宣戦布告
IKDの組織としての巧みさには、他のテロリストグループとは全く異次元のものがあった。彼等は(IKD)は、むやみやたらに殺傷をしない。それどころか、少しでも共感する事があれば、自らの仲間に加える。そうやって少しずつ勢力をジワジワ増やす。それを徹底して、どんな相手にでも平等に例え、相手が今戦っている国の軍人…であったとしてもである。
上陸時100人ちょっとだったIKD戦闘員も、エルサレムに近づく頃には、パレスチナ人の援助を得て2000~4000人まで兵力を増大させていった。戦い方も実にスマートである。狙撃手としても有能なサカヒゲ・ケインは、幹部でありながら率先垂範で最前線に乗り込み、部隊の侵入をスムーズにさせていた。
結局彼等のモンキーアタックは遂に成功した。モサド長官パウエル・メロールを捕らえ、モサドの首根っこを抑えると、次から次へと、イスラエル国防部会及び議会は全機能を停止。IKDに全面降伏するに至る。イスラエル軍参謀オコル・マイヤーも降伏の白旗を上げたのであった。
わずか一時間半の急襲劇であった。その後の政治取引により、長年米国との同盟を結んでいたイスラエルであったが、マルゼイの意向により、国交を断絶。米国とのパイプラインを切る形となった。勿論、米国としても、テロリストグループに対して屈するのは名折れであり、彼等の国是に反する。
結局、IKDはイスラエル国防軍の軍事力だけを引っ剥がし内政はPLO(パレスチナ解放機構)に任した。米国合衆国両院は、即日イスラエル国防軍の奪還を目指す声明を出したが、米国の軍事プレゼンスの及ばない範囲での出来事であった。米国大西洋艦隊は、出動を命ぜられ遂にIKD(イスラム解放同盟)は米国に宣戦を布告する形となった。