33話 兆候
「…オい、抜け。」
「お、おう…」
グリドールは地面に突き刺さったワープを引き抜きベルゼアブと話をする
「一番聞きたかったこと聞くわ、あんたそのいばら?何よ」
「あ…それは…俺でも分からん、なんかこう…えいってやったら出てきた」
「抽象的ね、ああそうそう…王宮内の状態だけど…」
ベルゼアブはハエを手に止まらせ耳を貸す
「魔王は王宮に居るらしいわ、リオハと…良く分からないけど何か大きい物が戦ってる」
「うし!王宮行くか…」
「マてアホドワーフ、こいツラどうスる。」
上には吊り上げられたグリドールの部隊、ベルゼアブにもたれ掛かるヴァイラがおり、未だ月からは人影が出てきていた
「うーん…あそうだ、ワープお前は執務室に行ってマリアッチをここへ呼び出してくれ」
「分カッた。」
執務室にゲートが開きマリアッチが呼び出される
「ふっふっふ…事情は聞きました!」
「よし、マリアッチお前はここを防衛してくれ」
「任されました!あ…でもトリスさんは良いんですか?戦力になると思うんですが…」
「あいつは…休ませてやろう、色々あるだろうし、とにかくこいつらの精神支配を解いてくれ、頼んだぞ」
グリドールはいばらを腕に巻き付けヴァイラに近付く…
「これどうやって仕舞うんだ?まいいか、おいヴァイラー…起きろー」
「んん…」
「…ふんっ!」
角を裏拳で叩きヴァイラは飛び上がりながら起きる
「お"ァ…い、痛いよグリドールさん…」
「はいおはよう、事情はこいつらに聞け、俺は王宮に向かう」
「ま、待って…わたしも行く…!」
「駄目だ、お前の役割はルナフェナと一緒に…あれ、あいつどこ行った?」
「あのどんくさエルフならそこら辺で気絶してるわよ、普通にあんたの部隊にやられたの。」
「あ、そう…とにかく!ヴァイラ、俺は大丈夫だからルナフェナや他の仲間を守ってくれ、いいな?」
「うん…で、でも!しんじゃだめだよ…?」
「はいはい…よし、ワープ、飛ばし…」
グリドールは言い終わる前に転送されていた
「うおっと…さてここは王宮のどこだ?」
グリドールが飛ばされたのは古ぼけた研究室…蜘蛛の巣はあるが蜘蛛は居ない…そんな草臥れた部屋だった
「取りあえずリオハさんとこ行く…って鍵掛かってるじゃねぇか…ドア作った人すまねぇ…っと!」
戸を蹴り飛ばしグリドールは先へと進む…
(ん…誰かいるな…)
会話する声が聞こえグリドールは咄嗟に物陰へと隠れる
「…今の音は?」
「そんなことはどうでもいい、早く仕事をしろ」
「へいへい、神使いが荒いねぇ…」
(神使い…あいつら神か…!片方はイスカリオテ…だがもう一人は誰だ?)
「ねぇ~?あの魔王とか言う奴、どうすんのー」
「もう少し上品に喋れんのか蛇…あやつはただの人形と同じだ、壊れたら、捨てる。」
「ひゅー怖いねー…」
(蛇…?いやそんなことより…魔王が人形!?もう少し見ているか…)
「ねーイスちゃんあそこにいる子殺さないのー?」
「何…?」
(っ…!)
グリドールは走る、壁を突き破り最速で、直進で逃げる…
「あー逃げちったー…」
「子鼠の一つ逃してもいいだろう、というよりお前が声を出したせいで逃げただろう…」
「そうだねー…」
「全く…早く仕事をしろ。」
「はぁはぁはぁはぁ!」
恐怖、グリドールはその感情に頭を塗りつぶされていた
蛇と呼ばれる者に数秒見つめられただけで毛は逆立ちグリドールの血の気は引いていた
「うっ…!」
「あ、来たね。」
何十個目かの壁を破るとそこにはリオハ達が魔王と戦っていた
「状況は!」
「一応抑えてるけど直ぐに突破される、何かおかしい…あいつ攻撃を避けようとしてない」
「…そうか、俺の入ってきた道にイスカリオテがいる、変な蛇と一緒にな」
フェンリルの低電圧攻撃で魔王は壁に押し寄せられていた
「ん!ようグリドール!」
「あ、スリーフ…」
フェンリルは戦車のように改造され人が入り操縦出来るようになっていた
「今俺の目で魔王を見てる、大体の情報は分かったがリオっちの言う通りあいつ何かがおかしい、抵抗を一切してねぇ。」
魔王は笑い、ただ直立して攻撃を一身に受けていた…




