実行委員集合です!
「今回から参加します、2年満散琉です。よろしくお願いします。」
「わ、私も、今回から参加する、1年、黒咲、美和、です。よろしく、おね、がいし、ましゆ。」
満さんと美和ちゃんが実行をやりたいと言ってから、夜宵先輩の一声で無事入れることができたみた。
今日は活動初日で、新しく入ってきた一年生と一緒に2人も自己紹介をすることになった。
満さんは緊張からか、少し強張った言い方になっていた。
美和ちゃんは人見知りながらも、ゆっくりと自分の言葉を喋っていた。
「2人も参加することになったんだ。」
「そうだよ。私だけじゃなくて、樹達もって実行だよって伝えたらみんなとやりたいって言ってくれたんだ。」
「2人なら、しっかりやってくれそうだから頼りになるな。」
「そうだね。」
樹と小声で話す。
2人の自己紹介がちゃんとできるか心配だったけど、取り越し苦労だったみたい。
いや、普通に考えて高校生になって自己紹介を心配するなんておかしなことなんだけどね?
やっぱり、2人の過去を知っちゃってるから、杞憂だとしても考えてしまう。
「どうもみなさん、生徒会長兼実行委員長の若葉です。今日から新たな生徒を取り入れて新実行委員会として動きます。これから今後のスケジュールなどを話すので、事前に配布した資料に目を通してください。」
夜宵先輩が話し始める。
いつものだらっとした雰囲気からは考えられない、落ち着いていてクールな出来るOLみたいな女性がそこにいて、詐欺に遭っている感覚がした。
けど、みんなはこの姿しか見ていないから、普段の生徒会長だと感じているんだろう。
「スケジュールは大まかにこうなっています。今の時点で疑問点があれば挙手をお願いします。」
例年では実行委員長は生徒会長がやる訳ではない。
むしろ、兼ねてやるのは異例中の異例で今年が2回目だ。
初めて聞いた時は驚いたけど、異例を見たのは2回目だったからそこまで違和感は無かった。
「続いては当日までと当日の各学年の役割分担について話していきます。」
こうやって見ると、夜宵先輩が有能な人なんだと実感する。
生徒会長をやって、実行委員長をやって、その上勉強もできて、まるで誰かさんの真似事みたいだ。
だから、その姿には憧れるし、みんなが居ないあの場所でのみふざけた態度をとる意味がわかった気がする。
それもまた誰かさんみたいだ。
学年を考えても、その人を見ていたかもしれないし、本当に真似をしているかもしれない。
「それでは、今日話す内容は以上となります。これまでの話で、疑問点はありましたか?」
夜宵先輩の問いに挙手をするものはいなかった。
「それでは今日の会議は終わります。次回はそれぞれの持ち場での活動になるので、遅れて他人に迷惑をかけない様にしましょう。」
みんなが一斉に立ち上がり、教室を出ていく。
私たちもそれに習って外を出ようとすると夜宵先輩に呼び止められてしまう。
しかも、私たちの組ともう一組だけ。
その組み合わせから、なんとなく察してしまいちょっとだけ面倒くさいなと考えてしまう。
「君たちのクラスはまだ模擬店の内容が決まってないよね?現状どんな感じなのかな?」
「まだ決まってないです!」
「すみません、こちらも同じです。」
「そう。なるべく早く決めてくれると嬉しいんだけど……」
夜宵先輩は慎重に言葉を選んでいる。
もしかしたら、私たちのクラスのいざこざを知っているからかもしれない。
そう考えると、本当に申し訳ない。
「なるべく早く決まる様努力します。」
「本当にすみません。」
黒瀬も夜宵先輩の前だからか、口悪く言う様なことはなかった。
そして、驚いた事に向こうの組の人達も申し訳なさそうに謝罪をしていた。
クラスの人達の話から交戦的な人達なのかと思ったけど、そうでもないのかな?
