中学一年生〜復帰〜
「てなわけで、降りてきてやったぞ感謝しろ。」
上から目線で言う四季を、涼介たちは歓迎のムードと呆れた顔で迎え入れた。
「やっぱりかよ。武器は強いな武器は。」
「やっぱり武器って私のことだったのね…がっかりした。初めて入った男子の家がこんな引きこもりの家だったなんて最悪。絶対に何か奢らせてるからね?」
「自分から行くって言ったくせに。」
「そりゃそうよ、私が来ないと絶対に出てこないもんこいつ。本当の原因とか知ってるのこの中じゃ私だけだし。まあ、そんなのはどうでもよくて、今日の練習は参加するの?山C?」
「明日か「するよね?」…します。行きます。」
やはり誰も秋にはかなわない。
「じゃあ、さっさと水泳の準備してきな。体操の時間までは、前と同じファミレスでドリンクバー飲みたいなー。」
「奢れ…ですよね?」
「もちろん。でも、奢るのはそこの3人と一緒で4人で割ればいいよ。」
「割ればって…」
そうして、一ヶ月ぶりに四季は家から出た。
「眩しいな」
☆★☆★
「四季。あれはキモいぞ。いや、マジで。」
ファミレスについてすぐに陽介が笑い出した。
「何が?」
「私もあれはないと思う。」
「俺もちょっと引いたわ。」
涼介も秋もこぞって四季に駄目出しをした。
「いきなり、「眩しいな」って、悟った感じで言い出したやつだろ?あれは確かに変やった。」
元谷がやっと、話に入れると思って声を出したのだが、「部活出なくていいの?」の一言で元谷は慌てて帰った。彼だけはスイミングスクールに通っていないため、部活の練習をサボる理由がないからだ。
「俺らも本当は帰らないとなんじゃねえのか?安達さん。」
「スクールの練習に行ってれば怒られないのよ。まあダメだっても、私は体調不良とか言ってサボるけどね。」
「太陽って、こんな眩しかったっけ?割とガチで。やっぱり、カーテンずっと閉めてたのはダメだったかな。」
先ほど馬鹿にされた話を蒸し返すあたり、どこか四季は抜けている。
「まあ、山Cだもんねー。そういうの弱いんじゃないのー?」
「お前、山Cの由来知ってるのかよ。」
「知ってるよー?今ここで言っていいのー?」
その瞬間、四季の目が泳いだ。それを見た陽介が面白半分で秋に聞いてみると。「えーっとね。」から、ちゃんと説明した。四季の顔は真っ赤っか。林檎のように赤いとまではいかないが、赤い。
「そんな理由かよ。」
「四季。大丈夫だ。そのくらい、誰でもとる可能性があるからさ。」
「ねぇよ。小2でオールCとるやつなんていねぇよ。普通は。」
ばれたものはしょうがないと自暴自棄になって、四季はうなだれた。小2の後期の通知表が、全教科全項目C…つまり、オールCだったのだ。
「でも、そこからよくA中に来れたね。」
「授業中に他の生徒と喧嘩したり、授業の途中から抜け出したり、校長室のソファーの皮引きちぎったり…まあ、数え切れないやんちゃをしたからそうなっただけだよ。」
「それは「だけ」ってなことじゃないぞ。」
「算数は出来たからな。九九は幼稚園で、特殊な四則計算とかも小2では出来たからな。」
「鶴亀算とかのことか?それできても中学数学に使えなくね?」
「だから、算数なんだよ。数学じゃなくて。」
下らない話をしていると相当時間がたったようで、時計は5時を指していた。
「そろそろ時間だから、行く?」
「本当や、行くか。」
「私は払わなくていいよね?」
当たり前のように秋が言うと。
「中学生に奢らせるのはどうかとは思うけどな。」
四季はそれだけ言って、ちゃんと秋の分も払った。
☆★☆★
「今日も飯田コーチはいないのよね?」
「多分いないよ。今日は月曜日だろ?」
「そのくらい覚えておけよ。月曜日だけどさ。久しぶりの外はどうだよ、四季さん。」
今になってようやく涼介が四季に聞いた。すると、清々しい顔で四季は「いいもんだな」と応えた。
「飯田コーチそんな嫌いなら入らなければいいのに。」
秋は陽介が言った言葉に少しだけ反応した。けれどもすぐに、前を向いて歩いていた。
☆★☆★
「前に遊びに来た、秋な。これからうちの班に入るから、みんなよろしくな。」
「改めて、よろしくお願いします。前よりもちゃんと練習してきたので、今日からの練習はちゃんとついていけると思います。」
「あと、今日は俺も久しぶりにこっちの練習に出るから、まあ、四季の保護者みたいなもんとしてな。」
と、陽介が言うと、石田がとても喜んだ。それを見て、四季が口を開いた。
「それと、もう一人。俺が復帰するから。夏に向けてもう一度、盛り上がってこうぜ。」
「復帰というか、引きこもりじゃなくなっただけだけどな。引きこもりじゃなくなっただけで、俺は満足だけど。」
陽介が口を横に大きく広げて二ヒヒと笑った。
涼介がホッとしたような顔をした。
秋が「馬鹿じゃないの」と呆れた。
「じゃあ、水泳の練習を始めますか。」
これにて春編終わりです。
今は夏編書いてますので良かったらぜひ!
感想や、色々、できたらでいいのでお願いします。




