11話 ハートブレイク
「なぁ…俺ら既に2時間は走ってるぞ…一体いつ着くんだ…」
「まぁしょうがないよ、だって王都からここまで250マイルくらい離れてるもん、丁度今半分くらいだね。」
「えぇ…流石に少し疲れたぞ…」
「うん、じゃあ休もうか。」
近くの木陰に座り、2人は水分補給をする
一方王都では…
「なぁエルフさんよ…働きすぎた、少しは休んだらどうだ?」
既に陥落したセントゲート中の人間が王都へ転がり込んでいた、リッジもその一人である。
「じゃあリッジさん…珈琲でも貰います…」
目に隈を作りルナフェナは王都の結界と魔法の出力を補助する杖を四六時中作っていた
「ただいま…疲れた…」
ヴァイラは飛べる為偵察の任を受け連日ヘトヘトの体でリッジの仮拠点へ帰還していた。
「世知辛いな…こんな状況なのに俺は何一つ出来ねぇ…ジャックも…あんな調子だし…」
ジャックの部屋には幼少期に作ったであろう入らないでねと書かれた看板が掛けられ中では一人泣きながらうずくまるジャックの姿が会った
「とにかく時間が無いんです、兵士の数も武器も何もかも人類には残されてません、今は自分の任で皆手一杯なんです。」
「しかしだなエルフさん…あの子はパーティメンバー何だろ?俺は完全に拒絶されてるんだ、あんたに何か言ってほし…」
ルナフェナは机を叩き珈琲を溢す。
「今言ったでしょう!ギリギリなんですよ私も!グリドールさんが居なくなったと思ったら魔物が攻めて来て…それから…それから…」
自身の製作した杖を折るルナフェナの目には自然と涙が浮いていた、それを察してかリッジは何も言わず自室へ戻っていった
「私だって…余裕があるなら他人も気遣えたんです…でも…あいつらが全部変えて…!」
金を持ち夜逃げをする貴族に意見の相違から機能不全となった政府に国民は疲弊しきっていた。
そうしてルナフェナは気付く、想定外の速度でナニカが近付いていることに、ヴァイラを起こし、ルナフェナ自身も武装し迎撃の準備をする。
「結界を破るなんて…何て強さだ…!」
「もう戦いたくないよ~…」
まるで彗星のごとく現れた者の正体は正にグリドールとトリスであった。
「ぁ…」
「よぉ、遅くなったか?」
「いや~この人が全然スタミナ無くてね、困っちゃうよほんと…」
ルナフェナが喜びの言葉を吐く前にヴァイラはグリドールに飛び掛かり抱きついていた。
「グリドールさん!おかえり!おかえり!」
「おっと…はいはいただいま…」
「う~ん妬けるねぇ…そこのエルフの子…ルナフェナ君は何か言うことは無いのかい?」
ルナフェナは言葉に成らない声を上げ号泣しながらヴァイラと同様にグリドールに抱き付く。
「良かった…あなたが来てくれて…はっ!と、取りあえず状況を説明するので中へ…!」
「あそれは僕が教え…」
グリドールの腕を掴み半ば強制的に仮拠点へ連れ込むルナフェナであった。
「はぁ…まったく、話を聞かないエルフは困るねぇ…?ん?あれ?あれれれれ?」
トリスも入ろうとするも時既に遅し、鍵が物理的にも魔法的にも3重に掛かっていた
「…僕は王宮の方へ行くか…」
とぼとぼと歩くトリスの背中はどこか侘しく少し活気付いていた。
「で、その後私は逃げ出してもうめちゃくちゃで…」
「それも走ってる最中トリスの野郎に教えてもらった、俺が気になるのはジャックだ、今何処に居る。」
「あ…それは…一応あそこの部屋に居ますが…やめといたほうが…」
「分かった、ありがとう。」
グリドールはジャックの部屋に近付きそれを察したか部屋のドアが開き多種多様な兵器がグリドールに刃を向ける。
「もう来ないで欲しいっす…」
「ジャック。」
「3秒以内に退かなかったら全弾発射するっす。」
「…分かった。」
グリドールは3歩下がり頭を抱える
「嫌な…予感はしてた…」
「ジャックさんね、グリドールさんが居なくなってからずっとああいう感じなんだよ?」
「俺にも責任はあるな…」
重圧がグリドールにのし掛かる
「話の続き、始めましょうか…」
ルナフェナは今後の作戦について語る。




