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オレ様×兄様=他人様
拓海を取り囲む女子生徒は予鈴がなっても誰一人、立ち去ろうとはしない。本鈴ギリギリまで拓海のクラスで粘る。
ここで粘らなければ、他の女子に先を越される可能性があるからだ。
互いに目と目で見えない戦いを繰り返している。
「」「ほら、みんな。早くクラスに行かないと遅刻しちゃうぞ」
「いやぁん。拓海くん、やさしい」
などと複数女子とイチャイチャしていると、委員長が教室に駆け込んできた。
「おい、森重、お前の兄貴、おかしくなったのか?3年B組、騒然だったぜ!」
拓海は涼やかな表情で答える。
「兄は昔からオカシイんだ。化けの皮を脱いだだけさ。これからは正直に生きるんじゃないの?」
本鈴が鳴り、ぽかんとしていた女子生徒が教室から駆け出していき、うやむやのうちに、森重真澄がヘンだと言うことが受け入れられたのだった。