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氷柱姉と話をします!?

 樹たちには、昨日の一見について学校に散った時、直接謝った。

 謝る必要はないと言われてしまったけど、どうしても頭を下げないと気が収まらなかった。

 ただ自分の都合で動けなかっただけだったのに、静かに手を伸ばして私を待ってくれた。

 どれがどうしようもないほどうれしかった。


「本当に、紅桜は頑固だな。」

「ボクたちは気にしてないのにね。……でも、紅桜ちゃんらしいね。」

「俺たちの紅桜って感じだな。」


 それぞれの口から似た様な言葉をもらい、そして、一つの約束をした。

 自分の都合に合わせてもらったからこそ、今度は他の人に。

 それぞれに貸しを一つと言う事でこの場は終わった。


 そして後日、私は百々姉と会って、予定の場には向かった。

 約束通り、氷柱姉と連絡が取れる様に取り合ってくれたらしい。

 そして、会話をするために用意された場へ向かうことになった。


 氷柱姉から、外で話したいと言う要望があったから、百々姉がおじさんの知人のお店を指定したらしい。

 いつもの部屋だと言い合いなってまともな会話ができなくなる事を危惧してのことらしく、私もその意見に賛同だった。

 自分の部屋だと周りを気にする必要がないから歯止めが効かなくなるのは目に見えている。

 それなら周囲に目は合った方が良い。


「今なら引き返せるよ。」

「大丈夫。話をするだけのことだからね。……それに、受け止めるべきだと思ったの。」

「そっか……。」


 百々姉の瞳にはいまだに哀れみが潜んでいる。

 その目もキツイなと思うけれど、今はそれを口にしない。


「これが私だから……」

 

 気が逸れそうになったので、少しだけ気持ちを切り替える。

 いつもの様にゆっくりと呼吸を整えてリラックスをする。

 氷柱姉との再会だから笑顔が消えない様に少しだけ作ってあげる。


 準備ができたら百々姉に案内してもらって、早る気持ちを落ち着かせる。

 窓側の席に注目しながら歩くと、少しばかり日差しが差し込んでくる。

 不意に、日差しが強くなったと思い、手で影を作ると女性の姿が見えた。

 

 女性も同じ様に手で影を作っていて、気がつくと目が合っていた。

 お互いに気づいて、少しの沈黙の後に自然と笑みが漏れた。

 同時に笑みをこぼして、お互い様だったのだと気持ちに余裕ができた。


「氷柱姉、久しぶり。」

「久しぶり、ね。」


 私たちはお互いに優しい言葉を投げかけた。

 双方出したい気持ちがあったにも関わらず、嬉しさが真っ先に溢れ出した。

 百々姉にこんなことを告白したらきっと怒られてしまう。

 

 言葉を交わすと、私たちは見つめあうように席に着いた。

 眩しい太陽が少し雲に隠れ、顔がよく見えるようになった。

 いつも清ましたような凛とした顔が、少しだけ砕け、疲れているように見える。

 

「ご飯はしっかり食べてる?」

「出されたものは食べるようにしてるわよ。」

「自分が好きな物も食べないといけないよ?暴食……は、ダメだど、大学生らしく買い食いぐらいは、ね?」

「何それ……物語に出てくる母親みたいな言葉ね?」

「そうかな?……なんだかね、やつれたように見えるの。」

「やつれた……そう、そうかも、しれないわね。」


 少しだけ笑みが消えてしまった。

 私は言葉を間違えてしまったのだろうか?

 軽口ではないけれど、ちょっとだけ和むような言葉を出したつもりだった。


 本当に私は余計な事しかしないな。

 本当に最悪だ。

 氷柱姉と少しでも元に戻れるように話そうと思ったのに……。


「紅桜こそ、ご飯は食べてるの?」

「食べ、てるよ。食べる量減っちゃったけどね。」

「……女の子は、沢山食べる姿も可愛いのよ。小食は良くないわ。……笑顔が消えやすいの。」


 指を頬にあて、釣り上げる。

 私も習って同じことをしてみる。

 それを分かっていたように、氷柱姉は笑みを浮かべた。


「また、笑顔が消えてしまったわね。紅桜は、私が暗いと悲しくなってしまうのね。」

「それは……だって、氷柱姉は私の……」

「嬉しい。すごく嬉しいの。……だから、離れないとと思ったの。」

「離れ……なんで?」

「そう思うわよね。私も、こんな事はしたくなかった。でもね、あなたを見ているとね、全てが終わってしまった気になってしまうの。私の心が空っぽになってしまいそうで、怖くて、怖くて逃げだしたくなってしまったの。」


 私は、氷柱姉の告白に驚愕してしまった。

 気持ちを知らなった事では無く、氷柱姉もまた一人の人間であると知ってしまったから。

 そして、自分の中である種の崇拝対象のようになってしたことに、気づいて言葉が出なかった。


「呆れたでしょ?せっかく頼りにして相手が、ただ怖くて逃げてただなんて……」

「ち、違……」

「否定しないでいいの。分かってる。痛いほど分かるから……」


 私の顔を見て何かを察してしまった。

 それがたとえ間違った解釈になっていたとしても、今言葉をかけたところで解けないだろう。

 また、間違えてしまった。


 今、私の全てが悪い方へと進んでる。

 一挙手一投足が氷柱姉を不安へと導いている。

 改善するにも聞く耳を傾けてもらえない。


「それで?逃げた結果、みんなに迷惑をかけて、スッキリしたの?」

「……」

「黙らないでよ。私はまだ、理由を聞いてない。ひっちーが話すって言ったんだよ?」

「そうね。それも言わないとね。」


 百々姉はいつもと打って変わって高圧的なを向ける。

 言葉遣いもどこか刺々しく、敵対心を向けている様にも見える。

 百々姉もまたぶつけたい気持ちがあるはずで、その気持ちをむげに出来ないはず。


「百々が聞きたいのは、『私がどうしてサークルを抜けたか』、であってるかしら?」

「それ以外の事を言い出したら、本気で手が出てたよ。」

「私に手を、ね。……まあいいわ。」


 百々姉と話している間は、どこかいつもの雰囲気を取りもどしているように見える。

 百々姉は今にも暴れだしそうな感じだけれど、どうにかセーブしている。


「そもそもどうして私があんなサークルを立てたのか、と言うか、服を作り始めたか……そう言えば、百々にも本当の話をした事は無かったわね。」

「『私達とのコスプレが楽しかったから。』って昔言ってたけど、それが嘘だったって事?」

「貴方達との始まりはそうだった。だから、間違いではないわよ。」

「……」

「でも、本当は違う。貴方達とよりも少し前から私はこの思いを持っていた。……本当はね、紅桜のためだったのよ。」

「私?」

「えぇ。」


 百々姉との会話でどうして私の名前が出てくるの?

 私はそんな話一つも知らない。

 そんなお願いを願った事は無かった。


「驚いた顔をしているわね。少し良い方を変えるわ。私が紅桜を喜ばせたいを思ったからよ。」

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