28話 城への活路
「それで…不安定になったジャフの目が崩壊した時、何故かあの筋肉バカは突撃してバカデカい銃と共に今魔王城で一人で奮闘してる…と思う」
「ほうほう、それは何故そう思うんです?」
「俺は崩壊しそうになってるジャフの目をなんとか安定化させてたんだ、まぁ結局持たなかったとは思うがゲートにつっこむあいつの姿が一瞬見えてその後崩壊、ゲートは閉じて俺も下敷きに、これが事の顛末だ」
「…なるほど、分かった、で俺らは魔王城へ行けるのか?」
俯きながらグリドールは質疑を投げ掛ける
「それは君達の頑張りによるよ。」
「…!」
聞き覚えのある抑揚が無い声に分隊は振り向く、その声の主はリオハであった
「昨日ぶりだね、生き残り達」
「生き残りだと…?」
「16分前、例のジャフの目暴走により死亡しなかった運の良い重傷者がひっついた肉片の菌で免疫力が下がり君達以外の魔王討伐隊は死亡した。」
「じゃあ何でわたす達は死んでないんですか?」
「それは君達が無傷だったからだよ、傷口から入り込み敗血症を引き起こす菌でね、一瞬で身体中に広がり免疫を全て殺す物だったんだが…」
グリドールは思う、これからかすり傷一つ負っても例の菌に侵され死んでしまうのではないかと
「そういえば彼を見掛けないけどロア君はどこに行ったのかな?」
「ああそうだあんたに説明しないとな。」
スリーフは先程グリドール分隊にした説明をリオハにしてこれからどうすればよいか訪ねる
「~てことなんだ、あんた指揮官だろ?これから何をすればいい?」
「僕も君達の頑張りによるって言葉が引っ掛かってるな、どういうことですか?」
「いいよ、少しお話をしようか。」
「まず魔王城だけどあれは完全に異空間となりジャフの目を介してしか到達出来なくなってる。」
「え、ジャフの目は全部死んだんですよね?一体どうやっていくんです?」
「そう、各地のジャフの目は死んでいる、これを覗いて。」
リオハは空中にゲートを開けそこから小さな眼球が付いた肉片を取り出す
「スリーフ君、君の魔法を少し使うよ、いいね?」
「断ってもあんた勝手に使うだろ」
リオハはスリーフの頭に左手を翳し右手で肉片を浮かせて眼球は周りを観察するように動く
「これは厳密に言えばジャフの目ではない、がその代わりにはなる、そこで君達の力を貸してほしい」
「そもそもそれは何です?何故僕達の力を必要としているんですか?正直いって貴方のことを僕は信用出来ない」
「おいトリス…」
「…それもそうですね、信用に値するかは分かりませんが少し昔話を」
私はそもそも人間ではなく魔物に近い生物です、臓器の9割は存在せず魔力で補っています
それは何故か、私は…魔王と一緒に母親の腹の中で育ったからだ
魔物は生殖行動をせず大気中の魔力密度が一定の線を越えると発生する生物だ、が私は…私達は母親から生まれた存在なんだ。
私は魔物の血に人間が少し混ざった特殊な人間なんだよ、だから髪の毛は生えずこうやって声帯が発達してないから声も変に聞こえる
おそらく腹の中で魔力を奪われ身体機能の一部も彼、魔王に取られたんだと私は思う
魔王は生まれて数時間の内に母親の乳を一口飲んだ後殺してどこかへ去っていった、つまり母親の仇なんだよ彼は、だから私は幾年もずっと奴を倒すために策を練り魔法の腕を鍛えていた
ジャフの目は魔王の魔力で作られた異物だ、私も同じような魔力の性質を持っている、同じ血だからね。
この肉片は私がスリーフ君の助けを得て作った擬似ジャフの目…エシュラの目とでも呼ぼうか、これを作ったんだ
「…これが、私の過去及び出身と肉片の説明だ、納得したかい?」
「まさかあんたが魔王と兄妹だったとはな…」
「これを話したのは国王と君達だけだ、私からはこれしか信頼を築ける物が無い、どうか私を信じて力を貸してくれ。」
リオハは涙ぐみグリドール達に懇願する
「…いいぜ、協力してやる、俺は何をすればいい?」
「ちょ、ちょっとグリドール!僕は嫌だからね!魔王と兄妹なんて更に信用が…」
「トリス…いい加減気付け、あいつは嘘をついているように感じるか?」
トリスは心では否定していた、だが体は千年の経験から彼女が嘘をついていないということは火の熱を感じるより明らかだと主張していた
「くっ…分かったよ、ロアさんのことも心配だし、協力しますよ…」
「マリアッチ、お前はどうする?」
「あ、わたすは皆が協力するならわたすもします!」
「よし決まりだな、それでリオハとやら、どうすればいい?」
「ありがとうグリドール君、皆、じゃあ説明するね…」
「早く俺の頭から手をどけてくれこれ微妙に気持ち悪いんだよ…」
擬似ジャフの目…名付けてエシュラの目の起動方法をリオハは語る…
前回の話でマリアッチのゲロによって助かったグリドール達、これについて少し説明を
まずマリアッチは人の見た目を変化及び状態を変えることが出来る魔法を使う
前日に食べた物を胃液で包みゲル状に変化させそれを喉から逆流させて排出。
これは魔法の基本、魔力変換に基づく基礎的な物
Q.魔力変換とは?
A.まず人間には大気中の酸素及び自身の栄養素を魔力に変換してそれを操る器官が存在している
その器官は肺のようにポンプ式で酸素を取り込みそれをミトコンドリアのような細胞で魔力に変換、そしてそれを手や杖を媒介にして放出が出来る
これが魔力変換
魔力はこの世の全ての元素に変換できる特殊な物質で例えば炎を出す魔法は魔力を可燃物に変換しそれを大気中の酸素と反応させ燃やすというプロセスがある
マリアッチだと胃の中で昨日食べた物(栄養素)を魔力に変換、そしてその魔力を高分子の網目構造にして胃液を閉じ込める、そうするとゲルが出来る。
正直、これを作中で説明しないと意味が無い。




