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31 私のヒーロー

 

(一体、何があったの?)

 エレナは恐る恐る目を開けた。すると、ベッドで寝ていたはずのリヒトが敵の剣を受け止めていた。


「「へ、陛下!?」」


 目を覚ましたリヒトを見て、エレナとエマは驚き涙をこぼした。

「2人ともすまない。目の前で危険な目に遭っていたのに眠っていただなんて情けない。今までよく耐えたな。そこで休んでいるといい」

 優しい目でエレナたちにそう言ったリヒトは、今度は敵に向かって話しかけた。


「何者か知らないが貴様らだけは許さない。俺の城に土足で踏み入って、俺の大事な人を傷つけたんだ。当然、覚悟は出来ているんだろうな?」


「くそっ。目を覚ましやがったか。だが奴は起きたばかりでそんなに動けないはずだ。お前ら奴を殺せ!!」


 そう言って、指示を出した人以外の6人が一斉にリヒトに襲いかかってきた。リヒトが強いというのは聞いたことがあるが、エレナはリヒトが剣を持って戦っているところを見たことがないので、どのくらい強いのかわからなかった。


 実際リヒトの戦いを見てみると、その強さに圧倒された。怪我をしていなければ勝てていたのかもしれない。それくらい強かった。しかし、リヒトは刺された箇所を庇いながら戦っており、時折険しい表情をしながら戦っていた。まだ傷が痛むのかもしれない。流石のリヒトも6人相手は厳しそうだった。


 それを見たエマは剣を持って言った。

「陛下、私も戦います」

「いや、お前は休んでいろ。血を流しすぎて死ぬぞ」

「ですが、まだ戦えます!!」

「それなら、万が一の時はエレナを守ってくれ」


 エマはまだ何か言いたそうだったがあまり話しかけて邪魔をするわけにもいかないと思ったのか、大人しくエレナの前で剣を構えた。


「おい、何をしている!? 6対1だぞ? さっさととどめをさせ!!」


 さっきから指示を出している男がイライラしながらそう言った。リヒトはすでに身体中傷だらけであったが、どれも致命傷には至らないものばかりだった。


 その様子を見た男が、

「もういい! お前ら下がれ! こいつは俺が殺す」

 と言った。


 先ほどからこの男は指示を出すだけだった。しかし、6人が大人しく下がっている様子をみると、強いことに違いはなさそうだ。


 リヒトと男が向かい合い様子を見ていた。先に動いたのは男の方だった。

 やはりこの男は強かった。1対1で互角だ。いや、リヒトは先ほどまで戦っていたし、ずっと寝たきりで体力も落ちていたのですでに息を切らしている。敵の攻撃を受け止めるので精一杯の様子だ。


「おいおい、守ってばっかじゃ俺は倒せないぞ?」

「くっ、はあはあ」


 敵はしゃべる余裕があるようだが、リヒトはもう限界のようだ。ついに膝をついてしまった。

「どうやらここまでのようだな。やっとお前を殺せる!! 俺はこの時をずっと待っていたんだ」


 やはりこの男はリヒトを恨んでいるようだった。

「あなたはどうしてそこまで陛下を恨んでいるんですか? お二人はお知り合いなんですか?」


 殺したいほど恨んでいる理由が気になったエレナはそう問いかけた。

「お前はもう俺が誰か気づいてるんだろう?」

 男はリヒトに向けて言った。

「ああ。あの頃からだいぶ姿は変わっているがヘンリーだろう? 元騎士団長の」


(き、騎士団長!?)

 どうりで強いはずだ。


「でも、騎士団長がどうして陛下を?」

 陛下を守る騎士団が陛下に刃を向ける理由がエレナには分からなかった。


「そういえば、前国王の時にいた騎士団は全員解雇されたと聞いたことがあります」

 それまで黙って話を聞いていたエマが口を開いた。


「そうだ。こいつは俺たち全員を王宮から追い出したんだ」

 リヒトは何も言わなかった。

「今までこの国のために戦っていたのに裏切られたんだよ。だからこうなって当然だよなあ、リヒト」

「ああ、あの時のことは全部俺が悪い。だから、俺を殺すのは構わない。その代わり俺以外、誰も殺さないでくれ。頼む」

 リヒトは頭を下げながらそう言った。


「……無様だな。確かに俺は、お前を殺せれば十分だった。だが、俺は騎士団長ということに誇りを持っていた。この国を守ることが生きがいだった。俺には仕事が全てだったんだ。それをお前は奪った。だから俺もお前の大事なものを奪うことにした。見たところそこのお嬢ちゃんがお前にとって大事なようだな」

 そう言って男はエレナを見た。エマは剣を構え戦闘態勢に入った。


「エレナは関係ないだろう!!」

「確かに俺とは関係ないかもしれない。だが、お前にとってその子は大事な子なんだろ? お嬢ちゃんには悪いが、死んでもらうぞ。やれ!!」


 ヘンリーは部下にそう命令した。すると、2人の男がこちらに向かってきた。リヒトはエレナから離れたところにいるので、間に合わない。エマも剣を構えてはいるが2人と戦う力はもう残っていないだろう。エレナは、手元に剣がないため戦うことができない。


「エレナっ!!」

リヒトが叫びながらこちらに走ってくるのが見えた。しかし、敵の方がリヒトより先にエレナの元にたどり着いた。


今度こそもう終わりだ。

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