オレ様×オレ様の愉快な日常
「オッス!真澄さん!お迎えにまいりました!」
野太いハモりが爽やかな朝の住宅街にコダマする。
「おぅ、ご苦労」
真澄は持っていた鞄を手近な厳つい学ラン男子に渡す。
真澄も厳つい男子も身に付けているのは同じ学ランなのに、なぜか厳つい男子は汗臭そうで、真澄は石鹸の香りがしそうなくらい爽やかである。
「真澄さん!今日の野球部の練習試合は我が東郷学園で行われるように変更になりましたッ!」
「場所がどこであろうと我々、東郷学園応援団部がいるかぎり、負けはない!」
「ッス!」
「行くぞ!」
「ッス!」
真澄はオールバックの髪をなであげ、気合いを入れた。
※※※
ジャケットにジーンズ姿の拓海が玄関を出ると、ツインテールの小柄な女の子が立っていた。
「おはようございます、拓海センパイ」
「おはよう、今日も可愛いじゃん、ミユ」
「きゃーー!恥ずかしいですぅ」
「恥ずかしがることないよ、ホントのことだろ」「いやん♪センパイったら」
「じゃ、出かけようか、エスコートするぜ、お姫さま」
拓海はミユの肩を片手で抱き歩きだした。
「きゃーー」
家を出て、真澄は東へ、拓海は西へ。
それぞれの休日に出かけて行った。