2章6話 里開きへ
エルフの里は大混乱真っ最中だった。
エルフの里の入り口の川で禊ぎさせてから、里に入れるという案にこの3日で落ち着いたらしい。
水の大精霊の実李君が川をチョチョイと分岐してエルフの大工アルティム達が男小屋、女小屋を建て、互いに沐浴中、見えないようにする作業をしている。
もちろん女性小屋が川上だ。
砂だの石だのを何層にも重ねて作った古代式浄化槽を本流との合流地点前に設置して、客用のトイレを数十本の穴を掘り下げ、里での作業は一応終了した。
オレはダンジョンの1階層を快適に過ごせるように開拓した。
天井には晴天を配置し、足元は石畳で、レニヴァル君に神力をほんの少し渡してお使い魔法で日本の倒産したホテルや病院、レストランや旅館をのべつ幕なし買って来てもらった。
プレゼントスキルでもらった【縮小⇄拡大】が大活躍だ!
********************
【川村土木事務所を召喚。
時空魔法を開放。
なお、特急料金設定なので3億9800万円の予算になります。支払い完了。
くれぐれも気絶しないよう気をつけて下さい。では、健闘を祈ります】
********************
シュゴゴゴゴーーーーーッ!!
魔力がすごい勢いで吸い取られて行く。
意識が何度も遠のく度、レニヴァル君が泣きそうな顔で俺の襟首を掴み、往復ビンタする。
「稔司様、150兆円が無駄遣いになるか、どうかです!頑張って下さい!」
「何で金額増えてるの?」
「建物が全部合わせて140兆円だったんです!ベッドとか、布団、家具類買ったら150兆円になりました!」
それは失敗したら、ヤバ過ぎる!
抜け出す魔力を何とかコントロールして4日目が過ぎて行く。
深夜過ぎに基礎工事及び建物の設置が終わり、根性で川村土木事務所を日本に送還した。
5日目、朝ごはんをスラッシュボア1頭分焼き肉にして食べていると穗高君が子供エルフを連れてダンジョンに来た。
「使者ご苦労さま。その子がリップ君?俺は稔司。ダンジョンマスターです。よろしく」
「よろしくお願いします!」
うん、いい子だな。早く里での生活になじむといいな。
俺は2人を朝ごはんに誘い焼き肉奉行になった。レニヴァル君もたくさん食べている。
100年ぶりのお肉、だそうな。ガマンし過ぎだから!
ほれほれ、たくさん食え!
トングで焼けた肉を各自の皿に投下してると、匂いに釣られて人間の冒険者達が来た。
「コイツはいいや!飯にしようぜ!」
ブツリとレニヴァル君の堪忍袋の緒が切れたのがわかったので、焼き肉セットをしまい込み、36階層へと俺達は転移した。
エルフ達はダンジョン入り口から36階層に直接転移できるようになっている。
今日もリーダロッテさん達、アクセサリー工房班がひたすらパワーストーンを採掘している。
時々良い宝石が採掘されるらしく俺の所に皆が持って来る。
宝箱には俺の方で補充することにした。
レニヴァル君がやると言ってたけど、よくよく考えたら1人しか来ない訳が無いのだから、俺が宝箱の中身が無くなる都度、補充するのが正しいのだろう。
という訳で戦闘狂の一人、エルフの精鋭で本日はお休みのプライルとレニヴァル君で何階層に何の宝物を置くか作戦会議中。
50階層以上は俺の気持ち程度の品物に成る予定。
だと思ってたら力が10上がる指輪とか、何回か攻撃を防ぐ結界を作れるネックレスとかを俺に付与させて作り上げ俺に寄贈してレベル70までの宝箱の中身を満たしたら早速ダンジョン内で宝箱が開けられた。
先に攻略していたエルフの精鋭部隊だろうか?
