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がむしゃらに働く

天の岩戸ダンジョンの4階層には薬草を穂高くんに植えさせた。

エルフ達は稼げる!と大はしゃぎで4階層の隅にその日の内に里で使って無い家と大きな納屋を移築して夜中だろうが朝だろうが、ポーションを大量生産し始めた。

 1週間後、穂高くんは薬草を育てるのにウンザリしてキレていた。

その間に5階層を使って醤油の醸造所を作った。

スポンサーはロクシアーナさん達錬金術師組だ。

6階層は大豆と小麦を植えて醤油醸造のプロ垂木たまりさんにエルフ達がご指導いただき素人集団ながら、醤油の第一弾が出来上がって唐揚げパーティーに突入。

作った醤油は壺詰めされて、ロードシュガー便で近くの街に売りに行けば、飛ぶように売れたらしい。この世界、調味料があまりないから良く売れる!

 ドリン商会に納品して後は丸投げしたようだ。

調味料が出来たらお肉やお魚がほしい!

やっとのことで水の大精霊として目覚めた実李をこき使い、食い付いたら離さない強靭なアゴを持ってる虹色の川魚レインボーフィッシュと、そのエサのシザーシュリンプを川を創らせて放流したが、繁殖力がえげつない。

 天敵の熊型魔物レッドコートベア、また、その天敵ブッシュウルフの群れ、シルバーホーンパイソンや温厚そうで怒らせたら地獄の底まで追いかける習性のミルキーカウ。ヘルホース、牧場替わりにいろいろ放したら、エルフの腕自慢達がテイムして里に連れ帰っていた。

 エルフ、半端ない!!

生き物の創造はユーバリン神から禁じられているので、魔大陸から召喚した。

因みに魔大陸は魔王が討伐されてから魔物の楽園になってるっぽい。

ユーバリン神いわく、

【いくらでも持って行きなさい~(慈愛溢れるポージングでご想像下さい)】

だから、在庫切れになる前に仕入れている。

特に人気なのはヘルホースだ。

調教して商人に売りつけている。

8階層は鳥の魔物を中心にしたら、邪悪な山のようなドラゴンが最後に召喚された。ラスボスで決まりだろ!

9階層は酒の醸造所が作りたいとヨークヴァルさんがつぶやいて行ったのでわざわざ8階層まで一人で降りて来た武勇を称えて、オマケの9階層を創り葡萄畑と作業所を作った。

ここまでで半年を使った。

 ワイン醸造家木村巨峰さんを日本より召喚し、ワインづくり。エルフ達が踏み踏みして潰した葡萄で作ったワインは時空魔法で寝かせて5年物をいただいたら、めっちゃくちゃうまかった!ユーバリン神に5樽程、献上したらびっくりしてた。

初めてワインをこの世界で作ったらしい。ウキウキで試飲してた。

天界での試飲会が、ただの神様のグチ大会に変わるのに時間はかからなかった。

「昔は緑豊かで魔物も繁殖してなかったし、よかったよなぁ!」

「やっぱ、人間を増やしたのが間違いだった」

「未来ある子供は賢いから、目立って奴隷にさせられるし、そんなのを繰り返してたら、文明だって発展しない。……どうにかならないか。幼い魂は穢れ易いし、私たちが見つける前に魔物に変わっている」

「人間に近い新しい神達よ、よ~く、周りに目をこらしておくれ~」

ふ~ん。孤児院みたいなのか、学校を作るか!

レニヴァル君に相談案件だな。

精霊けんぞくが増やせないなら子供達が飢えること無いように育てればいい。

 幸いダンジョンが育ったから、お金には困らなくなった。

植樹事業にも手が多い方が良い。

穂高くんとエルフの里の土壌改良もしないといけないし、ああ、もっと眷属が欲しい!

