15話 筆座、知識と時間の流れを表す
「はぁっ…!はっ…!
「まだまだー!あと5回残ってるよー!」
「ちぐしょ…何でこんなことに…!」
俺が息切れしながら走っているのは理由がある、どうやら俺が魔流とやらを見るためには心拍数が1分に約200程必要なようでこうやって走り込みをして追い込んでいる、という訳だ
「はっ…ふっ…ふっ!」
「はーいすとっぷ!さぁグリドール君これを!」
目の前に出されたのは魔流のパズルが組み込まれた石、俺はこれを解くために4時間は走って解いてを繰り返している…
「ぐおぉ…あとすこじ…あと…す…」
激しい運動をした後パズルを解くため無意識に無呼吸へ、脳に酸素が行かなくなり聞きながらグリドールは気絶する
「あらら、お水置いとくね~」
ふふふ…やはり俺は天才だ…こんなにも早く魔流理論を完成させるとは…自身の才能が恐ろしい…
「くくく…ふはははっ!いいぞ!もっとだ!もっと俺に知を!我が手中にその権能をっ…!」
「こらこら思い上がらない…どう?外に出る方法は…って心配なさそうだね。」
「アルさん…あなたのおかげでかなり進んだよ、ありがたい。」
「ただ少し聞きたいことがあるんだ、なぜそんな知識を持ってるのにここから出ないんだ?俺が出来たんだから神のあんたにゃ容易いだろ?」
「…そうだね、少しお話しようか。」
魔流をほぼ理解したスリーフの隣にアルディスは座り口を開く
「魔王が僕の子ども達を殺す前、彼は…フェレスは僕の弟子だったんだ、今のグリドール君みたいにね。」
「彼は魔流を完全に制御し強大な力を手にした、それだけでは飽きたらず…これを読んでしまった」
アルディスは袖を捲り傷口を見せる、数秒程スリーフが困惑した表情で見ていると傷口が目のように開き、そこから本が出てくる。
「うっ…くっ…こ、これが前に話した禁忌だ、今の君になら少しだけ見せてもいいかな。」
「これ…何語だ?」
「それが分からないんだ、でも意味は理解できる、これは僕のお友達から貰った物でね、次元や世界線について深い見識が書かれてある」
本を手渡されスリーフがページを捲ろうとする、その瞬間本は勝手にページを進めアルディスは驚きの表情を浮かべる
「えっえっ?何これ?なんで勝手に動いてんの?」
「読者の望む物やこれから必要になるページが選ばれ、本はそれを見せる、変な本でしょ。」
「うわ…ほんとだ…意味は理解できるのに文字が読めねぇ…」
「その本は使い方を知れば有用、悪意有るものには破滅と絶望をもたらす物なんだ、だから僕は傲慢なフェレスに渡したくなかった…」
「へぇ…えーとなになに…?」
求むなら、与えよう 望むなら、与えよう
君が力を制御する時、どこかで人が死ぬ
受け入れ、操り、一を犠牲に全を救え
唱えろ dante kyrie dynami dino.
君と親愛なる妻、友人を救う手立てとならんことを
「13人、聖者ダンテ…」
「あぁ、彼か…君が今見たのは聖者、呪文、真理を司る神、ダンテの執筆したページだね。」
「彼は…裏切り、保身、破滅を司るイスカリオテという…堕天、いや悪魔と言おうか、それが彼に本が選んだページ。」
スリーフから本を取り返し自身の体に押し込んだアルディスは語る
「ゔぅっ…彼はっ…その悪魔に唆され僕の子供達を殺し…僕をここに閉じ込めた…」
「だが生き残った幸運な…いや、不運か…そんな子供達が三人居てね、それらを殺されたくなかったらここから出るな、と言われてね…」
「アルさん…」
「惨めだろう?神ともあろう者がただの子供三人を人質に取られ幽閉…でも!僕は彼を恨めない…」
「彼はまだ子供だ…!いくらでも間違う、でも…彼は…フェレス君は…取り返しのつかないことをしたんだ…!」
スリーフに見せる始めての涙、その威厳ある白き目から落ちる涙は悲哀に満ちていた
「はぁ…はぁ…おい、解けたぞ…!」
その悲しみが満ちた空間に風穴を開けたのはパズルを解き、鳥の形に変形した石を持つグリドールであった
「お、おいお前!空気読めよ!」
「あぁ?何が。」
「いや今アルさんが…!」
「あれいねぇじゃん、ここに居ると思ったんだがな…」
後ろを振り返ると既にアルディスの姿は無く、グリドールに変な目で見られることとスリーフはなる
「聖者、ダンテ…ね。」




