16話 勝利の代償は怪我
「効き目が薄いぞ、どうするドワーフの人。」
中途半端な無効化魔法はゴーレムの怒りを買うだけであった。
「予備がある、これを頭に貼れば確実に無効化できる筈だ」
「んなこと言ったって頭なんてめちゃムズいっすよ、死にに行くようなもんす。」
怒り、暴れるゴーレムをやり過ごすため4人は死角に身を隠し作戦会議を始めた。
「基本はさっきの作戦でいい、があいつは今かなり怒ってる、頭にさえ貼れば勝てるんだが…」
「動きを抑えればいけそうっすよね、誰か囮になってくれないっすか?右腕が戻れば自分抑えられるっす。」
「私ちょっと試してみたいものがあるんです、新しく習得した魔法何ですが…」
ルナフェナは小石を拾い、空中に投げると、その小石は3秒ほどその場で止まった。
「これです、この魔法をあのゴーレムに使えるかは分かりませんが試してみる価値はあると思います」
「よし、俺が合図したら一気にそれらを実行しよう、チャンスは一回きりだ。」
グリドールが物陰から飛び出し、大きな岩を持ち上げゴーレムへ投げた
「これやるよぉ!冥土の土産にな!」
「こっちは準備okっす…」
ゴーレムが怯んでいる隙にジャックは右腕を取り戻し、その手を標的へと冷静に向けていた。
しかし怯む時間はそう長くは持たず、ゴーレムは地面を大きく振りかぶって叩き、敵対する者を倒さんとしていた。
「エルフの人!掴まれ!」
「助かりました、ありがとうございます!」
ルナフェナはスリーフの腕を掴み間一髪で助かったがジャックは岩に挟まれ絶対絶命の状況に瀕していた
「いだいっず~!」
涙目になりながら助けを呼ぶ声を真っ先に答えたのは血だらけのグリドールであった。
「今…助けるぞ…」
自分の体重の数十倍はあろうほどの岩石を持ち上げるグリドールの姿は正に武神そのものであった。
「動き止めます!ジャックさんお願いします!」
「はいっす!」
ルナフェナが魔法を発動し、ジャックが札を射出したが、札はゴーレムの頭を掠りとっていった。
「俺にも見せ場をよこせよぉ!」
瞬間スリーフは跳び上がり、札をゴーレムの頭にぴったりとくっ付けた。
「今…無効化しま…ぅおぇ"!」
勝機の空気はルナフェナの吐血で薄まった、あまりにも強さが離れていたため、動きを止める魔法の反動がルナフェナを襲っていた。
「ルナさん…なんか治ってなくないっすか?!」
「大丈夫かルナフェナ!」
全身の穴という穴から血が出ているルナフェナには自身の心臓の音しか聞こえていなかった。
(まずいです…なんか意識…薄れて…)
「起きろぉ!!」
「お"ごぉ!」
「怪我人に何してるっすかぁ!?」
ルナフェナを平手打ちで起こしたグリドールはアドレナリンが出ていて手加減を忘れていた。
「ありがとうございます起きました、今無効化します!」
しかしそれをゴーレムが許す筈もなく、巨大な手がルナフェナを襲い掛からんとしていた
「怪我人にぃ…何する気だぁ!?」
「それグリさんっす!」
腕の力のみで迫り来る手を破壊したグリドールはルナフェナに無効化の絶好の機会を作った。
「今だ!やれ!」
「はい!無効化魔法起動、ロックライト!!!」
巨体はその場に崩れ、またグリドールとルナフェナの2人も膝から倒れていた。
「ん…」
「あ起きました?おはようっすグリさん。」
「あいつは…」
「倒せたっすよ~今スリーフさんとここから出る方法模索してるっす、休んでた方がいいっすよ?」
「いや、俺はもう立てる、というよりルナフェナの奴は…」
全身の骨をほぼ折っているグリドールが自分より心配する者の姿はそこにあった。
「ルナフェナ!お前大丈夫なのか…?」
「は"い"…でもグリドールさんの平手打ちが効いてます…」
「それはその…すまない…」
「いいんです、グリドールさんが居なかったらジャックさんも私も、とっくのとうに死んじゃってますから…」
目は血に染まり、喉は枯れ、耳から頭に掛け包帯を巻いているルナフェナの言葉はとても優しい音程であった。
補足設定
ゴーレム(魔法稼働式岩人形)は無効化魔法と封印の二つの手段を持ってして無力化ができる
無効化魔法には札が必要で、貼ってから発動しないといけない、頭に近付けば近付くほど効果が高まる。
封印はゴーレムを作った本人にしか使えない、いついかなるときでも手持ちのゴーレムを封印できる。
アンデットは人間の死体が10日経つと怨霊等が死体に移り、人を襲う不定形魔物の一つ、これにより人間同士の戦争は消えた。
グリドールは魔法が使えない体質、これは魔力の流れを促進する臓器が身体の中に無いためである、そのかわり筋肉が増えている。




