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水泳部1年春  作者: 田尻山 一由
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中学一年生 〜新しい班〜

この小説では


バタフライ→Fly

背泳ぎ →Ba

平泳ぎ →Fly

自由形(クロール)→Fr

個人メドレー→IM

と表記します。

山田は学校が終わり、家に帰った。時刻は午後1時半ごろ


「おかえり。昼ごはん、ラーメンだから、早くして。」


と、四季の姉である真亜子が言った。山田家は、四季の父、母、四季の三つ上の姉の真亜子、と四季の4人で一軒家に暮らしている。父は東京に単身赴任。母は、きまぐれで半年ほどのパートに出たりする。


「ただいま…ラーメンくらい、自分でしろよ!」


「じゃあ聞くけど。麺って、沸騰してから入れるん?それとも、水の状態から?野菜って「もういいです。」…よし、じゃあ早くして。」


姉の真亜子(家族内では「まー」と呼ばれている)は、料理、掃除が全く出来ない。作れる「食べれるもの」は、お湯を入れるだけのカップ麺だけ、掃除は、ベッドと扉の丁度真ん中の床が見えており、他の場所は何かがあるため、彼女の部屋には彼女以外誰も入れない。


「じゃあ、お茶入れて、食器片付けはしといて。」


「了解。食器もまーが洗うから」


「ありがと。ラーメン作れんて…お前は高校生だろうが!」


「大学も地元の国立の予定やから料理出来なくても、ママにやってもらうからいいもん。」


数分後…


「はい、できた。」


「流石〜。助かるわ〜。あんたがいなくなったら、私の昼ご飯が安定しなくなるから、当分はおってもらんとねー。」


「はぁ…まあ、別にいいけど、大学受験まではいえにいるつもりやし。話変わるけど、学校どうやった?」


「一日目で何も分からんやろ。」


「いや〜。俺は色々と収穫あったよ。背の高いやつが水泳始める!て、言ってたから、多分来年のダークホースになれる。」


「水泳の話だけ?」


「そんなもんやろ」


四季の頭の中にはもう、水泳部に対する期待でいっぱいだった。



午後6時ごろ


「こんにちわ〜。」


四季は今、スイミングスクールのトレーニングルーム室にいる。四季のスイミングスクールは、普段、平日は6時から20分ほどが体操。6時半から8時ごろまで泳ぎ、最後に15分ほどのストレッチをし、土日祝日は、朝7時半から10分ほどプールサイドで体操し、9時半まで泳ぎ、最後に15分ほどのストレッチをする。練習は一応、毎日あるが、一週間に一日は休むことを義務づけられている。


「今日、ミーティングだってさ。班編成とかするって言ってたよ。」


「へー…って、そんなことはどうでもいい。陽!お前は、涼が受験したこと知ってたか?」


「知ってるも何も、俺、あいつと同じクラスだし分かるでしょ。」


「は?」


「だから、俺もお前と、涼と一緒でA中の生徒。分かった?」


「お…おう…あれっ?陽って頭良かったっけ?」


陽は全国学力テストの点数は50%以上解けた科目がない。と、昨年の10月ごろに話していた。


「勉強出来なくても入れるやん?グループに別れての討論?で、本当に偶然、本物のバカに出くわしてさ。題が、「あなたはスクールバスに賛成ですか?反対ですか?」だったのに、「車がいい」とか言う、斜め上の発言した奴がおったおかげで、緊張がとけて、普段通り言えたら、点数が、学問10面談50で60で合格やった。」


「運いいな。陽が最初だったら陽がそのアウトな人になってただろ?」


「まあね。そっちは?入試どうだったん?」


「俺は、普通に問題といて学問38、討論の題は、「この学校の悪いところをあげなさい。」とかいう、おっそろしい題やったけど、「校舎が古いところです。」だけしか言ってないのに、面談40でトータル78やったわ。塾の先生にそれ言ったら塾内でTOPって言われたわ」


