護衛艦ミネフジ陥落
護衛艦ミネフジはたかなみ型護衛艦クラスの汎用護衛艦(DD)である。ポスト4次防期において、護衛艦隊の兵力構成について、8艦8機体制(所謂新八八艦隊)コンセプトが採択されるのに伴って、構想された艦種である。艦隊の新たな基準構成艦として、従来の対潜護衛艇(DDK)及び対空護衛艦(DDA)の後継としてこれ等を統合する新艦種とされた。
乗員は、約200~300人。夜襲をしかけるならば、とりあえず50人もいれば艦を奪還する事は大いに可能であろう。しかしながら、テロリストに屈するほど、日本の海上自衛隊の戦力が劣っている訳ではないだろう。当然、死者は出るだろう。それはテロリスト側も折り込み済みであり、寧ろ彼等テロリストの方が目的達成の為には、どんな手段を選んでも、犠牲を払いミッションをやりとげる力は正規兵より、上である。
「そろそろだな。」
長峰達夫はそろそろだろうと思った。作戦は密かに水面下で進行していた。
ドーン‼
小型船が次々とミネフジに横付けされた。海上自衛隊の当直士官も異変に気付く。だが、周到に計画を練っていたIKD(イスラム解放同盟)戦闘員の方が一枚も二枚も上手であった。淡々と制圧して行くIKD戦闘員達。完全に不意を突かれた自衛官達は、次々と静かに殺害されて行く。指揮命令系統も、何もかも滅茶苦茶になったミネフジ艦内は、最早IKD戦闘員により、手中に落ちた。救難信号を打ち上げる事もままならず、護衛艦ミネフジはIKD戦闘員の軍門に下った。