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知恵を借ります!?

 身支度を整えた後、永久達を中に通して昨日の一連の話をした。

 3人とも私が話終わるまで真剣に話を聞いてくれて、申し訳なさを感じながらも少しだけ胸が軽くなった。


「氷柱さんが帰ってこない……か。考えられないな。」

「それで、ずっと待ってて……」

「百々さんは同じ大学だったよね?出席してるかだけでも聞いたらどうかな?」

「それが……」


 百々姉のところには既に行ってる。

 でも、あのときの百々姉はどこかおかしくて、氷柱姉の名前を出すだけで帰るように言われてしまった。

 話一つ聞いてくれなくて、部屋の中に入ってしまった。

 だから、余計氷柱姉に何があったのか心配になってしまった。


「安易な考えとして、2人が喧嘩した事が関係してそうだな。」

「そうだね。でも、喧嘩したからって、帰ってこない事あるのかな?」

「確かに。まあ、喧嘩した事が帰って来ない原因では無いとして、関係はあるよな。」

「喧嘩したって情報しかないし、これ以上の推測は難しな。」


 4人で知恵を出し合っても、今のままでは情報が少なすぎる。

 どこかに何があったのか知っている人がいてくれたらいいんだけど……。


「もう一度百々さんに会いに行くべきだと思うよ。」 「それは……」

「難しいと思うぞ?」

「分かってるよ。でもさ……」

「なら、委員長に聞いたけばよくね?」

「え?」


 なんで委員長?

 全然関係ない気がするけど……あ、そういう事?


「委員長のお姉ちゃん!」

「そうそう。」

「?どういう事??」

「委員長のお姉ちゃんとも仲良くしてるから、もしかしたら知ってるかもしれない!」

「なるほどな……。てか、なんで神事が知ってるんだ?」

「うちの親父警察官で、委員長の所もそうなんだよ。それで、親同士が繋がり持ってたまにご飯食べてる時に話題が出るんだよ。」


 そう言えば、神事の所もなんだよね。

 神事にしても、黒瀬にしても、仲良さそうだな。

 私のところもそうだったら……ダメダメ。

 この考えは良くない。


 思いついたらすぐに行動した。

 黒瀬に電話をかけると1コールで出てくれて、すごく文句を言われてしまった。

 謹慎明けに学校に行ってみれば私が来てなくて、自分のせいで謹慎させられてるのかと思っておたらしい。

 そんなふうに自分が悪いことをした自覚があったのはびっくりだけど、心配させてしまったことに胸が痛む。

 黒瀬に事情は伏せて姉関連でお姉さんと繋いで欲しいと言うと、二言返事で繋いでくれた。

 

「紅桜ちゃんお久だね!私に話があるんだって?」

「はい。姉に関して少し聞きたい事があって……。直球ですが、姉と百々姉の間で何があったか聞きたいです。」

「あ、それ?……ちょっと考えさせて。」


 陽気な声から、苦虫を噛むような声に変わる。

 2人だけの喧嘩だと思ってたけど、もしかして友達間でも何かあったのかな?

 むしろ巻き込んでの喧嘩?


「やっぱり、話をするのは私の口からはダメだと思う。ごめんね?」

「いえ、こちらこそ、言いにくいことを聞いてしまってすみません。」

「それについてはむしろ謝るのはこっちだよ。関係ない下の子達まで巻き込むなんて、一端の成人がすることではないよね。」


 申し訳なさそうな声が電話越しでも伝わる。

 今回の喧嘩は、何か訳ありな気もしてきた。


「それにしても、ひっちーともっちー妹ちゃんを困らせるなんて……私から2人に言っておくよ。」

「助かりま……え?」

「どうしたの?」

「氷柱姉は学校に行ってるんですかっ!?」

「え?……うん、来てるけど……」 


 良かった、良かった!

