16話 あとは任せた
「っ霧…?」
結界を開けている者を探すグリドールの付近には霧が立ち込み視界での捜索がほぼ不可能となっていた
「前が見えねぇ…だが!」
グリドールは視覚が使えない代わりに匂いと気配で探ることにした
「すんすん…ここら辺空気の流れが違う…それに腐ってる匂いがするな…段々匂いも強くなってきてる…!」
匂いの元凶に近付き攻撃を仕掛けるグリドール、がそれを敵が許すはずもなく…
「ギャウ!」
火花が散りグリドールは距離を取る
「おい!この結界破壊魔法を解くなら見逃してやってもいいぞ?」
「グルルルル…」
「話せないのね…はいはい」
犬のような風貌をした魔法使いは霧に紛れグリドールに奇襲を仕掛けようとする
「てめぇ風呂入った方がいいぞ、匂いでばれてんだよっ!」
それを上手く交わしカウンターを仕掛け敵にダメージを食らわせるグリドールは違和感に気付く。
「何だ…匂いが…」
空気中の匂いが硫黄の匂いからどこか爽やかさを感じる青臭さへ変貌していることに気付くのに時間は掛からなかった。
「ぐぁっ!」
匂いの変貌に動揺し攻撃を受けてしまうグリドールは態勢を整え迎撃の準備をしていた…
同時刻、王国上空にて…
「結界の方は!まだ直せないの!?」
「いかんせん足場が…魔力が安定しません!」
飛翔する鯨の魔物の相手をするヴァイラに破れた結界を直さんとするルナフェナは苦戦していた
「鬱陶しい…大技放つよ準備して!」
「はい!」
ヴァイラの角は黄金に輝き二対の角から雷が出で目の敵の鯨を貫かんとしていた
「おとなしく…してよね!」
雷撃が鯨の魔物を襲い空気が蠢く、煙が晴れると鯨は勢いこそ落ちたものの未だそこに飛び回っていた
「くっ…何てタフさ…」
「あともう少しここに魔力を注ぎ込めば…!」
それを鯨が許すはずもなくその場で動けない2人にその巨体を生かし突撃を繰り返していた
「上じゃ随分激しくやってるみたいだな…あいつの雷が空気をイオン化しやがった…そのせいで鼻が使えねぇ…!」
地上でも同様の事が起こっていた、グリドールは鼻と目が使えなくなり感覚のみで敵と戦っていた
「くそっ…雷の音で足音が…ぐっ!」
「だが…こっちにも考えはあるぞ!」
五感のほぼ全てを奪われ極限状態となったグリドールが戦闘センスをフルに使いその場で編み出した作戦は…
「ドワーフ…舐めんなぁ!」
地面を殴りその衝撃波で霧を晴らすというあまりにも間抜けな物であった
「ギャッ!」
「見えたッ!逃がすか!」
しかしその突飛な作戦は成功し魔法使いの首根っこを捕らえたグリドールであった
「相手が悪かったな」
魔法使いの頭を潰すと地上の結界の穴は塞がり魔物の侵入は防がれようとしていた、が未だ市民の避難は上手くいかず街に残る魔物は市民を殺し回っていた
「次は残り…速くいかねぇと…」
しかし魔法使いとの戦闘で負った傷は深くグリドールは血だらけであった。
「血…足りねぇ…」
その場で倒れたグリドールの意識は朦朧としていたが見えた光景が一つ。
「ん…!ジャック…!俺も…戦わねば…」
市街地にて引きこもっていたはずのジャックが多種多様な武器を使い侵入してきた魔物を撃退していたのである
「ちょ、ちょっとまだ治療は…」
国から使わされた治療班は重傷ながら未だ戦おうとするグリドールに畏怖の感情を抱いていた
「やべ…あんたの言う通り動けね…ぇ…」
グリドール、結界の穴の一つを塞ぎ重傷により気絶、戦闘不能状態となる。




