14話 「しろうささんと偽ウサイム」
「わぁ!!なんだ!!」
「はああああああああん!!痛いいいいいいいいいいいいい!!」
なんだ?見た目は灰色のウサイムに見えるが……?
「ああ~。痛いな~もう~」
「あっ!!悪かった……」
「ねぇ!!君ウサイムなの?」
「そうだけど?」
「はじめましてなの、ボク、ウサイムモドキなの~」
「えっ!!」
ウサイムモドキって、あのニュースになっていた、
偽ウサイム詐欺事件の奴らか!!?
「お前、手(耳)の部分、羽ぽいっし、
目つきも悪いようだけど、本当に偽ウサイムか?」
「そうだよ~!!稼がせてもらってるよ~!!」
「ああ!!こら!!待て!!」
偽ウサイム待て!!
そして、偽ウサイムのアジトにこぎ着けた。
「パパ!!おかえり!!」
「おおっ!!子ども達元気かい!!?」
「うん!!元気だよ、パパ~」
「!!?」
こいつら、草の中に暮らしているんだ。
見間違えても、仕方がないよな……。
「ウサイム、発見!!」
「わああああ!!人間だ!!」
ガスマスクをつけた奴が、
偽ウサイムを捕まえようとしていた。
「助けて!!パパ!!」
「ぼうや!!」
「このヤローーー!!」
「さっきのウサイムさん!!?」
「かーペッ!!」
緑の玉、発動!!
「あれ!!?私は一体!!?」
「やった!!帰ったぞ!!」
「ありがとう!!ウサイムさん!!」
いいってことよ。
「ごめんなさい、ウサイムさん。ボク、別の縄張りが、
ウサイムとして、捕らえられて、儲かっているって言ったのに、
自分の縄張りに来ると思っていなかったから、子ども達が捕らえられるのか怯えていたんだ」
「そうなのか……。お前らも大変なんだな」
そんな裏側があったんだな。
なんだか申し訳ない。
「じゃあね、ウサイムさん!!」
『ありがとう!!』
「じゃあな!!もう、捕まるなよ!!」
翌朝————
「モー」
「モー」
何これ?
なんか牛みたい。
ハッ!!?こいつらは確か――――
”最近、ウサイムの亜種、ウシイムが、ペットとして買われています。”
あれか、ウサイムの一文字違いの”ウシイム”なのか!!?
なんか、美味しそうだな。
「えいっ!!」
「も”!!」
木の棒で叩いたら、死んじまった。
そういうことなら――――
「ウシイムの丸焼き出来たよー」
「これうまいなー」
「さすが、牛のスライム……」
ウサイムの偽物で、
こんなおいしいことあるんだなと、
思った俺達だった。