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プロローグ

 『 届かないモノに手を伸ばしてみた。幼い私には、欲しいモノは何一つ手に入らなかった。

  世界は理不尽で、残酷で、暗闇を照らす光すら見つけられなかったよ。

  でも、アナタがいた私の人生は、短くても確かに幸せだったんだ。ありがとう。アナタと出逢えたこと、それだけが私の宝物なんだ。さようなら、怜利。

  その手で誰かを救えるなら。私は何度だって手を伸ばして、あなたを助けにいく。どうか、生きて欲しい。

  彼方のアナタへ、』


 鎌の印を付けた『通信術式』が白く静かな病室の窓ガラスを通った。星の輝く暗闇に溶けるようにして消えていった。

その美しい光景を見つめた老婆は眠るように、ただ静かに、息を引き取った。


 形を知らない者から見れば、ただの錆びた列柱が公園に立っている様に見えるのだろう。しかし、既にこの橋の原型を記憶する者は私以外誰も残っていないものだが、私にはあの頃の橋のままに思えて仕方がないのだ。

ふと懐かしい気配がした。

若い頃、あいつにだけ教えた術式が。いま私の目の前に浮かび上がっていた。

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