21話 男ノナマエ
「少し昔話をしようか?退屈でしょ?」
それはそれは昔のこと、まだ魔法を人間が見つけていない頃…
「人間も大分発展したな、甲冑とやらを着けて殺しずらい」
「えぇ、そうね、もう仲良くしてもいいんじゃないかしら。」
「嫌だめだ、人間はすぐつけあがってくる、300年前のこと忘れたのか?あの呪殺の…」
「そ、それは違うのよ~…」
大山から一人と一匹の竜が人間の王国を見下ろしていた。
「なぁ、名前って知ってるか」
「なによ急に、知らないけど…」
男は名前について語り始めた
「人間には個体を区別する名称のようなものがあるらしい、どうだ僕たちも付けないか?」
「それって必要あるのかしら、私は私、個体を区別するったって同族は皆焼き払ったじゃない。」
「意味はない、でもこうも長く生きてると暇でね」
竜に微笑み剣を地面に降ろす者の姿は若き日のグリドールのパーティを壊滅させた男であった。
「適当でいいわそんなの、あなたは…トリスとでも呼ぼうかしら」
「じゃあ君はヴァイラ、いい名前だろ?」
「ふふ、なによそれ」
同族を焼き払った悲しみから埒暴虐の限りを尽くしたトリスの人生に少し彩りが灯った瞬間であった。
「で、君のお母さんの名前もヴァイラなんだよ」
「そんなのしらない…!早くここからだして…」
「冷たいねぇ、父親譲りかな。」
次々と用意される薬剤と魔法の媒体に怯えるヴァイラであった。
「なぁ、ジャック、あいつの名前何て言うんだろうな?」
「確かに私も気になります」
「これもスリーフさんから聞いた情報なんすけど、あの刀男トリスタンとか何だとか…」
「あいつ何でも知ってるな…」
「そりゃそうだ、次元の裂け目からいろんな書物が流れ込んでくるんだ。」
何もない空間から本を取り出しながら人骨もといスリーフは笑いながら言った
「何で出てくるか分からんが情報は大事だ、それより後ろのやつ掃除しとけよ。」
3人が振り替えると倒した魔物の死体がざっと400体は転がっていた。
「確かに強くなってる気がするが…劇的な変化が欲しいな…」
「じゃ一つ教えてやろう、空間魔法の発展系、4次元魔法をな」
スリーフはどこからともなく黒板を出し4次元魔法について授業を始めた
「お前らたまに相手の次の動きが分かったりするだろ?あれは生物に備わった微力だが4次元を知覚する器官で感じるせいだ」
「でだ、今からする施術はこれを超強化する物だ」
「俺は既に4次元から物を取り出したり攻撃が出来る、目標は俺を目指せ。」
「頭痛い…」
「えーっとつまりですよ?それをすればめちゃ強くなるってことっすよね?」
「そうだ、やるか?」
勿論と即答し、グリドールのパーティは4次元魔法開花の施術を受けることになった。
「最初は情報量が多すぎて脳がショートする、慣れれば可愛いもんだ」
「え"!?なんか今怖いこと聞いた気がします…」
「よし、終わったぞ、目を開けてみろ。」
「…!」
施術が終わったグリドール達に映った景色は正しく混沌そのもので、魔物の臓器は透け次の動きから魔力の流れまで視覚情報として伝わってきていた。
「吐きそ…」
「自分もっす…おぇ"」
「ルナフェナは…こいつ立ちながら気絶してる…!」
「まぁ最初はそんなもんだ、もう今日は休め、情報を処理しようとした脳が眠くなってる」
スリーフに言われる前に3人は眠る…というより失神した。
「ほら暴れないの、傷付いちゃうよ?君のしろーい肌が。」
「離せ…!」
ヴァイラの角が黒くなり、鎖が軋み始める。
「うっわマジで?これ僕が作ったやつなんだけど…」
昔のことを思い出したトリスの一人称は僕に戻っていた
「ゔぅゔぅぅ」
「そんな遊びたいならいいよ、付き合ったげる。」
トリスは抜刀し、構えを取る。
「みんなに会わせて!」
「痛いなぁ、流石あいつの子だ…」
瞬間ヴァイラは軽く切り刻まれまた鎖で繋がれた
「はい寝ててね、こりゃ手強そうだ…」
補足
トリスの刀はこの世界では珍しく大剣等ではなく日本刀のような形をしている。
トリスは握力が強すぎて普通の刀を持つと粉々になるため自身の骨を持ち手に使っている。
ヴァイラの母は竜にしては温厚で以前に人間と仲良くしようとして酒に溺れたところを呪殺されかけた。




