第1章~夜明け~
ここは、アフリカの小国、ジブチ共和国。ソマリア沖アデン湾を望むこの国は、長くフランスの植民地であった。しかし、1977年にジブチ共和国として独立した。ソマリア系イッサ人やエチオピア系アファル人等人種の坩堝である。各民族にそれぞれの独自文化があり、街のレストランでは、フランスパンが出される。食料自給率の低いこの国の農産物や青果のほとんどは隣国のエチオピアやソマリアから輸入されたものである。
内戦も絶えず、自国軍隊を維持出来ない等の理由から、独立した現在に至っても、フランス軍が駐留している。ジブチ港にフランス海軍の基地を設けると共に、フランス陸軍は第5海外混成連隊の1個連隊を派遣し、フランス空軍は、ミラージュ2000戦闘機及び、極少数の輸送機やヘリコプターを派遣し、ジブチの防空任務についている。
また、対テロ戦争の一環として、米国アフリカ方面軍隷下のCJTFHOA(アフリカの角共同統合任務部隊)の司令部及び隷下の米国海軍各部隊が駐留している。近年、ソマリア沖、アデン湾においては、ソマリア沖海賊問題が急増、多発している。国際社会にとって、この海上交通路の平和にとっては重大な脅威である。こうした情勢をふまえ、日本の海上自衛隊も当初は哨戒機2機の派遣のみであり、米国やEU部隊の協力を得て活動していたが、2011年7月7日、戦後初の自衛隊の海外基地が開設された。主として、海賊対策の強化が目的であり、2015年2月末には、国際連合合同軍151統合任務部隊司令官として、日本人初の海上自衛隊幹部自衛官が着任した。これもまた、日本史上初の国際部隊司令官の誕生であった。