2話 反省、そして無気力
「ここが魔王城…外観だけで門番や見張りは無し…」
地下の牢獄へ吐き出されたリオハは辺りを散策していた
「牢獄は一通り見たけど誰も居ない…一体捕虜は何処へ…?」
「みんな死んだよ。」
「…!君は誰かな?」
牢獄の最後の区画を探索していたリオハに声を掛けたのはグリドールが腕を折ったあの態度の悪い男であった
「俺は最後の生き残り、まぁ生きてるのか死んでるのか分からんがな…1分後にはお前も俺も死体があり得る場所なんだよ、ここは。」
「そっか、君はどうしたい?ここから出たい?」
「いやいい、見たところお前は魔王討伐隊だな?どうせ俺は戦力にならんお荷物だ、好きにしてくれ、どっちにしろどうせ俺には生きる価値なんて…」
リオハは牢の施錠を壊し男の傍に座り話し掛ける
「君はさ、貴族だよね、どうしてそんなに卑屈なのかな?」
「お前貴族と分かっててタメ口なのかよ…まぁいい、魔王討伐の休憩とでも思って聞いてくれよ」
「俺、オーロライト王国の騎士団やってたんだ、そんで生まれもあって超優遇、俺は天狗になってた」
「うん、それで?」
男は天を仰ぎ涙が溢れないようにして話し続ける
「勇者候補試験って知ってるか?俺はあそこで…なんだろうな、越えちゃいけない線を越えたんだ」
「人を罵って…見た目や種族が違うだけで差別して…俺はバチが当たった、腕を折られ逃走、その後誘拐され気付いたらここにきていた」
「俺は知った、俺は非力だと、傲慢で性格の悪いクズには罰が待ち構えているとな、だからもう生にしがらみが無い、出来ることならあのドワーフに謝りたい…」
いつしか男は誤魔化せないほど涙を流し床を湿らせていた
「おいで」
「ぇ?」
リオハは男を抱き締め宥める
「よしよし…大丈夫、君はクズじゃない、謝りたいと思ってるならそれを目標にしなさい、生きるね」
「あぁ…」
男はこれまでの人生を振り返り自身に愛が足りなかったことに気付く
「俺…親いなくてさ、祖父の地位だけで貴族になったんだ、その祖父も早くに亡くなって…抱き締められたことなんて…無かったなぁ…」
「私と一緒に来て、そしてそのドワーフに謝ってその後は好きに生きなさい。」
「はい…」
そして男は心と魔王城の牢獄から脱出しリオハと同行することとなった。
「ねぇ、あんたそういえば名前は?聞いてなかったよね」
「リオハだけど…好きに呼んでくれていいよ。」
「えーじゃあリオっち!どう?」
「…」
男は気分の切り替えが早くリオハは引いていた
城壁東…トリス達は激戦を強いられていた
「…歯折れたし…マリアッチ君、まだ戦えるかい?」
「もう限界です…そういうトリスさんこそその傷…」
「うるさい、こういうの意識しない方が良いんだよ、そういえば仲間と離ればなれなったときの対処法言ってなかったね、教えてあげるよ。」
7体もの蛇頭の怪物が向かってくる中、トリスは笑顔でマリアッチに話す
「時間稼ぎさ!」
瞬間、奥の壁からロアが突進し3体の蛇頭を押し潰す
「へいへいへい!遅かったじゃねぇかトリスよぉ!」
「君が早かっただけだよ、それより残りの始末してくれるかい?もう僕身体動かせないんだけど。」
「もちのろんだぜ!俺とこいつに任せな!」
ロアはガトリングガンを起動し残りの逃げ仰せる蛇頭達を圧倒的弾幕で処理していく
「ぁ…」
「おう獣のお嬢ちゃん!どうだこの銃、ホレるだろ?」
その強さにマリアッチは呆然と観戦するしか無かった
「さて…ロアさん発見したし後は捕虜の確保と他の仲間の捜索だね、出来れば僕の刀を取り戻したい」
「おう!全部やろうぜ!立てないなら背負っていくぜ?」
「じ、じゃあお言葉に甘えます…」
「ありゃ、冗談でいったんだが… まぁいいか!」
ロアが合流し少し空気は軽くなっていた、上の階にいるグリドールを除いて…
「どーもー…一応殺さなきゃいけない?のかな?」
「あぁ?お前曖昧な奴だな」
「だって忘れちゃったもんー別に通りたいなら通っていいよー…」
ちぐはぐな発言を繰り返すグリドールの前に立つのはあのハエを従わせる少女に外見が近しい者であった
「じゃ通らせてもらうぜ」
「うんー…えいっ」
「…!何のつもりだ…」
敵意が無いように見せかけグリドールに攻撃を仕掛けるも避けられ残念そうな顔をするのであった
「いやー…なんか攻撃したらどうなるかなって…」
「なーに言ってんだお前。」