 氷柱姉、私の前には出て来ないだけでちゃんと学校に行ってるんだ。

 氷柱姉のみ何かあったとかでは無いんだね。


「氷柱姉が帰って来なくて、心配してたんです。」

「帰ってないの!?え、でも、家には帰ってるって…………ちょっと聞きたいんだけど、紅桜ちゃんは一人暮らし?」

「はい。ただ、TS病にかかってから、氷柱姉が一緒に住むようになって……」

「なるほどね。」


 電話越しに呆れ声が漏れていた。

 私にはそれが意味することが分からなかった。

 ただ、氷柱姉の友達ならみんなわかってしまうのだろうと少しだけ悲しかった。


「一先ずひっちーの居場所は分かったから安心て。」

「本当ですか!?」

「ズバリ、実家の方だね。」

「実家……ですか?」

「うん、間違いない。それだと最近の態度も納得できるし。……てか、可愛い妹ちゃんに実家に戻ることを伝えていないなんて、どれだけ罪深いことを…。」


 少し不安な言い方をしている。

 今の氷柱姉はどうなっているのだろうか?


「紅桜ちゃんは実家に戻るのに抵抗があるよね?」

「は、はい。」

「だから、ひっちーの方は私がどうにかしておくよ。だから、ひっちーともっちーの喧嘩についてはもっちーの口から聞いてね。」

「でも、百々姉は……」

「そのことに関しては……ん~どれが良いかな?ちょっとまってね?」


 電話越しに唸り声が聞こえる。

 会話から百々姉の弱みを握って聞き出すようにと言われそうだけど、悩むほど弱みがあるところが怖い。

 普通弱みって1つ2つだよね?

 百々姉だから沢山弱みを握られてるのか、それともこの人なら一人に対して何個も集められて当たり前なのかそこで話が変わってきそう。


「よし、決めた。紅桜ちゃんにはこれを授けよう!」


 電話越しなのにひときわ小さい声でそれを伝えられる。

 確かにそれなら百々姉を引き止められそうだけど、百々姉ならやりかねないと思っていたことなのでちょっと引いてしまう。

 そして、それを知っているこの人も怖い。

 情報屋の名は伊達ではないらしい。


「ありがとうございます。」

「いいよ、気にしないで!これは本人たち同士のもので、他の人を迷惑かけたらいけないからね。」


 何度がお礼をいうと電話を切る。

 3人の方を向くと、私が無事に電話を終えて安心していた。

 話に夢中で正直他のことに気がついていなかったけど、こうして話が終わるまで静かに待ってくれてたのは嬉しい。


「話はまとまった感じたな。」

「行くんだよね?」

「そうと決まったら、早いうちがいいな。」


 鉄は熱いうちに打てということわざに習って、すぐに動くことにした。

 2度目の来訪と言うことで、次また同じ様に避けられたら心が折れそうだけど、気持ちを強く持ってチャイムを押した。

 ドアの前まで歩く音が聞こえ、手前で音が止まる。

 それから少しの間静寂が続き、ガチャリと扉が開いた。


「紅桜ちゃんまた来たんだね。」

「百々姉、私……」

「いくら紅桜ちゃんでも、あの件は話す気ないよ。だからごめんけど帰って。」

「嫌だ!私は、ちゃんも話を聞きたい!」

「ほんとに無理だから。例え後ろの3人が襲おうとも口を割らないよ?」

「3人はそんなことのために呼んでないよ。2人での話し合いでいいの。他の誰にも言わないから!」

「なら、ひっちーに聞きなよ!なんで私なの!?」

「それは……」


 声を出そうとすると、息が詰まりそうになる。

 言いたくても、口が動いてくれない。


「私は無理だから、これ以上は……」

「ま、待って!まだ……」

「しつこいよ。私だって忙しいからね?」

「…………話してくれないなら、あの事おじさんに言うから!」

「あの事?」

「盗撮してたでしょ?その事全部おじさんにバラすから!泣きつきに行くから!」

「っ!?何でそれを!?いや、でもあれは!!」

「どうせ、部屋の中に残してるでしょ?今からおじさんの所に行ったら、処分する時間無いよね?それに、バレた後どうなるか分かってるよね?……どう?これでも話す気無いの?」


 聞いた通りの脅しをかける。

 最初は苦虫を噛み潰したような顔だったけど、徐々に顔が青ざめていく。

 きっと雀頭の中で想像してるんだ。


「分かったよ。その代わり紅桜ちゃんだけだよ。他は帰ってもらうから。」


 諦めをつけたうえで、条件の元承諾してくれた。

 これで一足安心だ。

 そしてて、3人には申し訳ないけど帰ってもらおう。

 

「3人共ごめんね?」

「気にする必要はない。別に俺達は話を聞きに来た訳では無いからな。」

「そうだよ。紅桜ちゃん、気にしないで。」

「元気になってくれるだけで十分だろ。」

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