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10話 母をたずねて九千里

年が変わる日、ジャックは不思議な体験をする。


時は深夜、自身の工房に籠って外のお祭り騒ぎすら耳に入らないほどの集中力で時計を直していた。


「ここ…何か入りそうな気が、電池っすかね。」


「おーいジャック!もうすぐ年が変わるぞー!降りて来ないのか」


「親方ぁーちょっと今集中してるっす!話しかけないでください!」


「ここんとこあいつ何時もあんな調子だな、少し休みゃいいものを。」


親方のリッジが嘆いている合間に、年が変わるカウントダウンが始まっていた。


「今年も、終わっちまったな。」


「あいつに飯持っていくか…」


階段を登り、ジャックの工房の前にご飯を置いてリッジは眠りに入る。


「お腹空いたっす~、下になんかあるっすかね」


リッジの置いたご飯に気付くと、ジャックの顔は緩んで先ほどのしかめっ面がマシになった。


「親方ぁ…」


昔からそうっす、親方はあたしを拾った時からいっつも表面上では粗暴っすけど、優しさが溢れ出てるんすよ。


あたしは生み親の顔すら知らないっすけど、親方はほんとに、何て言うか…親の愛を感じるっす。


ジャックがしみじみして後ろの時計が光っているのに気付いていなかった、時計がジャックに近づき、ジャックの視界は真っ白な光に包まれた。


「なんすか…これ、なんだか暖かいような…」


「ヴァイラ…私の愛しい子の名前はそれにしましょう」


「あれは…竜!?やばいっす!何処かに隠れないとっ…てヴァイラ?」


気が付くとジャックは暖かい日の光が当たる城に腹の膨れた竜と2人きりでいた。


「ヴァイラ…ちゃんと生まれてきてね…」


「またこれっす…目の前が白くてなんも見えなくて怖いのに、なんか暖かくて心地良い。」


ジャックは少しだけ理解した、自分はもしかしたら胎児の時のヴァイラの記憶を追体験しているのではないかと。


「あなた…もし私がヴァイラを生むときに死んでも、この子の面倒を見てくれるかい?」


「あぁ、約束するよ、例えこの身が骨になろうともね。」


「あれは…ヴァイラちゃんのお父さんっすか?」


ジャックの理解が及ぶ前にまた視界は白くなり、場面が次々と移り変わる。


「あなた…この子が生まれたらこの時計を…」


「…!時計の秘密が分かるかもしれないっす!」


「これは…?」


「親の愛で作動する時計です、この秒針が刺すところに世界の果てまで行けば…」


瞬間ノイズが走り、ジャックは現実世界は戻される


「お、おいジャック、大丈夫か?」


「はっ!親方…おはようございますっす?」


「お前どうしたんだ一晩中よだれを垂らして突っ立って。」


恥態をさらしてしまった事実にジャックは泣いたが、それ以上にリッジの愛が親の愛と時計に見られた事実に泣いていた。


「ジャ、ジャック?お前ほんとに大丈夫か?」


「だ、大丈夫っす、ちょっとぼーっとしてて」


「そんなことより!グリドールさん達を読んでくださいっす、お話があるっすから!」


「元気だなお前朝から…」


早朝に呼び出された3人は眠そうに話を聞いていた


「いいっすか?この時計は親の愛が原動力らしいっす、背景も分かりましたっす。」


「やっぱりすごいね元みぎうでのおねーさん!」


「元って…まぁとにかく!この秒針が刺す方向に世界の果てまで行けば何かがあるんす!」


「また旅ですか…私疲れてるん…」


ルナフェナは立ちながら寝た。


「んで調べたんすけど、この時計塔、どうやら他のオーパーツと連動するんすよ、自分この時計が怪しいと思うんす。」


「ま、まさか」


グリドール目を輝かせながら期待に胸を膨らませてジャックの次の言葉を今か今かと待っている。


「はい!自分パーティ入るっす!」


「やった~!おねーさんだいすき!」


ヴァイラが抱き付くと、グリドールは涙を堪えジャックに感謝を述べていた、ルナフェナは寝ていた。


「あはは…っちょ、角痛いっす!角当たってるっす!一旦すとっぷ!ぎぶ!ギブっす!」


こうしてグリドールのパーティに4人目が参加した。


「てかグリさんなんであたしが参加することにそんな喜んでんすか?」


「それは…あれだ、お前強いし、色々理由がだな。」


「え~なんすか本当のこと行ってくださいよぉ~」


「嘘を言うのは慣れてないんだ、その…一目惚れしたんだ。」




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