Burned
放たれた銃弾は、5.7x28mm弾20発、6.8×43mmSPC15発、7.62×25mmトカレフ弾23発。
確かに威嚇射撃な様でフルバーストしない辺りは褒めてもいいだろう。
……ん?
銃の種類ならまだしも、なんでお前銃弾の種類まで、って。
使ってる銃見りゃ分かる事だろ。
え?
じゃあ銃弾の数はなんで分かったか?
それは俺のアダムと関係あるのさ。
だが、今はそんな事話している暇はナッシング。
続きに行こうぜ。
「Burned“焼かれたいのか?”。俺の炎を前にしたとあっちゃ、銃弾なんぞ屁の河童やで。」
したり顔で敵に台詞を吐く宗司。
銃弾は溶けて床に散らばっている。
「は。やるじゃん。確か物に着火するのがLv1、体に炎を纏うのがLv2だよなあ?」
「よー知っとるやんけ。名前もその勢いで覚えろ。」
「餓鬼が命令してんじゃねえよ。ったく。役に立たねえ部下を持つと辛えわ。」
いや、役に立たないというのは嘘だ。
威嚇射撃と言うだけあって、実は俺達に直撃する弾は一発も無かった。
溶かしたのは、まあ一種のパフォーマンスだ。
なんにしろ、射撃の腕は三人が三人共名人と言ってもいいレベルだ。
しかし仮に銃の腕が優れていても、例え何かしらの殺人拳の使い手だとしても、もし剣術の達人だとしても、戦闘タイプのイヴと真っ向勝負などするべきではないのだ。
何故なら俺達は、『人外』なのだから。
「ま、この程度でビビってたならそれこそ即殺しだったからな。良かったな助かって。」
「はん。口が達者だな半端オールバック。その優秀な口がどっかに行かねえ様にしっかり見張っとけよ。」
「ち……。まあいいか。」
その後、俺は後悔した。
いや、別に原点使いを目の前にしたのを後悔した訳じゃない。
大体俺は、この時点ではまだ原点使いなんて言葉を知らない。
ただ、奴のアダムについてまるで考えていなかった事をだ。
それだけをただただ後悔した。
「『重力という重苦しい枷は、人間が宇宙に羽ばたくのを防ぐと共に、大地の離反も許さない』。」
そう、やはり俺は、ただただ後悔した。