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水泳部1年春  作者: 田尻山 一由
19/24

山田四季 〜県室内選手権2〜

思ったよりも身体が動かない。身体そらしすぎか?そらしすぎだな。落ち着け。身体をそらさず、腰で無理やり、押し込む。


上手くいった。あとは、腰を使ってテンポよくテンポよく。


バン


「はーはーはー。キッツ。」


かなり息を上げて、俺の初めての200mFlyは、2分30秒という、目標を10秒も上回る好タイムで終えた。


泳ぎ終わった後は、コーチのところに行き、レースの総括として、復習、反省、これからの方針などを話すのだが、「ダウンが終わってからにしろ」と言われ、サブプールで軽く泳いでいた。


「四季。どうだった?200Flyは」


「楽しかったよ。でも、そんな何本も何本もやりたいものじゃないけどな。」


おそらく、400mのFrのためのアップをしているのであろう涼介が話しかけてきた。


「タイムは良かったよ。2分30だってさ、40秒を目標にしてたから、いいんじゃね?初めてやし。」


「30ってマジかよ。メッチャ速いやん。てか、前半の12はどうしてんて。ベストだろ?」


「待てよ待てよ。何で涼が興奮してんだよ。興奮するのは俺だって。まあ、俺が天才だって証拠だろ?」


いつも俺はあえて、天才という言葉を使う。俺が天才だはないと知っているからこそ、天才だと言い切って使う。


「また、出たよ。それ。このあと陽、俺って続くから、応援してくれや。」


「ちゃんと、控え室から応援してやるよ。」


適当に聞き流していたのか、そのまま涼はいってしまった。まあ、別にいいけどね。そういえば、コーチの所に行かないとな。今日のタイムは良かったし、怒られることはないだろう。下手したら褒められるかもしれない。


「四季は、150の所で泳ぎ少し崩れたのが残念やったな。」


えっ?俺褒められるんじゃないの?


「あれさえなければ、30切るくらいは出来た。まあ、初めてにしては頑張ったんじゃないか?と言いたいが、お前のFlyは今期だけだから、もっといい結果が良かったな。次の400IMもがんばれ以上。次陽介やから、応援してあげろよ。」


少ししか褒められなかった。泳ぎそんな悪かったかー?結構良かったと思うんだけど…やっぱり、安達さんが練習来てからコーチの意識上がってるよな。ま、それで伸びるならいいか。


「同じく、2組目のレースを始めます。」


そんなことを思っていると、ちょうど、陽のレースが始まるところだった。200mBa。この距離のこの種目が陽は一番得意なはずだ。練習から考えると。


\\ヨーイ ピッ//


電子音の少し抜けた音と共に陽はスタートした。今日の陽はアップの様子からしておそらく調子がいいけど、


「また、飛び込みで差開いとるなー。」


毎度のことなので声に出してしまう。浮き上がると、手の長さ以上の差が生まれている。陽の弱点はスタート。それだけで0.5秒は損していると俺は思う。やっぱり、100まではいつも通り遅いなー。俺のFlyの方が速い。


「ゴーゴーレッツゴー、レッツゴー吉田!

ゴーゴーレッツゴー、レッツゴー吉田!」


隣で、凄い応援団が声を出していた。地元の私立大学だろうその応援団はいつも大声で応援をしている。けれども勉強の偏差値、水泳の成績は共に微妙だ。


「途中経過をお伝えします。第2コース吉田くん大岩学院大学。時間1分13秒12。1分13秒12」


応援すげえな。こりゃ盛り上がるわ。とかいいつつ、絶対に陽の方が速いと思っている俺がいる。陽は前半遅すぎだからな。


ぼーっとただ見ていると、ラスト25mのターンで、吉田という人を抜き陽が一位になり、そのまま一位でタッチした。中1で結果出しすぎだろ。タイムはイマイチか。前半が遅すぎだな。そのせいで俺のFlyに負けてるし。


陽はそのまま飯田コーチに話を聞きに行ったが帰されたみたいだ。


「まあまあやったわ。2組目でちょっとビックリしたけど、組一番やし、前半抑えすぎて15秒で入ったのが間違えやったわ。トータル32やから、本当にそれだけやわ。」


あまり悔しそうには見えないが、


「28くらいなら普通に出せそうやな。飯田班いったおかげか?」


そう言うと、首を横に高速で振ってから苦い顔で陽が言う。


「逆やって、とばし方がわからんくなっとるかもしれん。なんていうか、身体の動きが悪いわ。100のタイムはあんま期待しんといてくれ。」


大会中にそんなことを言うかよ。と思ったが、安達さんが辞めた理由がそれなら納得する。


「とばし方が分からなくなる…か…」


「ほなダウン行ってくるわ。じゃあ。」


俺は早く控え室で寝よう。午後のプログラムは確か、50の4種目、100の4種目で、400IMだったよな。しっかり寝てやろう。


☆★☆★



「寝すぎた」


今は、陽がいないってことは、50のBaか…招集漏れだけは嫌だな。


「四季。もうすぐ50Brやけど…て、四季は今回出ないんやったな。」


岡島が今の競技を教えてくれた。


「てことは、もうすぐか?」


「Flyの100だったら、50Br見てから行けば?確か、100Flyの前に100Frがあったろ?」


そうでした。100Frは、一番参加者が多い種目で男女合計で毎回30組近くある。


「そうするわ。あの感じ忘れたくないしな。」


☆★☆★


「あれ?今日はなんでかBrに一本もエントリーしてない山田くんではないか。」


偉そーなやつに捕まったな。まあ、50Brを見る代償だと考えると些細なことかな?ないほうが嬉しい代償だな。代償ってそういうものだな。


「何ですか?」


「いやーね、俺に負けるのが嫌になったんかと思ってね。」


と、上から目線で小御供(こおとも) 横尾(よこお)が俺で遊びに来た。


小御供 横尾 得意種目はBr。安達秋と同じで、ピアノを習ってついたリズム感でハイテンポだが正確なピッチで泳ぐパワータイプ。中2だが、3月31日生まれで、「あと2日で山田くんたちと同じ代だったのに。」とよく言う。今の中2はスーパースターが揃っているので、その代に生まれたことを呪っている。


「なんかさ、山田くんがいないとほら、対極的なポジションじゃん?俺と山田くん。だから勝負相手がいないというかね。」


「なら、岡島とどうぞ。パワータイプでお互い勝負してください。」


「岡島くんは少し速すぎるからね。50mだと。100は遅いけど。」


なんだよ、超うざい。まあ、そんなこともあるか、


「招集がかかったので、行くよ、まあ見ててな。僕の速さを実感するといい。」


小御供が招集所に行くと、スーパースターの1人が小御供のことを蹴っていた。あっ今の痛そう。


「あいつ、また四季に絡んどるんかよ。俺の方がタイム近いんにいつも四季に絡むよな。」


いやー。岡島には無理でしょ。だって負けるもん。


「まあまあ、絡まれるのもそんなに悪くないし、トモさん面白いし、いつもあのノリでいてくれるからありがたいよ。」


「そうならいいけどさ。」


☆★☆★



50mBrはとても盛り上がった。スーパースターが高校生のトップの人とひたすらせっていた。岡島も、年上を抑えて4位に入っていた。先輩たちしょぼいぞ!と思ったけど、そんなこと言えない。なぜかは知らないが、Brのレベルが下がっているように感じた。

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