2話 「しろうささんとくろうさパイセン」
ラック達と暮らして、3日経った。
くろうさと呼ばれた黒いうウサイムの先輩が、
俺がゲームの中に飛ばされてから、ずいぶん前からいるようだが……。
自家製の段ボールで作ったパソコンらしきものを持っていたら―――
「しべりあぼくの船!!」
大丈夫かこのヒト……。
くろうさ先輩はいろいろなことを教えてくれた。
「くろうさ先輩……」
「なんだい?」
「くろうさ先輩はいつからここに来たんですか?」
「そうだね……。ざっと1週間前からかな」
「そうなんだ……」
すごいなこの人、変な行動以外は落ち着いているようだ。
「このゲーム。本当にクソゲーだよね」
「え!!このゲーム知っているの!!?」
「うん。このゲーム僕が関わっていたから」
そうなんだ……。
でも、そんなに内容がひどいゲーム作ったんだろ?
そうだ。糞ゲームで思い出した。
『パトロンを捕まえようぜゲーム!!』
byロングマン社
あれか……?
あのパトロンを捕まえるまで、全裸でのまま探し当てるゲームの会社か……!!?
※当時はコンシューマーゲームだったけど。
「もしかしてロングマン社ですか?」
「そう!!あそこの社員は糞というくらい最悪だった」
くろうさ先輩はその詳細を教えてくれた。
「デザイナーは逃げるわ、新米の脚本家に絵を描かせるわ、給料も10万しかくれないわで最悪だった」
そうだったのか。ゲーム作る人間って大変なんだな。
「特に卯西には、腹が立ったわ!!」
「!!!」
それは、見覚えのある名前だった。
「卯西久太……。絶対にゆるさねぇ!!」
やっぱ、従兄の兄ちゃんだ。
しゃべらなくてよかった!!恐らくしゃべったら親族だと思って殺される……。
「おうさはさ。なんでここに来たの?」
「俺は……」
俺もこのゲームの被害者だったため、
詳細を話した。
「それは災難だったね……。このゲームそんな集客力無いはずなのに……」
「それはそうっすよね……」
(グラフィックとあらすじで騙されたけど……)
「とりあえず、俺は元の世界に帰りたいですけど」
「それは困るんだな!だって、君は……」
えっ近いよ!!
こっち来るな!!
「だって、僕の繁殖用に連れて来たんだもん」
「えっ!!嘘だろ!!」
そんな!!俺、男だぞ!!
「さあ!!あたらしい愛の巣を確保しよう!!」
「ちょっと、やめろよ!!」
駄目にきまっているしょ。
「シャー!!」
「!!!?」
俺の貞操が危ないと思ったその時。
「ごめんよ!!恵理子!!僕そんなことしちゃいけないよね……」
はぁ?恵理子?
この人もしかして……。
「ごめんよ……。ごめんよ……。うっ……ううッ」
「くろうさ先輩……」
悪かったよ先輩……。
俺もどうかしていた……。
「すまない先輩……。俺も男だし、本気で来ると思わなったよ」
「うっ……うう!!」
ちょっと慰めてやるか。
「うう!!好きだ!!」
「わあ!!危ね!!」
「ゴフッ!!」
俺の貞操取られてたまるか!!
馬鹿野郎!!
「ほんと!あんた、マジでこわいんだけど!!」
「ううっ……」
本当にこの人と一緒にいて大丈夫だろうか……。