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19話 真冬の決闘

「ほんとは、もうちょっと雰囲気あるとこで話したかったんすけど…」


ジャックは決意を込めてその髪を靡かせながら口を開く


「もう、戦うのをやめてくださいっす。」


ジャックの唐突な物言いに病室は沈黙と外の冷ややかな風に包まれる


「話を続けてくれ」


その沈黙を先に破ったのはグリドールだった


「グリさん、いつもそうやって戦いの後は大怪我で身動きが取れなくなってるっすよね、治って戦って、傷付いて治して戦って…どうしてそこまでして戦うんすか…!」


「それはお前も分かってるだろ、俺は守るべき物や目標があるんだ、話したことは…無かったが。」


「じゃあ話してくださいよッ!いつもそうやって皆の為人の為って!少しは自分の体を省みてくださいよ…もうあたしグリさんの傷付いてる姿見たくないっす…!」


「…分かった話そう、だがここではヴァイラもいるしじきに騒ぎを聞きつけた奴が来るだろう、場所を変えよう。」


ベッド下の松葉杖を取りグリドールは頭の包帯を外す…


「グリさん…!その顔…!」


グリドールの黒髪は毒により白く染まり顔は黒い発疹に埋め尽くされていた


「俺の相手の牙に毒魔法が掛かっててな…この有り様だ…」


「…屋上に行くっす…」


グリドールの予想通り窓が割れた音に釣られた警備の者達に背を向け2人は屋上へと進む…


「もう、冬だな。」


「…」


「聞いててくれよ、ジャック」


その毒に侵された髪色のように白い吐息を漏らしながらグリドールは語り始める。





昔から俺は体が強かった、腕を振れば岩を砕きどんなに大きい魔物でさえ俺を一歩も動かせない程にな


14の夏、あれは暑かった…その年齢もあって俺はドワーフの村一番の傲慢さを持つ若者だった


ドワーフの村じゃ強さが一番だったもんで俺は正に武神のごとく扱われてた


ある時、とある魔物が村に火を放ちドワーフ達に宣戦布告をした


そいつは強かった、俺の家族や仲間は死に、村の建物も全焼、俺は立ち向かった


でも、敵わなかった、力不足だったんじゃない、効かなかったんだ、あの時の俺は魔法を知らなかった


そいつは言った、魔法だけではなく魔力の使い方すら知らぬ者には死すら値しないと。


俺は見逃された、四肢の筋肉を潰されてな、村の人は俺を非難した、当たり前だろうな、強さで許されていた行動の全てを禁じられた


そこから俺は数ヶ月親の脛をかじって暮らした、体が治った時には奴隷のように働いた


土を投げられ手が豆と血だらけになろうとも俺は村の全ての力仕事を一晩中こなして泥のように眠る


そんな生活が5年は続いたある日、またあいつが来たんだ、村人は恐怖し、命乞いを始めた


俺はそいつの顔を見て一瞬でそのボロボロの体に鞭を打ち足の腱が切れようと腕の骨が折れようと立ち向かった


魔法で無効化出来るレベルの攻撃は既に越していた、だから頭を潰し内臓を引っ張って食い破った


結果、俺はそいつに勝った、嬉しくはなかったさ、命を断って嬉しい奴なんていない。


そいつは死に際魔王について話した、いずれ世界を破滅に導き村ごとお前を殺すだろうと


俺は何も言わずそいつを土に埋めた、村人は俺を化物と言いお前のせいで魔王に皆殺されると物を投げつけ俺を村から追い出した


そこから俺は世間に馴染み、勇者候補試験について知った俺はそこで決めた、勇者になり、魔王を打ち倒せば村の人は俺を認め普通の暮らしをさせてくれるだろうと


命は戻らない、だけどこれからの命は守れる、俺の信念はそこにある。


「これが、俺の戦う理由だ。」


グリドールは喉まで到達した毒にやられか細い声でジャックに自身の行動理念を伝える。


「そんな体で、何が守れるっていうんです、そんな考え方じゃいつか壊れちゃいますよ…!」


「俺は壊れないさ、何せ生まれつき体が強いからな、いや、体しか強くないんだよ…!」


「魔法も使えん、家族や仲間の命も守れん奴にはな…!もっと強くなって他の物を守るしか無いんだよ…!」


「強く…なるしか…無かったんだよ…」


グリドールは勇者パーティを組んで初めて涙を流した、松葉杖を投げ捨て独白をする


「じゃあ…証明するっす…本当に、あたし達仲間を守れるのかを…!」


ジャックは背中から武器を取りグリドールにその銃口を向ける、その他にもジェットパックや火炎放射器など様々な武器を取り出し明らかな戦闘態勢に入る


「本当にその意気があるなら!そんな状態でも守るべき対象を負かせるっすよね?」


超大量の武器を向けられ丸腰のグリドールは体中の包帯を取り拳を構える


「…来いよ。」







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