「マジかよ。四季の通っとる塾って、駅前の、あの、でかい塾やろ?すげえ。涼よりも上じゃん。涼の点数でも異次元に感じたんに、お前の方が上とか。お前…」


「言ったやろ?俺は天才って。」


「はいはい。てか、涼遅いな。」


「そうやな」


「たいそー」


………

……………


「では、平成××年度4月のミーティングを始めます。」


と語り始めたのは、この、スイミングスクール。 J(ジュニア)S(スイム)C(クラブ)木田の主任の飯田コーチ。


「今日は一番最初に、今年の参加大会について。今年は、ゴールデンウィーク明けの県室内選手権。6月終わりのクラブ対抗とJO予選。7月終わりの県選手権と、標準突破者だけ、JOと国体。8月終わりは小学生だけ、小学生選手権。秋のJSCCと、AS。1月初めに新年フェスティバル、4月第一週に春の県選手権。それだけにでます。次は班編成をしたいと思う。1.2.3コースは私、飯田班……………岡島、相川の12人」


「で、残りの中学生、小6の10人は4.5コースで今まで通り山井班。残りの14人は今年から選手コースのコーチになった太田班。何か質問、聞きたいことありますか?」


「どうして、俺と四季が…俺と山田が飯田班じゃなくて、陽…相川陽介が飯田班なんですか?俺の方が絶対に速い!練習だって俺の方が強い!」


珍しく、涼介は興奮していた。それもそのはず。四季と涼介の方が練習のベースになる、クロールと個人メドレーのタイム、200.400メートルのタイムが速いからだ。


「はぁ…言わないとだめかぁ…はぁ。伸びしろが相川の方が大きいからだ。それだけだ。」


この時、山田以外は皆、飯田コーチに不信感を覚えた。いくらコーチが思っていても、選手のやる気の維持ためにも、言ってはいけないはずの言葉だからだ。


「ちゃんと、理由があるから…まあ聞け。そして、落ち着け小笠原。山田は完全に納得してるだろ?お前も分かれ。と言ったら、私への選手からの信頼がかなり薄れるので説明します。」


「一つ、相川陽介の兄、太平が今のうちのキャプテンで、県選(県選手権の略で、県の最も大きい大会。JO、国体の最終予選を兼ねている。)で唯一決勝に出れている。」


「二つ、相川陽介は専門種目が明確で、これからの成長への道が明確化しているのに対して、小笠原は、専門種目と言える種目がまずない。」


「三つ目、Baが専門の選手がうちのスクールには今いないから、強化ポイントに相川がぴったし当てはまったからだ。」


「四季は…山田四季は…なんで?」


「あいつのことは、あいつが一番分かっている。それだけだ以上。」


「他に、何か…なさそうやな。じゃあ各班に分かれて、ミーティングは終わりです。」


………

……………


「そんな怒るなって…まあ、怒るか。でも、怒るよりも、見返すことを考えろよ。それに、お前がどんな選手になるにしても、練習はせんと速くはなれんからな。」


四季が何度も涼介を励ますが、涼介の反応は限りなく薄い。


「石田以外はまただけど、担当になった山井です。色々あったけど、よろしく。班キャプテンは、四季な。うちの班…このメンバーから、ASに出場したことあるのは四季だけだけど、今年は、3人を目標にしたい。四季、石田、あと一人が参加標準切ってくれたらなと思っています。四季、挨拶してくれ。」


通称AS。JSCAS(ジュニアスイムクラブオールスター)は、JSCグループの全国大会で、JOや全中などより、一段遅い参加標準タイムだが、大きい屋内50メートルプールを3日間貸し切って行われる大会である。JSCグループの選手は、まずはこれを目標に掲げる。


「山井班キャプテンの山田です。まあ、先程、飯田コーチが言ったのは、俺の今までのメインのBrのタイムが、小5の秋からコンマ1秒も伸びてない。ということです。なので、しばらくは、Flyをメインにして泳ぎます。山井コーチはASって言ったけど、俺的には最低目標が全員で県選手権に出ることだと思う。あの大会は遅いと出られない。今年、俺は出られるけど、来年の参加標準は切ってない。この中にも、出れるかでられないか、微妙な人も多いと思うけど、出れるように頑張りましょう。そして、ASを目指す最低ラインに立てるよう頑張りましょう。」


パチパチパチパチ

小さな拍手がなった…が、涼介はまだ、下を向いていた。

(あんなんで引っかかってどうすんだよ…)


「じゃあ、個人面談するか。順番で、終わったやつからプールで泳いでいいから。一番最初は、四季から。個室でやるから、覗くなよ?」

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