そちらを視てみると宝箱の中身を見て嬉しそうにしているエルフの子供達がいた。
1つめのボス部屋、レベル19の魔物を倒せるくらいの力があるらしい。戦闘狂の子供は戦闘狂だ。
大人の精鋭部隊は30階層で酷いケガをしたロクシターナさんを守りながらボス部屋攻めしている。宝箱の中に特級ポーションをいくつか入れておく。後、使うかどうか分からないけど、加工食肉や、レベルの1番高い防具や服や武器を数点追加した。
1時間後に見たら、無事、討伐出来たらしく特級ポーションでケガを治してボス部屋の転移陣から地上に転移し、36階層の神殿まで来た。
ロクシターナさんは1階層にあるエルフ達の警備宿舎に寄ってダンジョン開きの注意を冒険者達にするらしく、儀式用の服にお着替え中。
精鋭部隊から選ばれた4人のエルフ達は伝言があって来たらしい。
ロクシターナさんを補佐するメリーマンさんが勢い込んで口を開く。
「シンジ様、レベル70ぐらいの敵には宝箱の防具や武器では討伐できません!かすり傷一つつかなかったのです!素材を持って帰って来ましたから、大陸中の匠に武器と防具を造らせて下さい!」
「穗高君、頼めるかな?」
エルフ達のマジックバックを集めると無言で地面に沈んで行った穗高君。また焼き肉食べさせるからね!
メリーマンさん達に問う。
「剣と弓がダメならどうやってレベル70以上の魔物を倒したの?」
「「「「精霊魔法で攻め落としました!」」」」
「ちなみに人間の使う魔法で効くかな?」
「無理でしょうな。我らの魔法の1割程度の力なぞ使わない方がマシでしょうよ」
精鋭部隊の長老カリュンが苦笑を隠さずいう。
精鋭部隊に入ったばかりのトーンティムがお話が止まった隙にまくしたてる。
「シンジ様!初級冒険者達に私達が里で作って余ってる防具や弓を貸し出しませんか!1日大銅貨1枚で!」
「「「安すぎる!」」」
「まあまあ、落ち着いて。無駄に余ってるならいい稼ぎになると思うし、1ヵ月使ったら、買い取りでいいんじゃない?」
「ん、まあ、ブラッドリザードの革の胸当てぐらいなら、それでいいでしょう」
ブラッドリザードはレベル21の魔物だ。もちろん、もっと良い防具もある。
「ええ?!カリュン様のケチ!」
「トーンティム、そんなに安く売っては、エルフの里で作ったものは、安く買えるという噂が流れ、高い防具を行商に行っても、安い値段で買い叩かれる。お前は先の話を考えぬからいかん。ブラッドリザードの胸当てだって銀貨3枚は破格値なのだ」
カリュンさんに一利ある。
トーンティムさんがへこむ。メリーマンさんがカリュンさんを取りなす。
「カリュン様の言いたいことはトーンティムに伝わりました!ブラッドリザードの胸当ては倉庫に山になってますから初級冒険者達の応援に大銅貨1枚で貸し出してもいいでしょう!」
「シンジ様が良いならそうしたらいい」
「他にも何かある?」
「それなのですが、冒険者も私達も治癒魔法が使える者があまりいないのです」
は?あ、そう言えばレニヴァル君くらいだな?何でだろ?
「出来れば宝箱を階層関係無く、あちこちに置いて下さりませぬか?中身のポーションはワシらが責任を持って作るのでお願い致しまする」
カリュンさんに続いてメリーマンさんが頭を下げる。
「特に10階層以上は、アレでは人死にが出ます。我らもボス部屋ごとに補給に戻らねば、命がなかったでしょう。何とぞ、シンジ様のお力添えをお願いします」
それを焼き肉を食べながら聞いてたレニヴァル君が俺が困っているのを見て口を開いた。
「シンジ様、宝箱の設置にはボーナスポイントをどれだけ使いますか?」
メリーマンさん達が一瞬にして険しい顔になった。
そう、ボーナスポイントはもうあまり無い。
なけなしの96000ポイントの内、人数分の10倍のポイントを、商人や冒険者達を帝都からエルフの里まで転移するのに使った。
幸いと言うか、たった1782人程しか集まらなかったので後79180ポイント残ったが、宝箱の設置に関するポイントの消費は階層を重ねるごとに1つ20ポイント必要なのが判明している。2階層は20ポイント、3階層は40ポイント、4階層は60ポイントという感じで増えて行くのだ。それを階層にいくつかばら撒く?
