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23 自分の居場所

 

翌日休みをもらったエレナは早く起きて3人分の朝食を作った。

(喜んでもらえるかしら)


 少しして2人が起きてきた。

「これエレナが作ったの?」

「はい。2人に何かしたくて」

「まあ、そんなに気を使わなくてもいいのに」

「せっかくエレナが作ってくれたんだ。あったかいうちに食べよう」


 そう言って2人はエレナの作った朝食を食べた。

「とってもおいしいわ。お店に出しても申し分ぐらい」

「確かにな。正直エレナがここまで料理ができると思ってなかった。ちょっとできるぐらいとか言ってたがこれはちょっとというレベルじゃないぞ?」


 真っ直ぐに褒められてエレナは嬉しくもあり、恥ずかしくもあった。

「お口に合ったみたいでよかったです」


 そう言った時、ロイスが急に真剣な顔をしてエレナに話しかけた。

「なあ、エレナ」

「は、はい」

「そろそろ店の料理を増やそうと思っていたんだけど、もしよかったらエレナが考えて作ってくれないか?」

「え、私がですか」

「ああ、エレナにお願いしたい」

「私も賛成だわ」

「私にできるでしょうか?」

「できると思うから頼んでいるんだ。どうだ? やってみてくれないか?」


 正直不安しかない。でもこんな重要なことを任されたのは生まれて初めてで嬉しかった。自信はなかったが2人の期待に応えたい、その思いからエレナは挑戦することにした。もし、自分の考えた自分だけの料理が認められたら、堂々とここにいられる気がしたから。


「やらせてください」

「ああ、任せた。でも無理だけはするなよ」

「そうね。あなたすぐ無理するから」

「はい」


 それから、毎日頭の中は新作料理のことでいっぱいだった。

(今までにないようなものがいいかしら。でも、それだと口に合わない可能性もあるわよね)


 何度か厨房を借り、作ってみたけどどれもイマイチだった。せっかく任せてくれたのだから最高のものを作りたい。その思いで必死に作り続けた。でもどれもありきたりな料理しかできなかった。


「悩んでいるのか?」

「はい、新しいのを作ったはずなのにどれも食べたことある気がして」

「別に新しくなくてもいいんじゃないかな」

「でも、それだと食べてもらえないんじゃ」

「そんなことはない。すでにある料理にちょっと味付けを変えたものを出して人気が出ることもある。それか自分が食べたいものを作ってみるというのも一つの手だな」

「自分の食べたいもの、ですか」

「ああ、まあそんなに気負いすぎるな。エレナの好きなようにやればいいさ」

(私の好きなように、か)


 このお店の料理はロイスさんが作るからか、量が多いため男性の方がお客さんが多い。だから女性向けの見た目もおしゃれで食べやすい量のご飯があればいいなと思っていた。


 だからまずは自分が食べたいと思うようなご飯を作った。色とりどりの野菜にこの土地で豊富に取れる魚を乗せて味付けは万人受けするようにあっさりとしたものにしてみた。この料理が街の人たちに受け入れられるかは不安だ。でも、味には自信がある。


 とりあえずロイスとサラに認めてもらわないとこの料理を出すことはできない。緊張しながらも2人に料理を出した。みたことない料理に初めは少し微妙な顔をしていたものの食べ始めるとぺろりと食べてしまった。


「エレナ、これは美味しかった。こんな料理は初めてだ」

「ええ、本当にとても美味しかったわ。あっさりして食べやすくて、特に女性は好きだと思う」

 2人に褒めてもらえて自信がついた。

「ありがとうございます!!」


 それから数日後。ようやくエレナが考えた料理がお店に出される日がやってきた。

(緊張するわ。美味しいって言ってくれるといいんだけど)


 しかし、開店してもなかなか注文されなかった。やはり見た目が今までにないものだから頼みにくいのか。

(一度食べてもらえればきっと気に入ってもらえると思うんだけど)


 結局お昼に頼まれることはなかった。みんな気にはなっているのかメニューをみるものの、食べる勇気はないといった感じだった。


「ロイスさん、一つお願いがあるのですが」

「エレナがお願いこととは珍しいな」

「その、夜こられたお客さんにタダで少しだけ私の作った料理を出すというのはダメでしょうか」

「ああ、いいぞ。俺も考えていたところだ」

「ありがとうございます!」


 そして、夜は来てくれたお客さん全員にエレナの作った料理を出した。

 結果は好評だった。食べるときは少し警戒していたけれど、一口食べると料理を注文してくれる人が増えた。エレナは自分の作った料理が認めてもらえて嬉しかった。自分の作った料理を美味しそうに食べる人たちをみて、自分の居場所を見つけた気がした。


 ロイスは街の人たちにエレナが作った料理だとエレナを紹介した。そのおかげでエレナは街の人たちから一目置かれる存在になった。エレナはここにいてもいいと認められた気がして嬉しかった。


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