24話 黒刀の斬撃
「さて…もうそろそろかな、随分大人しくなったね、ヴァイラちゃん。」
「…」
「というか、何故そんなに嫌がるんだい?別にいいじゃないか、君は普通の女の子になってお母さんは君から解放されるんだから」
「お母さんがわたしに遺したものなの…!離したくないの!」
「まぁ好きに吠えてればいいさ、どうせ助けは来ないしね」
突如、空間が裂けトリスの懐に攻撃が当たる。
「あ"?」
(なんだ?今何もないとこから…)
「よぉ、久しぶりだな」
「何を言ってるのか分からないな、まだ2日しか経ってないよ?」
「ちょっと事情があってな、んなことはどうでもいい、ヴァイラを返せ。」
「年端も行かない少女を誘拐する悪いやつを懲らしめにきたっす~」
「今回だけは本当に怒りましたよ、あなたは許しません!」
月光が指す下には歴戦の風格をした3人が戦闘態勢を取っていた。
少し前…
「お前ら準備は出来たな?バックアップはこのスリーフに任せとけ」
「頼りになるっす、じゃ行って…くるっす。」
ゲートに入らんとするジャックの体は震え強ばっていた
「落ち着け、俺がいる、お前は一人じゃない」
「私もいます、大丈夫ですよ」
「ありがとうっす」
「もう開けるぞ、勝負は一回きりだ、さぁいってこい!」
そして今にいたる…
「私はヴァイラちゃんを解放します、皆さんはそいつの相手をお願いします」
「あぁ、任せとけ」
「計画に邪魔が入るのは1000年前から変わらないね、やっぱり人間って面倒だなぁ…」
「呑気っすね、すぐにその顔歪ませるっす。」
ジャックが右腕から武器を取り出しその刃先をトリスに向ける
「おや、見たことのない武器を使うねぇ…見た目からして銃火器かな?」
「半分正解っす…」
この代物はバワーの守っていた宝箱の中身とデュラハンの剣を合体させた…名付けてガンブレード…!
トリスが刀を鞘から出す前にジャックのガンブレードが火を吹き煙が辺り一面に舞う。
「いや~…驚いたよ、その小さいのからそんな威力が出るとはね…でも近付いたらどうかな?」
「それを対策しないで持ってくるバカが何処にいるっすか。」
この剣はデュラハンの本体…つまりあたしの反射神経は無視して自動で相手に刃を通す!
火花を散らせ剣同士の辺り合いが直ぐに始まる、僅か戦闘が始まって2分半の出来事であった
「鍔迫り合いは流石にきついっすけど…自分に仲間がいること忘れないで欲しいっす!」
「この前はよく体中切り刻んでくれたなてめぇ、お返しに拳をプレゼントだ…!」
「わぁ、凄いね君達、この2日で成長したね…でも僕はまだ本気じゃないよ?」
トリスが刀を抜刀し辺りを無差別に切り2人から距離を取る
(今のを躱すかこいつら…前の時から数倍…いや数十倍動きが格段に良くなってるな…)
「300と40年ぶりかな、本気を出すのは。」
トリスの刀が赤黒くなり血管が浮き出る、しかしその表情は未だ朗らかなままであった。
「そいつ、目がみえない!気を付けて!」
(マジか…こいつ目が見えてないのにこの動き…)
「ありがとよヴァイラ!役立てるぜ、きっと…!」
「ねぇ、ドワーフの君、僕から剣を奪おうとしてるでしょ、無駄だよ。」
「んなっ…そうかい、そいつはまた何でだ?」
「この剣、特注で作られててね、僕の周りから少しでも離れると自壊して僕の手元で再構築されるんだぁ、凄いでしょ。」
(剣を奪うのは不可能、ならば…!)
相手の武器を無力化する作戦が実行不可能になったことを知った今、グリドールの脳が導きだした結論とは…
「なら、腕を折る!」
(こちらに跳躍…こいつを対応してるとあの娘に撃たれて厄介だなぁ…)
「じゃあ僕も全てを切ってねじ伏せよう…!」
(なっ逃げた!いや違う…!)
「ジャック!避けろ!」
グリドールの声を張った警告空しく斬撃はジャックに無慈悲に向かっていく。
(受け流す…?いや無理っす!こんな人の何倍もある大きさの斬撃!)
斬撃はもろにジャックの体に当たるが、当の本人は無傷であった
「これは、スリーフさんの…!」
「余所見しちゃ駄目だよ可愛い娘」
斬撃の影に隠れトリスが突進しジャックは絶対絶命に陥る。
「やば…死ぬ……!」
瞬間、肉の抉れる音がしジャックは目を瞑る。
「へぇ、これを止めるかぁ、結構本気で突いたんだけどな」
「へへ、俺の筋肉舐めんなよ…常人の10倍はあるんだ…」
迫り来るトリスの刺突を止めたのはグリドールの腹の筋肉であった
「ぁあ…グリさん…」
「筋肉は凄いね、でも内臓はどうかな?」
「ぐおぉえ…」
剣を回しグリドールの内臓をぐちゃぐちゃにするトリスの刀は更に赤黒くなっていった。




