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16.恐怖の2日間(後編)

久しぶりの投稿になってしまい、すみません。

 

「こっちにこい。お前の主人のところに案内する」


 そう言って連れていかれたところに、これからエレナの主人となる男がいた。

「こいつが俺の奴隷か。まあまあだな」

 そう言ってエレナの体を舐め回すように見た。

(なんだかこの人気持ち悪いわ)

「よし、ついて来い」


 男について行き、馬車に乗せられた。

「これから楽しみだな」


 この男からはこれまでに感じたことがないほどの嫌悪感を感じる。男と2人きりの馬車の中は終始無言だったが、何もされなかったし悪く言われないだけマシだった。それからしばらくして、この男の家についた。


 外観もそうだが、家の中もあまり綺麗とは言えなかった。それにこの家に使用人は1人もいなかった。この男は貴族ではないのだろうか。しかし、それを聞くことはできなかった。それでもし、この男の怒りを買ってあの女性のようになりたくなかったからだ。

 余計なことは言わない、聞かない。エレナは今までそうやって生きてきた。


「とりあえず、風呂に入ってこい」

「わ、わかりました」

「間違ってもこの家から逃げ出すなよ? まあ、簡単には逃げられないがな」

 その目が怖くてエレナは顔を思いっきり首を上下に振った。


 お風呂場もあまり綺麗ではなかったが、文句を言えるわけがないので大人しくお風呂に入った。それでも、お風呂に入れてくれるなんて意外と優しい人なのかなと思った。しかし、それはエレナのためではなく全て男自身のためだった。


 それを知らないエレナはなるべく急いでお風呂からでた。エレナは自分がこの家の使用人として買われたのだと考えていたからだ。


 お風呂から出て体を拭き、服を着ようとして気づいた。先ほどまでエレナが来ていた服がなくなっていることに。代わりに着る服も用意されていなかった。エレナが困っていると、男が扉から顔を出した。

「出たか。こっちにこい」

「え、あの、何か着る物をいただきたいのですが。先ほどのでもいいので」

「さっきのはもう捨てた。いいからさっさとこい」

「えっ」


 男の手を振り払うことはできず、エレナはついていくしかなかった。男に連れられて入った部屋は薄暗かった。

「そこに座れ」

 命令を聞かないと何をされるかわからないが、裸で男性の前に座ることは恥ずかしく自分の胸を手で隠した。

「手を上げろ」

「で、でも」

「早くしろ」

 その声音から男が怒っているのうかがえた。エレナは殴られる前に男のいう通りにした。そして、手には枷がはめられた。この枷は壁と繋がっているためここから逃げることは出来なくなった。ここまできてようやくエレナは気づいた。自分は使用人として買われたのではないということに。


「貴族のくせになかなか従順だな」

 そう言いながらエレナの足を開こうとしてきた。その行為に思わずエレナは男を蹴った。

「いってぇな」

 男は鋭い眼光でエレナを睨んだ。

「あっ」

「貴様、奴隷のくせに痛い目見ねぇと分からねぇか!!」

 そう言ってエレナの顔を殴った。

「きゃっ」


 今まで、シンクレア家でも暴力は振られていた。しかし、やはりエレナが侯爵家の娘だということを気にしていたのだろう。本気で殴られたことはなかったのだと初めて気づいた。ここまでの痛みは初めてだ。


 そして男はまたエレナの足を開こうとしてきた。エレナは必死で足を閉じる。

「いやっ!!」

「もう1発殴られたいか?」

 男がそう脅してくるが、エレナは男の言うことを聞かなかった。そのためエレナは何度も殴られた。


 気を失いそうになるのを必死で堪え、反抗を続けた。しかし、元々体の細いエレナが男に敵うはずがなかった。それでも、エレナは意識を失うまで反抗し続けた。


 次目を覚ました時、目の前に男はいなかった。しかしホッとしたのも束の間、身体に違和感を感じた。

(そうだ、昨日あの男と)


 そう思った時自然と涙が溢れた。ここから出れるのならシンクレア家だって構わない。そう思うほど、エレナにとってここは堪え難い場所だった。

「誰か、助けて。お願い、ここから出して」

 誰も助けになんてこないと分かっていながらもそう願わずにはいられなかった。

「よう、起きたか。昨日は気失ってたからな」

 そう言ってエレナにどんどん近づいてきた。

 後退りをするも手には枷が嵌められているし、すぐ後ろは壁で逃げる場所なんてどこにもない。


「いや、来ないで」

 もちろんそんな言葉を聞き入れてくれるはずもなく、男はエレナを無理やり犯した。昨日と同様、エレナは抗い続けた。そのたび、殴られすでにエレナはボロボロだった。もう何も考えられない。どのくらい時間が経ったかわからない。エレナは反抗する気を失っていた。エレナの心はすでに壊れてしまっていた。幼い頃から辛い目にあってきて、やっと抜け出せたかと思えばもっとひどい目にあう、そんな状況で生きる希望なんて見出せなかった。


 気がつけば男がいなくなっていた。

「エレナ!」

 リヒトの声が聞こえた気がした。

(ついに幻聴まで聴こえるようになったのね。陛下は私のこと名前ではお呼びにならないもの)

 だんだん足音が近づいてきた。扉を開けるとともに男が近づいてきた。

「いやっ!! 来ないで!!」

 その男とは陛下だったのだが、エレナは触られることを拒んだ。今のエレナにとって男とは恐怖でしかなかった。


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