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29話 決行前夜

「…おかしいな、殺すって息巻いてたのに、いざこうなると躊躇しちゃう。」


「もうやめなさいトリスタン…」


悲哀を含む声でトリスを制止したのはヴァイラであった


「君はもうヴァイラじゃない。」


「貴方だってそうよ」


「っ…」


「今の貴方、魔物みたいよ…今の貴方は何のためにこんなことをしているの?どうしてお友達を傷付けるの?」


トリスは俯き項垂れる


「…分かんないよ、僕には刀さえあればいいと思ってた、でも君が僕の心に入り込んできて…」


「人のせいにするの?」


「ちがっ…!僕は…」


トリスの頬に小さな手が当たる


「そんな姿に成ってまで、成り果ててまで生きるなら、やめて。」


「貴方は私の為に生きてたんじゃないの…?人を殺したくないって貴方言ってたじゃない…」


「そんなこと…言ってたっけな…」


気付けばトリスはヴァイラの胸に顔を埋め刀を地面に下ろしていた


「そんなことをしても貴方のお父さんは帰って来ないのよ…?」


「じゃあ…どうすればいいんだよ…贖罪の方法も考えたさ…でも結局、僕は命を奪うことしか出来ない、エルフでもないただの魔物なんだよ…」


「だから死ぬの?周りを巻き込んで。」


「…」


トリスは完全に脱力しグリドールはそれを怪訝な目で見ていた


「生きる目標が欲しいなら、あげるわ…」


「守りなさい、これからの命を、仲間を。」


「それが出来ないなら死になさい!」


涙を飛ばし言い終わったヴァイラは倒れ掛けそれをグリドールは支える


「ヴァイラ…だよな?今の…」


「ねむ…」


トリスは刀を握り締め眠りに着く


「な、何だったんだ…?」


~魔王襲撃まであと3時間~


「入るぞ…」


「あっグリドールさん!さっきヴァイラちゃんが急に外にってうわ!?」


執務室に入ってきたのはトリス達を担いだグリドールだった


「こいつら…治してくれ…」


椅子に一人づつ座らせ困惑しつつも順番に治療していくルナフェナであった


「い、一体何があったんですグリドールさん…」


「少し…いや少しどころじゃない事が起こってな…」


グリドールは既に疲労が貯まっていた


「全員軽傷ですね、トリスさんのほうも直ぐに治りますよ」


「ああ良かった、手加減出来なくてマジで殴っちゃったんだよな…」


「ん…何か忘れてるような…?」


ルナフェナの治療を受けている時、またまた執務室の戸が開く…


「やぁグリドール、もうそろそろ召集だから伝えにきたよ」


「あっリオハさん…その服は一体…」


戸を開けたリオハが着ていた服は見る角度で色や形が変わる奇妙な物であった


「これはワープ君の身体を編み込んで作った特注の物だよ、彼女の能力の劣化版のような感じのを使えるんだ」


「へーすごいっすね」


「君が聞いたんじゃないか何だその返事は…まぁそれはそれとして…そこの三人はどうしてここにいるのかな?」


リオハが指差す先にはすやすやと眠る先程まで命の取り合いをした者とは思えない光景が広がっていた


「…これ、報告書ですか?」


「そうだね、私は君のしでかしたことの後処理と始末書かな」


「すみません…」


「ふむ…この面子だと道中にアスモデウス君が居たと思うんだけど覚えはないかい?」


「あ…」


~マリアッチ宅~


「マリィ?何か物音がしたけど…ってえぇ?!」


「あぁどうもー気にしないでくださいー」


アスモデウスは置き去りにされていた


「まぁ、彼女なら自力で戻ってくるだろうね…」


「それもそうすね…」


「はい、治りましたよ、今回は多少の切り傷だけで良かったです…」


「おうありがとなルナフェナ。」


グリドールは何故かルナフェナの頭を撫でる


「あっ悪い最近ちっちゃい奴と一緒に居たから癖で…」


「別にいいですけど…」


そんなこんなをしている内に召集が掛かりグリドール達は対魔王侵攻特別作戦の概要を知らされる…


~大まかな流れ~


魔王襲撃→戦場確保もとい地上部隊が前線を張る→情報収集、敵勢力確認→必要に応じて第二大隊を投下→王宮に存在する特別兵器を適宜使用→魔王討伐


~特別事項~


不信イスカリオテの存在を最大に警戒し指揮系統の機能を損なわないように絶対死守


また魔王は他の神と一緒に来る可能性があるので柔軟な作戦計画の修正


~法について~


国際法に基づき魔物、悪魔や神との戦闘において国王や指揮系統が操られた場合国民、軍は即座に国外逃亡を推奨、同盟国であるカドロ公国は受け入れ可





























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