4話 キャビテーション
「ぅわぁ!?へ!?だれ!?なに!?」
グリドールの想像する大陽の化身のイメージは崩れる、それもそのはず、目の前にいるおそらく大陽の化身と思われる者の姿形は正に小さな子供であったからだ。
「あどうも、俺グリドール、よろしくな」
「やっ無礼者ぉ!この場から出ていけ!」
「いやでもなぁ俺お前に会うために来たんだよ…」
ぽこぽこと近くのぬいぐるみを手当たり次第に投げられるグリドールであった
「そんなの知らない!出ていかないと言うなら…って君…目が…」
大陽の化身とやらはグリドールの片目を見た途端しおらしくなる
「あぅ、あのごめん、なさい?大きな声出しちゃって…」
「いやいいんだ、俺も成功するとは思ってなかったし」
「というかなんで壁すり抜けて…変なゴーグルしてるし…ああもう質問がいっぱいだよ!」
しかし未だ払拭できずにいる壁をすり抜けてきた不審者のイメージ
グリドールは大陽の化身を落ち着かせ話を聞く。
「えっと、グリドールさん、僕はソルナークって言います、大陽の化身って皆は言うけど、そんな大層なものじゃないんです」
「というと?」
「大陽の力を使えるのは事実ですけど…僕は未熟だしそれに人間が僕に近付くと…」
「近付くと?」
「僕体の中で核融合してるんです、だから飲み食いは必要無くて、それで…」
「放射線出してるので長くここにいるとグリドールさんは死にます…」
衝撃の発言にグリドールが凍る、しかし室温は高かった
「マジか…」
「というか何でこんな近くにいて体崩壊しないんですか…こっちがドン引きですよ」
ソルナークが言うにはある程度の魔力耐性や身体強度があると少しは耐えられるが、グリドールは規格外だと言う。
「えっと、グリドールさんはその片目ですね?ちょっと待っててくださいね…」
ソルナークはグリドールの目に手を翳し、光が出始めたその時、地震が部屋全体を襲う。
「何だ!?」
「これは…また月の軍勢が攻めてきてます…もう嫌です…」
「は!?月の軍勢?聞いたことが無いぞ…」
それもそのはず、月の軍勢は機密であり、民衆から隠されているためであった
「説明しますね」
ソルナークは口を開き月の軍勢について語り始める
「僕は大陽から生まれてこの地に降り立ったんですけど、月の化身も同時に来たんです、それであいつは何故か僕に敵対的で…僕は怖くて引きこもってたんですけど最近になって居場所が…」
「なるほど、こういうのは前にもあった、俺に任せろ、こんな状態でも戦える。」
「そういうレベルじゃないんです!奴ら僕が直接大陽の力を宛がわないと死なないんですよ!それで僕はもう死ぬのは見たくないんです!追い払うだけにしてください…」
切実な願いに答えるようにゴーグルを掛けグリドールは壁をすり抜けるのではなくきちんと扉を開け外に繰り出していった。
「あぁ、分かった、行ってくる。」
グリドールが走り出し曲がり角を曲がると既に月の軍勢がすぐそこまで来ていた。
「アンデットっぽいが少し異様な雰囲気だな…」
月の軍勢は人間だけではなく、魔物やエルフの骨まで使い、からからと音を立てグリドールに攻め立ててきていた
「俺1人の戦闘は久々だな、腕が鳴るぜ」
グリドールは腰に着けていた短剣を抜き、月の軍勢に突入していった。
「やはりこいつら手応えがない!あいつの言ってたことは本当だな…ん?あの奥にいるのは…」
雑魚兵を蹴散らすグリドールの研ぎ澄まされた狩人のような目が捉えたのは魔法陣を書き続けるエルフの人骨兵であった
「どけ!おい!お前かこいつらを操ってるのは!」
「貴様…ドワーフか…面倒だ…」
エルフの人骨兵は左手をあやとりのように動かし、魔物の兵士をグリドールに手向ける。
「ふん!こんな雑魚一振でっで!?」
余りの堅さにグリドールの短剣は折れ、隙を晒してしまう
「今日こそはあやつを惨殺してくれよう、その為にはまず貴様だ!」
次々と押し寄せる魔物の骨兵士にグリドールは飲み込まれていく。
「くおぉ…身動きが…」
グリドールは無理矢理体を動かす、するとめきめきと骨の軋む音と叫び声も魔物の骨兵士の渦の中から聞こえてくる
「あがぁぁ…」
「貴様少しは強いな、我のコレクションに加えてやろう、光栄に思え。」
「やべぇ…これは思ったより…死ぬ"」
その瞬間、骨兵士を雷撃が襲う。
「この雷は…!」
「グリドールさん!だいじょうぶ!?わたしが来たよ!」
援軍、ヴァイラの到着である




