31話 Anti Graydoor
「おいそこの…神?即刻ここから立ち去るなら許してやる、さぁ選べ!」
「愚直、故に美しいヒトの子」
「っなんだこいつ…気持ち悪ぃ…」
ヴァイラの背中に乗りグリドールは遠くにいるはずがそばに居るナニカに宣戦布告をする
「距離感が掴みにくい…ヴァイラ、もう少し近付けるか?」
「はふー…ふーっ…結構…限界なの…!」
「千年ツヅク国、天へとノボルヒトははたき落としますか?」
女性とも、男性とも見れる姿で身動き一つせずソレは空中で静止していた
「おい!てめぇ何者だ、悪魔か?神か?」
「アクマ?ワタシを!?アアアァァアアァ…アクマ!」
「なるほどね…やーい悪魔!鬼!」
グリドールが指をソレに向けるといばらのような物が射出される
「んだこれ…!いばら?」
いばらはグリドールに巻き付くと同時にソレにも巻き付きその深い闇の身体を焦がしていた
「レンゴクの炎がワタシをぉ…ヒトの子よヤメナサイ」
「神なら煉獄で焼かれても無傷だろぉ?」
「ヴァイラ!もう少し踏ん張れよ!」
ソレを引き寄せると段々いばらのとげが体に刺ささっていく
「もうぶん殴れるなァ?」
グリドールは拳を構え、今の不安定な足場で出せる最高効率かつ最大威力の魔流を読み、ソレに直撃させる
「灰は灰へぇ!」
「ぐっグリドールさんもう…」
ソレは灰となり消える、がヴァイラにも限界が来ていた、人一人を乗せられる時間は短い…
羽根は収納されグリドールとヴァイラは自由落下を始める
「くっ…ヴァイラ!掴まれ!」
「うっうん!」
いばらはヴァイラに巻き付きとげが身体へと刺さる
「うっ…!」
「少し痛むが我慢しろよ!」
いばらは建物に引っ掛かり衝撃がグリドールに伝わる
「いっでぇ…骨折れた…」
「あっヴァイラ!大丈夫…か?」
「うーん…」
ヴァイラはぐったりと項垂れていた
「これ…どうやってしまうんだよ…」
二人はいばらに巻かれたまま宙吊りとなり動く度にとげが深く刺さっていた
「今ほどいてやるからな…!」
グリドールはいばらを噛み切り下へ落下する
「あぐっ!…また骨折れた…!」
自身がクッションとなり着地しヴァイラを担いでグリドールは戦場へと戻っていく
「あ、おい悪魔達…あれ部隊はどこへ?」
「上だアホドワーフ!」
ベルゼアブとワープを見つけたが殺しあっていた部隊が見つからない
「上?っておわ…」
グリドールが見上げるとそこには空に吊り上げられた第一大隊があった
「え…い、生きてる…よな?」
「ええ、ワープの能力で縛り上げてるだけよ、こいつらに掛かってる物普通の魔法じゃないわ。」
「ま、十中八九あのお月さんのせいだろうな」
未だ月は大陸中の生物を見下すかのように笑っていた
「あんた、あの浮いてる変な奴どうしたのよ」
「倒した…って言いたいが妙に手応えが無かった、どこかに潜んでいるかもしれない。」
混乱に包まれた王都、それは加速していく
「っ後ろ!」
「あ?」
グリドールの背後に居たのは…
「お、俺!?」
見た目は瓜二つ、歩き方呼吸目線どこを取っても不気味なほどグリドールと同じ人影であった
「…」
「…!」
お互いは見つめ合い、直感で動いた方が負けることを感じていた
「成る程な、お前喋れないんだろ…」
「な、な、なる、ほ…どな」
舌を動かすもう一方のグリドールはその言葉に意味はなく模倣しているといった様子であった
「しゃべ、しゃ、しゃ。」
「それに…俺に付いてる傷がねぇ、間違い探しはっ…得意かぁ?!」
一方のグリドールは背後に周り攻撃を仕掛ける
それをもう一方のグリドールが関節や筋肉、内臓を無視するような動きで避けカウンターを食らわせる
「ふっ…よっ…ワープ!ベルゼアブと一緒に王宮の方へ行け!ここは俺に!」
「どちらも偽物の可能性がある、それは出来ない」
ベルゼアブの冷酷な一言にグリドールは落胆する
「ハエはもう送り込んでる、安心して。」
「そりゃ…ありがたっ…ぶね!」
自身と同じ動きの者と戦うのはやはり難しいらしく一方のグリドールは調子を出せずにいた
「ありがとう、ハエ、ハエ。」
「俺の姿で喋んな気色悪い!」
一方のグリドールの攻撃は物理法則を無視され避けられて防戦一方となっていた
もう一方のグリドールはというと無表情、伸びる腕やワープから繰り出される空間の捻りに対応し飛ぶ鳥を落とす勢いで拳が加速していっていた
~王宮内部地下~
「…また、会ったね。」
「余はもう汝の顔など見たくもないがな」
「少し…お話ししようか?」
「…いいだろう、国家転覆と人類滅亡の日の余興にしてやる血を分かち合う者よ」
リオハは魔王と邂逅していた…




