26話 暴れる闘気
何か見える…これは何だ?トリスの野郎の動きが遅くなって…というより世界が遅い…?
「ふっ…ふっ…」
極限状態になりそれを上回る激怒を味わったグリドールの感覚は研ぎ澄まされ、あまりの集中力により世界が遅く見えるほどであった。
「なんだ?動きが変わった…?」
左に半歩…後ろに2步下がり側頭骨を突いて怯ませる…
「あれ、なんか急に攻撃が当たらないなぁ?」
隙を作るとこいつはすぐ乗っかってくる…そこを突く…
トリスは構え納刀する、居合いの姿勢である
来た…!片目を潰す!
「グリさん危ない!」
ジャックが大声を出すも遅く、グリドールの右目は真っ二つに斬られていた
「はえ?僕の腕…」
がそれと同時にグリドールは怯まずトリスの頭を突き腕力のみでトリスの左腕を切り落とす暴挙に出ていた。
「ふっ…ふっ…っぐごぉえ!」
「グリさん!」
グリドールの脳を酷使し肺が萎んでいるというのに深く呼吸して動いた反動が今ダイレクトにグリドールの体を襲う。
「腕…斬られた?腕力で?この僕が?」
がしかしそれはトリスの方もほぼ同じ事態だった、生来であまりダメージを受けたことのないトリスは突然の出来事により困惑していた。
「あ、ありえないよ君、マジで」
「はぁっ!はぁっ!」
「息を吸わないでグリドールさん!今、いまなおしますからぁ…しなないでぇ…」
ルナフェナが治療するももはやグリドールは戦闘不能状態であった
グリさん…ありがとうっす、そんなになるまで戦ってくれて、もう休んで言いっすよ。
「次は、自分が相手っす…!」
怒りに燃えるジャックを目にして動揺が収まらないトリスの背後には、ヴァイラが襲いかかっていた
「もう!お前らなんなんだよ!本当に人なのか?!少しは痛がれよ!怯めよ!」
「人だからっすよ、大事な人を想う力は痛みに勝るっす…」
「やっと、その表情が歪んだっすね…!」
ヴァイラと一緒にトリスを挟み撃ちするジャックの顔はもはや怯えは寸分も残っておらず、笑みさえ溢れていた。
「想う力、ね。」
「僕はもう忘れちゃったなぁ!?」
「ヴァイラちゃん、あたしの援護頼むっす!」
「うん!」
片手になり戦力が落ちたはずだが未だ衰えない剣技に2人は挟撃をすることにした
「全く、いつの時代も面倒だね人間は…」
グリさん、あなたの気持ち少し分かったかもっす…あたしも観えてきたっす…
「また煙幕か、芸の無い…」
「わたしあなた許さないから!人の大切なもの奪おうとして…」
煙幕内でヴァイラとジャックの猛攻を受け流すトリスの顔には疲れと焦りが見えていた
「少しパターンが分かってきたよ、そこだね?」
トリスが刀を投げるとヴァイラの顔を掠めていった
まずいっす、相手がこの煙幕に慣れてきた…ならば!
「趣向を変えましょうか、ヴァイラちゃん、アレやるっす!」
「わかった!息はわたしに合わせて!」
アレとは何だ…?いや問題ない、僕は全てを切り伏せるのみ…
「かかってこい」
トリスが構えるとその姿に一切の隙は無く太刀の間合いに陣の模様が現れた
あの模様…本能で入ったらやばいのがビンビン感じるっす…
「片手での居合いは初だよ、ここまで追い込まれたのもね」
「そりゃどうも!」
ジャックがガンブレードを分解して剣を取り出しそのままトリスへ投げる、剣はトリスの腕に張り付き抜刀するのを阻害していた
「んなっ…」
「あとはわたしが!」
間合いにヴァイラが入り、0距離での雷撃魔法をトリスへ食らわせる
「効くっすよね~それ、電撃増強装置取り付けてますから!」
気付かなかった!あの煙幕で僕にいつの間に付けていたのか…!
「確かに…これは効くね…」
あれ…これ食らったことがある気が…
「今がチャンスっす!攻撃を続けて!」
そこからトリスは様々な攻撃魔法を0距離でノーガードで食らい続けた。
「でも、僕がこんなので怯むと思うなよ…伊達に長く生きて無いんだよ…!」
トリスは腰から光輝く石を取り出し握り潰した
「…!ヴァイラちゃん離れて!」
「もう遅いよ。」
瞬間ヴァイラは切り刻まれトリスは刀の血を振り払った
「あれは…親方から聞いたことがあるっす、魔法攻撃を使用者に無効化する効果を与える石!」
「正解、効果時間は短いけどね、散々やってくれたねぇ…!」
ジャックに刃を振るおうとした瞬間、ヴァイラが叫ぶ。
「もうやめて!皆辛いだけよ!互いを傷付けるのはもうやめてぇ!」
あ…思い出した…1000年前、僕は…
トリスの刀はすんでの所で止まる。




