季を見ながら、どのような反応をすればいいのか分からず、少しおどおどしていると、一昨年の一件を知らない涼介が問いかけた。


「なぁ、一昨年って何があったんだ?JSCのコーチは誰も教えてくれないし。そん時から選手だったやつも誰も話してくれないし…教えてくれたっていいじゃないか。」


「それは、ダメだ。」


飯田先輩が怒気のこもった声で言った。予想通りの反応だったはずの涼介にとっても、その声にはビックリしたようで、次の声が出てこないでいた。


「まあまあ、お二方。喧嘩はやめてくださいな。」


四季が無理な笑みを浮かべながら言った。


「他の先輩方が泳げませんから?ね?先輩方に泳いでもらって、俺や涼の速さを理解してもらうことの方が、俺にとっては大事なんだけど?」


この話題になると必ず、四季が話題の転換を強引に行う。もう慣れたかのような口調で涼介が答える。


「…またか。まあ、いいや。確かにそれも大事だな。総合力じゃあ俺や四季の方が先輩方よりも上だって、わかってもらったほうが入部した後が楽か。」


「おいおい、俺を忘れんなよ?」


「陽のタイムじゃあ、先輩に1人はいるかもしれないだろ?」


陽介は怒ったのか、先輩方の横で何本も200IMを泳ぎに泳いだが、一本目の疲労もあって、タイムは散々だった。正真正銘のバカである。


…………………

…………

……


「うぇー、嫌なことまで思い出した。お前のせいだぞ?」


「まあ、そういうときもあるって、今日こそはバタフライんマスターしてやるぜ。」


「お前は楽しそうだな?」

「もちろんよ。」


ニッといい笑顔を作る大地に対して、四季はめんどくさそうな笑みを返した。



それから、5日後。正式な部活動集会が行われた。


「えーっと、今年から水泳部の顧問になった高田です。水泳のことはあんまり分からないので、部長に任せきりになると思いますが、よろしくお願いします。」


自己紹介が始まった。部長は泳いだところを一切みたことのない女子だった。


海馬(かいば) (さち)です。部長をしていますが、腰痛が悪化しているので去年で選手を引退していますが、教える側の人間として頑張るのでよろしくお願いします。」


「飯田明彦です。男子副部長です。得意種目は200と400のFrです。地方大会に出れるように頑張ります。」


「同じく副部長の、柿田(かきた) (ゆき)です。得意種目はFlyの50.100です。県大会決勝に出られるよう頑張ります。」


今年度の抱負、得意種目と距離を言う自己紹介をおこなっているうちに四季は寝てしまった。なので、四季は自己紹介をしていないのだが、四季をとばして自己紹介は終わったようで、部長の海馬さんからの話が始まっていた。


「去年は、飯田くんの200Frと、私の200Brだけしか県大会の決勝に出られなかったので、今年はもっとたくさんの人が県大会の決勝に出られるように、そして、県南地区大会で総合優勝が出来るように頑張りましょう。」


県南地区大会。県の南側の中学校に在籍する中学生の大会。50mから、200mの距離で、全種目がある。1位なら7点、2位なら5点、3位は4点、4位は3点、5位は2点、6位は1点で、学校ごとにその和を競う。ここ5年ほどは、私立清涼学園(せいりょうがくえん)が総合優勝を取り続けており、A高はランク外だった。


「何か質問はありますか?」


直ぐに手を上げたのは涼介だった。


「一年生だから試合に出れない。とかはないと思いますが、大会の選手決めはいつ、どのようにして決めるんですか?」


「そうだねぇ。南地区大会が6月の頭にあるから、5月のゴールデンウィーク明けに部内大会を開こうか?そして、7月の後半に県大会だから、南地区大会ぎ終わってから、も測ろうか。それでいい?」


「速い人から出られますか?それと、何本までやってもいいですか?」


「1人3本にしよう。リレーのメンバーは直前に決めよう。」


「分かりました。」


涼介は少し笑っていた。「リレー」という単語に反応したのだ。小学6年生の時のJr杯の時惜しくもリレーメンバーの座をケガで逃し、JSC木田創設後初のリレー優勝のメンバーになれなかったからだ。メンバーは四季と岡島、陽介、石田だ。


「あれ?安達さん?…まぁいいっか。」

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