それとも、ここにいる人達だけは違うのか。
「あの、少しお時間いいですか?」
夜宵先輩が出て行った後、彼らから声が掛かった。
申し訳なさそうに腰を低く話しかけて来て、少し不気味でもあった。
「話たいことがあるんですね。分かりました。」
黒瀬は落ち着いていながらも、少しピリついている。
話が始まったらすぐに手を出さないか心配だ。
黒瀬が暴れない様に4人でいつでも取り押さえられる様に構えながら向かい合う。
そして、いざ口に出されたものは私たちの予想を裏切るものだった。
「出し物の件、本当にすみませんでした。私たちの一部の人たちがかなり文句を言っている様で、それを止めれずすみませんでした!!」
実行の5人は勢いよく頭を下げた。
これが演技だとは到底思えなくて、本心からなんだと思った。
「頭を上げてください。」
「ですが……」
「あなた達は私たちに文句を言ったわけではないんですよね?」
「はい。私たちはむしろ、被ってしまい迷惑をかけたと思っているぐらいです。それに加えて、クラスのみんなが難癖をつけているのを止められず……」
「なら、私たちは怒ったりしないので。黒瀬もそうだよね?」
「ま、まあ。」
怒りが消えるどころか、黒瀬は面食らっているぐらいだった。
私も泥臭い口喧嘩が起きるんじゃないかとドキドキしていたので、平和的解決出来そうで安心した。
「そちらのクラスがどうなっているのか聞きたいし、頭を上げてよ。」
「分かりました。」
顔を上げてくれる。
そして、改めて机を囲んで話し合いをすることになった。
「そっちの話を聞かしてくれるかな?」
「では、最近の話からしますね。私たちのクラスで突然出し物をわざと被せてきているところがいる、と言う噂が流れてました。もちろん私達はそんな事ないと言ったのですが聞く耳を持ってもらえず、直接文句を言うと言う人まで現れました。そこからはもう私達では何も出来ず、実際にそちらに文句を言った人がいだと思います。」
「なるほど……」
最後の部分はこの前クラスメイトから聞いた事の部分だね。
あの話は実際に起こった事なのはこれで確定だから、あとは原因を突き止めないとね。
「噂がどこから流れたのか分かってるの?」
「いえ、私達の方でもみんなに聞いたのでますが、口を揃えて友達から聞いたと……」
「確証は無いけど、友達が言ったから嘘の訳が無いって理由で広まってそうだね。」
「はい。ただ、それだけで、あそこまで攻撃的になるなんて、本当にすみません。」
「謝るのはもういいよ。君たちは悪いことしてないんでしょ?」
ようやく顔を上げてくれる。
本当に悪い事をしていたならまだしも、むしろ被害を抑えようとしてくれてたなら申し訳ないぐらい。
「それにしても、あなた達だけに頑張らせるわけにはいかないね。私たちの方でも何か出来る事をしたいね。」
「こっちがやれることか……。やるとしたら委員長みたいな過激派を抑え込むぐらいか?」
「そうしたいんだけど、出来るかな?こっちの方でも、向こうのクラスが文句を言ってるって事実が広まっちゃってるわけだし。」
まだ噂程度ならどうにかなったんだけど、事実には変わりない。
一部はまともな人が居るからって言っても、じゃあ残りの人は?って話になってくるし。
どうしたものかな?
「いっそのこと、過激派の人たちを集めて話し合いをさせればどうかな?お互い納得出来る所まで話せると思うけど。」
「それをやったら、最終的に暴動が起きないかな?そっちの組の人はどう思う?」
「暴れたりはしないと思うんですけど、話がまとまりますかね?」
「そこは……なるようになると思うけど……」
確信は持てないし、直ぐに収まる事もなさそうなので数日はかかりそう。
ただ、私たちは大人な対応が出来ると思ってるから大丈夫なはず。
「そう言えば、黒瀬が言ってたクラスの代表者はここにいないの?文句を言われたって言ってたよね?いるなら今和解すればいいのでは?」
「そうだね……代表を名乗ってた人、ここにいないね。」
「実行で、クラスの出し物を決めたのは私達だけですよ?代表を名乗ってた人ってどんな特徴ですか?」
「縦長ロールの人で……」
「あ、それって……」
5人共同じような反応をする。
しかも、ばつの悪そうな表情で、大体どんな人か察した。
「その人、私たちの委員長で今回の件の過激派で代表みたいな人です。」
両組の委員長は過激派のようだ。
似た組が同族嫌悪してるのかな?
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