はっきり言うと俺的に悪夢である。
いつ必要か分からないダンジョンポイントを使いたくないという気持ちと、カリュンさん達の言う通り必要だから使わなければならないという現実で葛藤している。
「では、もし30階層に宝箱を1つ設置すれば600ポイントも消費するのですね…」
皆が顔色が良くない。
その時、まだ焼き肉を頬張っていたリップ君が何気なく言う。
「それさあ、中身を直接地面に置いたらダメなわけ?宝箱要らなくない?」
「目印は必要です。それに割れたり魔物に使われたりするでしょう?」
俺は今の自分のステータスを覗いてみた。
とりあえず何が出来るか確認!
********************
名前 ダンジョンマスター稔司(半神半人)
ダンジョンレベル MAX
ダンジョンマスターレベル 4
所持金 白金貨36兆億枚
1890万円
ボーナスポイント 79180
スキル 植物育成レベルMAX/土魔法レベルMAX/水魔法レベルMAX/時空魔法レベルMAX/召喚魔法レベルMAX/送還魔法レベルMAX/料理レベルMAX/聖魔法レベルMAX/結界魔法レベルMAX
レニヴァルの献身 1500%
☆プレゼントスキル☆
★スタンピード レベル3(中規模/回数無制限)
★お使い魔法 レベルMAX(50人/1日1度)
★換金魔法 レベルMAX改
★神様お悩み相談箱
NEW!★縮小⇄拡大魔法 レベルMAX
(どんな物でも、縮小拡大出来る魔法。大きな荷物を運ぶ時に重宝します)
NEW!★付与魔法 レベルMAX
(宝箱の中身を造るとき便利だろうからいただけるそうです)
NEW!★天罰 レベル1
(エルフ達にイタズラしたり、人としてやってはいけない事をしたお馬鹿さん達に気軽に天罰を与えよう!コントロールが未熟だろうから、レベル1にしておいたそうです)
NEW!★神様にお願い!(1000ポイントより)
(ボーナスポイントと引き換えに小さなお願いを叶えてもらえます)
********************
……いろいろと突っ込み所があるけど冒険者達を帝都からここまで転移させたのは【神様にお願い!】って言うスキルか。
ステータスの精霊さんが言う通りにしたんだけど、自分のステータスの確認はマメにしないとな!
それで宝箱を増やす問題だけど、小さなセーフティーゾーンを何百個も作るので何とかならないかな?
俺の提案は即採用された。
トーンティムさんが里までひとっ走りしていろんなポーションをロクシターナさんのマジックバックいっぱい持って来た。
深い階層から設置して、4階層までは自己責任でいいとリップ君が言った。
「最初からそんな温いことしてたら、ポーション買う人も干し肉買う人もいなくなる。それってさあ、母さんが言ってた、う~んと、アレ!キトクソンエキ、って言う奴の侵害に当たるんじゃない?」
既得権益か。確かに武器、防具、ポーションはそれぞれのギルドの営業妨害になりかねないな。
レニヴァル君とエルフの精鋭達はリップ君とケンケンゴウゴウと議論してるので俺は少し休む事にした。
スミマセン(>_<)
遅くなりました!
計算が入るとどうにも遅くなりがちです!
小1の算数のドリルからやり直したいです!
100PV超えました!皆さまのご協力のおかげです!ありがとうございます。
よろしければ、評価もお願いしますヾ(≧∇≦)