35話 本戦開幕
「新鮮な空気はどうだぁ!?」
「腹立たしい…!鍵座解除、蛇の目座!」
グリドールの片耳の捻れは無くなり魔王の背後に大量の蛇の目が現れる
「借り物で強くなった気か?アホらしいな…」
「汝もその体は借り物であろう、この理解の目が言うておるわ。」
「あぁ?生まれた時からこの体じゃ、俺は俺だ!」
市街地に降り立ったドワーフと魔王の二人の戦いを月は見る…
「おいてめぇ…あの月は何なんだ?俺の偽物やら洗脳で迷惑してんだよ…!」
「言わなくても分かるだろう、阿呆。」
「再確認だバカ、御託はいい、始めるぞ。」
「余りここで力は使いたくないが…良いだろう、獣と戯れる程度造作も…」
グリドールは魔王に飛び掛かるも何故か空中で静止してしまう
「なっ…」
「蛇に見つめられたものは恐怖で動きを取れなくなる…それが兎でも、人間であろうとな。」
魔王の背後に佇む四つの蛇の目はグリドールを見つめその動きを止める
「いいや違うね、兎が止まるのはな…蛇は静止してる物を視認出来ないからだ。」
「だが汝は止まっている…恐怖か、勇敢か、無鉄砲か…」
「全部だ…兎は大量に居るぞ?」
突如として魔王の蛇の目は潰れ血を吹き出す
「なっ…!?」
「あー間に合った…」
グリドールの後ろに現れたのはボロボロのノートを抱えた金髪の男だった
「余所見するたぁ余裕しゃくしゃくなようで!」
目の拘束が少し解けグリドールは魔王に一撃を食らわせ離れる
「助かった、ありがとう…そのノートは?」
「…あんたに頼まれてた物だ。」
「?まぁ受け取っておく…かぁっ!?」
「汝こそその男に現を抜かしている場合ではないだろう。」
グリドールの耳元を黒い十字架が掠める
「金髪、第一大隊を呼んでこい、ここから東に数百Mだ」
「了解、大尉さん…」
その十字架は障害物全てを飲み込むように消し建物を崩壊させていた
金髪の男をはけグリドールと魔王は睨み合う…
魔王は分かっていた、相手の手札が分からない以上下手に動いてはいけないことを…
特に先程グリドールのいばらを食らい未だ焼けるような痛みがあり警戒していた
「…おい」
「…なんだ。」
「お前、自分の胸…心臓に何か違和感はあるか?」
「答えん、この状況で返答を得られると思っている茹で上がった汝の頭がうら…」
ジャックについて何か手がかりを探すも失敗したグリドールが取った行動は…
「あっそ」
相手の手札、能力の把握を一切考えず魔王に猪突猛進をすることだった
「獣め…!」
しかしそれが功を成し魔王は能力を発動する隙もなくグリドールの既に仕掛けておいてあった四方のいばらと前方より襲い掛かる本人に一撃を食らわされる
「この感覚…汝、魔流を読んでいるな?」
「ああそうだよ、てめぇをぶっ殺す為に死ぬ気で覚えたんだぜ?存分に喰らってくれよ。」
「くくっ…その程度で覚えただと?汝が魔流を使うと言うのなら余も同じ土台で戦ってやろう…その実力差がどれほどの物か汝は分かっていないようだ…」
魔王の雰囲気が変わる、目つきは鋭くなり少し構えただけで付近の魔流を自身へと流し込んでいた
(マジか…さっきまで読めてたあいつの動きがまったく見えねぇ…)
「さぁ、怖じ気づいてないで来るが良い。」
王宮から離れ過去の英雄の石碑が並ぶ広場にてグリドールと魔王の戦いが始まる…
~王宮内部~
「なるほど、私はとても聡明にかつ知的で美しく平和的手段を用いて物事を荒立てないようにしているというのに貴公ら人の子らはそれを拒否すると…」
「大口叩いてる暇はあるのかな?」
イスカリオテはリオハの言霊魔法により拘束され尋問を受けていた
「あるさ、私は本物じゃないのだから…」
瞬間、イスカリオテは灰になり消失する
「リオっち、裏切りの能力だ、あいつは増えるぞ」
スリーフはアルディスより授かった目でイスカリオテの能力のタネを割っていた
「君もその呼び方を…まぁ良い、増えるってどういうことかな?」
「こういうことだ。」
床にまぶされた灰は浮き上がり、形を形成する…イスカリオテは増え13人程となっていた
「人の子よ、その目はどこで手に入れた?まさかアルディスを殺した訳じゃ…」
「ちげーよ、俺が譲り受けたんだ」
「くくっ…アルディスも堕ちた物だな、人外に宝物を譲るとは…」
イスカリオテの分身達はリオハとスリーフを囲む…
「こういう場合、分身は本体よりも弱いか本体を叩けば分身も消える事が多い…スリーフ君?」
「後者だぜリオっち、分身はこの中に必ず居る…!」
月はまだ空に笑みを浮かべている…
筆が進みません




