24話 何が人間か、何が魔物か
母さん、スープ美味しかったよ…あなたの息子は今
対魔王侵攻特別作戦地上部隊第一大隊
特別臨時大尉 大隊長グリドール
になってます…
「どうして…俺は勇者っていう肩書きのままじゃ…?」
「君が提案したんだろう?軍力を強化って。」
「リオハさん…!俺は勇者のまま魔王を倒したかったんだよ…」
「こだわり、だね…ちなみに私は第二大隊、少佐だから立場上君の上司だよ。」
「俺が言うのもなんだけど特別作戦ってなにする訳?教えてくださいよリオハさん…」
「まだ決まってないらしいよ、相手の軍力、実力が不明だし。」
魔王襲撃まであと1日と9時間…王宮にてグリドールとリオハの二人は作戦会議に控えていた
「今回、この大隊を指揮することになった特別臨時大尉、グリドールだよろしく」
グリドールの担当する第一大隊は…
魔法を使い後方支援、負傷兵の治療をする魔導支援小隊が37名
戦場を駆け回り敵兵の情報、負傷兵の数を伝達する偵察、通信分隊が斥候、10名
近接戦闘を常とする第一第二戦闘中隊、60名
塹壕構築、物資補給をする工兵、補給小隊が10名
そして…上層部に無理を言い形だけの称号を貰い受けた「勇者」グリドール
またまた上層部に無理を言い法の穴をつき参加させたルナフェナ
上層部に呆れられながら参加を許されたヴァイラの約120人で構成されている。
王宮、第二執務室で自身の大隊に紹介を終えたグリドールはため息を吐く
「どうしたのグリドール君、そんな顔をして」
「なんか…こうも部下…仲間が多いのが慣れなくて…まだ飲み込めてない感じです」
「私は君が自身のパーティを無理矢理軍に入れたことを飲み込めてないよ」
「す、すいません…」
「いやなに、私も上に無理言ってるからね、攻めてる訳じゃないさ、入っていいよ。」
リオハが合図をすると勢いよく執務室の戸が開く
「え、リオハさんも誰か軍にいれてぇっ!?」
グリドールの懐に潜り込んだのは涎を垂らしたアスモデウスだった
「はぁ…はぁ…やっとこの音を聞ける…!」
「お前出会い頭に突っ込んで来るなよ…あと離れろ!」
「まぁ、彼女は自分から志願したタイプだね。」
執務室に入ってきたのはアスモデウスだけではなく姉妹も入ってきていた
「おー…悪魔達が居るなら心強いな…」
「でしょ、まぁ彼女らは私の部隊だから今のうちに仲良くなったほうが良いよ、君と私の大隊で合同作戦らしいから」
「え、マジすか…あ、よろしく…な?」
ワープへ挨拶するグリドール…
「さわルナ!こノ間抜け!」
頬を叩かれ失敗。
ベルゼアブへ挨拶をするグリドール…
「頭…潰しちゃってごめんな?」
「…別に、気にしてないから良い、宜しく。」
…成功?
「先が思いやられるな…」
~カドロ公国、某病院~
「立てるようになったのか!」
「まぁね、ずっと寝てるのも暇だし…」
トリスは点滴を打ちながらも二足で歩いていた
「なぁ、それより知ってるか?王国の方で魔王復活の噂がながれ…」
瞬間、ロアの渡した刀代わりの木の棒がロアに投げつけられる
「きみ…時と場合を弁えたほうがいいよ、その話題は辞めて。」
「…悪かった、でも…!」
「黙れっ…!次は殺しに掛かるぞ!」
「グリドールが戻ってきたんだよ!」
病室に静寂が流れる…トリスは見えないはずの目を見開きその色素が失われた瞳孔を日の目に晒す
「戯れ言を…」
「嘘じゃねぇよ、お前とも面会したがってる…!」
「嫌だね、もう僕は戦いたくない…別の道で贖罪をするよ」
「くっ…!お前言ってたじゃねぇかよ!愛する人が居るんだろ!」
言い合いは加速していく…
「違うね、あれはもう僕の知ってる人じゃない、あれは只の紛い物!ダミー!キメラだ!」
「てめっ…そんな奴じゃなかっただろ!」
「ああそうさ君達に見せてた姿は嘘っぱち!僕は人を万単位で殺してる!もう僕はエルフでもないただの魔物さ!」
トリスのその言葉にロアは怒りと悲しみを抱き、病室を後にしていく…
「刀、あの耳の娘が持ってる、俺からはそれだけ」
「…もう二度と来るなよ偽善者が。」
ロアの大きいはずの背中は悲壮感に溢れ去っていく
「何がシマトネリコだよ…あれはただの枯れ木じゃないか…」
トリスは感じていた、ロアの話には嘘が紛れ込んでいてその嘘で自身を鼓舞させようとしていることを
「刀…」
誰も居ない病室で言葉が響く、孤独。
点滴を外し、一人のエルフとも魔物とも取れる者が窓から病院を後にする…




