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1話 傷と光

「はい、点滴変えましたよ~」


「なぁ…俺もう動けるぞルナフェナ?」


「駄目です、2ヶ月は安静です!」


「はぁ…まぁお前が言うならそうなんだろうな。」


先の戦いにて大怪我を負ったグリドールは王立病院にて治療を受けていた


「にしても俺なんで生きてるんだ?あの出血量だと既に死んでると思うんだが…」


「あぁグリドールさん一回死んでますよ、厳密に言えば心停止ですが。」


「…えマジ?」


あの時グリドールに起こった事をルナフェナは細かく説明していった。




遡って3日前、グリドールのパーティは奪われたヴァイラを取り戻すべくトリスを倒さんとしていた。


しかしトリスの圧倒的な強さにより片目と腹を貫かれ一時撤退を余儀なくされたグリドールであった


「グリドールさん!今治します!死なないでくださいよ!」


「あたしが時間を稼ぐっす!」


皆の声が…遠のいていく…俺…死ぬのか…?


「心臓の動きが遅くなって…グリドールさん!意識を保って呼吸を…!」


グリドールが呼吸をすると、萎んだ肺から空気が漏れ、風穴の空いた腹からは血がドクドクと流れでていた


「こ、こういう時は魔力で疑似血液を作って…」


魔法陣を空に描くルナフェナの声と手は震えていた


「あぁ…心臓が止まって…駄目です…グリドールさんは死んじゃ…」


「…思い出しました、本来は禁じられてる物ですが状況が状況です。」


ルナフェナの手から緑色の光が漏れだし、グリドールの心臓に輝く鎖を掛ける。


「これで鼓動を再現…そして血液と酸素を魔力で代用…は魔力量が足りないから不可能…ならば!」


「後で謝りますジャックさん!今はグリドールさんの命が優先です!」


光学的煙幕の中にいるジャックの心臓目掛けて緑の鎖が突き刺さる。


「これは双子の呪いとほぼ同じ…でも呪いは後天的に付けるのはかなり難しい…」


「だから開発された魔法!禁術発動!想い人の愛!」


ルナフェナがグリドールの体中に魔法陣を書きハートマークが心臓に刻まれるとグリドールの体は再生し呼吸を再開した。




「それで今に至るんですよ~」


「へぇ…で俺に掛けたその…想い人のなんたらっていうのはどういう魔法なんだ?」


「あ…イヤ…ちょっと忘れちゃったな~?」


「ルナフェナ…」


「す、すみません…ちゃんと説明します…」


包帯越しでも分かる程に心臓部が翡翠色に輝くグリドールはルナフェナの話を真剣に聞く。


「あ、あの魔法は双子の呪いとほぼ一緒です、戦ったことありますね?」


「あぁ、あの兄弟の…」


「あれは全部先天的な物なんですが、でもむりやり魔法体系に組み込んだ物が想い人の愛です」


「双子の呪いと同じく再生力はありますが少ないです、でそこでなんですが…」


「ほう…?それはありがたいが…」


言いずらそうなルナフェナを催促しグリドールは聞く体制に入る


「あの…片方が死ぬともう片方も死にます…でグリドールさんと対になる人が…」


「まさか…ジャックなのか?」


「はい…でもあの時は緊急で…」


「何してくれてんだお前ェ!」


包帯で巻かれた拳をルナフェナへ放つ。


「痛い!で、でもジャックさんそれを話したら」


「すー…マジすか…ちょっと実家帰って親方に話してくるっす…」


「って言ってましたよ!?」


「マジか…あいつ覚悟決まってそうだな…」


そして2ヶ月後、リハビリにより走れるまで状態が回復したグリドールの片目は未だ治っていなかった。


「これ…全然治る気配が無いが…大丈夫なのか?」


「うーん…いかんせん傷が深すぎて神経や骨まで斬られてるんですよ、脳に損傷がいってないのを感謝すべきですよ」


「そうか…一生集眼かぁ…」


「一生て訳でも無さそうですよ、ほらこれ」


ルナフェナは新聞の見出しをグリドールに見せた。



大陽の化身、盲目の女性を治療する


「暖かい光に包まれてる感覚」


とのこと、我々グリフ新聞社は真偽を確かめ中…


「ほぉ…大陽の化身ねぇ…」


「行ってみてもいいと思いますよ、勇者候補試験まで時間ありますし、騙されたと思ってどうです?」


「ま、行くか、ヴァイラも勉強詰めで暇してるだろうし」


「そうですね、じゃ出発の準備をしておきましょう。」


3人は大陽の化身がいる街、サン・シャンバリへと向かう…



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