13話 「しろうささんと王様のウサイム」
8年前———
「しろ父様~早く~」
「はいはい」
20匹のウサイムのなかで、珍しいクリーム色した女の子。
名前は皆、カーラと呼んだ。
「初めまして!私は王様に仕えるセバスチャンと申します」
「は……はあ……」
なんだろう?俺達の中で他のウサイムで知り合いは見たことないな。
「くろうさ先輩~。別のウサイムと何か話したの?」
「んんっ。何もしてないけど」
「どうしたんだろ?」
とりあえず。誘われたし、行ってみるか……。
「うわーすげー!!」
峠を越えたところに城らしきものが、宙に浮かんでいた。
「わぁああ!!すごい!!!」
2歳になったカーラも喜んでいた。
産まれたときは、他のウサイムより、小さかったのにな。
「ようこそ!!わが城へ!!」
「!!?」
デケェ!!?こんな、大きなウサイムは見たことない!!
色は黄色……。まるで黄金色だ。
「ど……どうも……。おうさと申します」
「僕はくろうさなんだな~」
「はじめまして、おうささん、くろうささん」
礼儀正しいウサイムだな。
見た目はデカいからびっくりしたけど。
「私は王様のウサイムと申します。これが、妻の……」
「王妃のウサイムです。ごきげんよう」
「ごきげんよう」
すごい!!本当に王家のものだ……!!?
マゼンタ色のウサイムは王妃らしい……。
「お嬢さん、お名前は?」
「カーラと申します」
「そうか、カーラさんと申すのか」
「なんて、お利口な方でしょう。良かったわね、あなた」
少し、敬語教えてよかった。
相手は、王家だんもんな……。
「そして、息子のジャックです」
「こ……こんにちは……」
恥ずかしがっている、黄緑色ウサイムが1匹。
「こんにちわ!!」
「こ……こんにちわ……。は……はずかしい……」
「あら……ジャックったら。ほほほほ」
王子のウサイムはカーラに好意を抱いている。
ひょっとすると―――
「おうささん、くろうささん。よろしければ、カーラを私の息子の妻にしてもらえないでしょうか?」
「えっ!!?」
やっぱり、婚約だ!!俺的には、
良いと思うが……。
「カーラはどうするの?」
「私、妻になります!!」
「そうか、そうか!!それはありがたい!!」
その後王子ウサイムとカーラが結婚した。
現在———
「おうさお爺様、くろうさお爺様!!」
「やぁ~ナターシャ!!」
「いらっしゃい~」
今は、カーラは母になった。
たまに、家まで遊びに来るようになった。
1歳4か月の娘を連れて。
「あら白父様。黒父様!」
「すげー。王妃になったな!!」
「まあね」
こんなに誇らしげなことはないな。