 土や水の浄化はさすがに精霊の手がいる。

ポンと肩を叩かれた。

振り向くと頷く大勢の神様達。

「地球で今計画外に死ぬ魂が多いらしいぞ。20~30捕まえて来てやるから、その分アンシャルムの貧しい子を一人でも救ってくれ」

そんな事で良いなら。簡単だ。

「良き言霊の眷属をお願いします」

地上に戻ると、レニヴァル君をはじめとするエルフ達が帰って来た俺を見上げウルウルしてる。

「もう戻って来ないのかと思ったんですよ!うわぁああああん」

レニヴァル君が俺に抱き付いて離れない。

よく聞くと天界での大したことない時間が地上では14年も経ってたらしい。

ナニソレ怖えぇえ!

 その証拠に里のあちこちに果樹が実を付けて、畑では薬草が育てられていた。

実李の顔が大人びていて14年間苦労させたのを詫びた。

「なるべく皆と過ごすようにすると誓う」

お金に不自由してないかレニヴァル君に問うと、お金が貯まりすぎて何に使っていいか分からなくて、里で困ってたらしい。

「孤児院を作って、土づくりから無農薬栽培農法を教え込む!皆、手伝ってくれ!」


ロクシアーナさんはフーリエンさんと結婚して里長を継いでいた。

「この里で育てますか?それだと、空いてる家を増築しましょうか!森の木を何本か下さい」

「許可します」

その日の内に大工仕事が始まって、ロクシアーナさんとヨークヴァルさんがロードシュガー便で孤児を集めるのに旅立った。

 久しぶりに【お使い魔法】でレニヴァル君と穂高くんに日本で塩と砂糖を買って来て貰ったら、皆にお菓子のお土産も買って来たらしい。

しかも駄菓子だ。

俺にはリキュールをお土産にしてくれた。

実李が炭酸水で割ってくれたので男衆で飲んだ。

つまみはフライドポテトと唐揚げ、レインボーフィッシュのチャンチャン焼きに、スピ鳥の焼き鳥。塩、タレ、ネギマがある。

俺はカクテルを一杯引っかけながら厨房で、じゃんじゃん料理を作る。

 レニヴァル君とレニヴァル君の弟分ケティアルが、出来上がった料理を店に運び、最後には俺の背中を押して店内の椅子に座らせた。

大工のアルティムが口を開く。

「思ったより床板が腐ってて追加で木が必要なんだが、あと10本ぐらい貰ってもいいか?シンジ様」

「植樹するから必要な分持って行けよ。アルティムさん」

つまみがもう無い。

作ろうとするとアルティムさんに止められた。

「俺たちはシンジ様にずっと謝りたかった。済まなかった!全部一人に負わせてた!この14年間でシンジ様の苦悩が身に染みてわかった!」

「別に苦悩はしてないけど、心配はしてた。誰にも相談出来ない時もあったけど、大丈夫。皆、頑張ってたから、ここまで来たんだろ?」

男泣きしてる皆を面倒くさそうに実李が叱りつける。

「湿っぽいんだよ!稔司が帰って来た祝い酒だろ?!オラオラ、飲め!」

俺が甘いカクテルを作ってエルフの男衆にレニヴァル君が渡す。

俺から触れたら、加護付きに簡単になるから、普通の神様達はこんなに人種の近くに居てはいけないらしいが、神官のレニヴァル君が適切な対応をしてるから、大丈夫だろ。


と、思ってたらめちゃくちゃ怒られた。

「シンジ様はご自身の力を軽く見てます!私とじいちゃん、穂高さまと実李さま以外には触れてはなりません!

本当は料理も禁止したいんですけど、それはお嫌でしょう?」

驚いた!あぁ、そうか。新米でヘタレでも【神が手を加えたもの】になるんだ。

「料理は許してほしい」

「仕方ないから、気分転換程度には許しますけど、エルフ達以外には食べさせてはいけません。シンジ様の作ったケチャップ不治の病を治したんです」

「アウトォオーー!!」

穂高くんのジェスチャー付きの黒判定は、14年前どうなってたんだろう?冷や汗が頬を伝う。

「解りましたか?」

ちっとも笑ってない笑顔のレニヴァル君に気圧されて黙って首を縦に振る。

ヨークヴァルさんた~す~け~て~!!

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