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27話 とりすくんのおはなし

僕は目が見えない、生まれつきだ、それのせいで魔道書が読めなかった、だから魔法が使えなかった。


でも一つだけ抜きん出て出来ることがあった、剣技だ、刀を握っているときだけは目が見えているかのように感覚が研ぎ澄まされた。


「お前、気味が悪いんだよ、魔法も使えない癖に調子に乗って下品な刀を振るって!」


「ごめん…」


1000年以上前、僕は虐められていた、別にどうでもよかった、刀さえ僕の手元にあれば良かった。


刀が好きだった、鏡みたいに綺麗で上手く斬れると気分が良かった。


父が好きだった、僕の刀の才を認め魔法なんか使えなくていいと言ってくれた。


でも父は死んだ、原因は分からない、朝起きると父は既に冷たくなっていた。


「なぁ知ってるか?トリスの親父死んだらしいぞ…」


「きっと呪いだわ…刀ばっかり振るって気持ち悪いから神が天罰でも下したのよ…」


ひそひそと話す奴らを許せなかった、殴って蹴って傷だらけにしてやった。


それを村の人は許してくれなかった、刀を没収しようとした、僕は人生で初めてどうしようもないほど憤怒した。


村の人は刀の鍔を僕が寝てる隙に奪い粉々に破壊した、それを明朝僕に見せいい気味だと笑った。


僕は刀を握った、人に向けるのは初めてだった、あまりの握力に持ち手が崩れてしまった、でも僕は刀身を血で染め握った。


気が付くと村の人は死んでいて村が燃えていた、僕は何も感じなかった、このまま飢え死にしようと僕が座り込んだとき、彼女は来た。


「これ、君がやったの?」


「…竜?なんでここに…あぁ、僕がやったよ。」


「その刀だけで?凄いじゃない。」


そこから竜は何度も僕の元を訪れ次第に僕は閉じていた心を開いていった。


「そう、そんなことが…これからはそうやって生きていったらどうかしら?」


「え?」


「好きなように刀を振るって、邪魔なやつは切り伏せる、わたしはそうやって生きてきたのよ、竜だからね。」


それから僕は好きなように生きた、竜と共に生活をして、気ままに刀を振るった、あの時から僕は彼女に好意を寄せていた。


「ねぇ、ヴァイラ、僕ね、君のことが…いや何でもない!」


「どうしたのよトリス、いきなり」


僕らは名前を付け合い、生きる意味を見出だした、そこに種族の壁は無かった、僕は人を愛せるのだと


それから20年が経とうとしていた時、僕はまた神とやらから奪われることになる。


「ねぇ、トリス、愛って知ってる?わたし最近知ったのよ」


「え、勿論知ってるけど…」


「わたしね、人間の子を孕んでるの、わたしに愛を教えてくれた人のよ!」


祝福したかった、でも僕は出来なかった、喧嘩して、別れて僕は一人で生きることになった。


結局僕には刀しか受け入れてくれる物が無い、人を愛すなんて僕には少し傲慢が過ぎたようだ。


そこから数年が経ち、ヴァイラの子が生まれた、名前は母と同じらしい、僕はヴァイラの旦那に呼ばれて様子見していた。


ヴァイラの子は体が弱いらしく、悩んでいるようだった、それを見かねて旦那はとある禁術をヴァイラに教えた。


母を犠牲に子を強くする術だ、代償に子は1000年眠るらしい、僕は許せなかった、この世にヴァイラが居なくなってしまったら僕は世界を滅ぼすと2人に言ってしまった。


旦那は怒った、弱い汚い腕で僕の刀に触れたから殺しかけた、でもヴァイラにこう言われた。


「もうやめてトリス!あなたも互いに傷付けるのはもうやめて!」


僕は絶望した、言い表せようも無くなんと言えばいいか分からない感情に身を包まれ気が付くとヴァイラは居なくなっていた。


旦那から傲慢にも長く生きる僕に頼みがあると言われた、子が目覚めるまで守ってほしいと、僕は拒否した。


でも僕には断れない理由があった、1000年後子が目覚めたら子とヴァイラを分離して後は好きにしていいと。


不本意だが承認した、別れの言葉も言わず仲違いをしてしまったヴァイラに謝りたくて子を守った。


まもなくして旦那は死んだ、別に何も感じなかった、そいつは村を大きくさせ国とやらを作り王の座に付いていてその場で死んだらしい。


僕はまた一人になった、でも必ず1000年経ったらまたヴァイラと一緒になれると信じてた。


「あ…」


(?なんすかこれ、刃先がすんでのとこで止まった?)


トリスはヴァイラに向けて振り返り涙を流しながら言葉を遺して倒れた。


「ヴァイラ、ごめんね。」








トリスはエルフだが、あまり老化しない特異体質。



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