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会議をします!?

「今日皆に残ってもらったのは、文化祭の出し物についてです!えー、紅桜ちゃんの提案により、男装女装メイドカフェに変更しようと思っています!異論のある人は、私がしばきます!!」


 クラスのみんなが黒瀬に放課後残るように伝達されて、現在壇上に立って黒瀬が暴論を言い放った。

 しかも、異論を認めないというのだから、クラスメイトから反感の声が上がった。

 特に男子の声が多かった。


「今回メイドカフェじゃなかったのかよ!」

「黒瀬もメイドが見たいって言ってただろうが!」

「女装なんてして何が面白いんだよ!!」


 反応を見るに、メイドカフェを賛成していたのは男性陣が大半を占めていたらしい。

 それが急に変わったとなったんだから、男子からの非難の声が多いわけだ。

 欲望に忠実すぎて少し引いちゃうけど、年頃という言葉で納められる範囲だ。


「黙れ!私が委員長なんだぞ!決定権は私にある!!」


 男子の非難の嵐の中、黒瀬の声が響き渡った。

 その声を聴くと、みんな難癖をつきながらも非難しなくなってしまった。

 さっきの態度から打って変わりすぎて、そんな簡単に諦めてもいいのかと思ってしまう。


「まあ、今までのは冗談ね。真面目な話、メイドカフェは他の組と被っちゃってるんだよね。だから、どっちかが折れないといけないし、それなら新しい案に変えるのも手かなと思ってさ。みんなはどう思う?」


 普段のおとなしいトーンで語り掛ける。

 おふざけは終わりで真面目な話に変わったのがよくわかる。

 ただ、最初から真面目にやれとは思うんだけどね?


 黒瀬の話を聞いてみんな真剣に考える。

 男子の一部は欲望へ忠実になるか周りに気を使うかを天秤にかけている。

 他の人は比較的納得したような顔つきでいる。

 

「質問なんだけどさ、男装女装ってことは衣装関係は自由なの?それとも男女それぞれ固定?」

 

 女子の一人が最もな意見を口にする。

 提案した側としては何も考えていないけど、確かに衣装を着ることになるから準備する側の事を考えないといけない。


「そこは固定がいいかな。ばらけると用意するのが面倒だから、男子はメイド姿で女子はタキシードで行くつもりだよ。」

「おい、ちょっと待て!」


 黒瀬が言い終わると同時に男性陣から待ったの声が飛ぶ。

 まあ、男子がメイド服って基本的に絵面がおかしなことになりそうだし嫌な人は多そうだよね。

 それに対して、女性陣のタキシードはかなり反応がよさそう。


「どうしたの、何か問題でも?あ、もしかしてメイド服を用意するとなると家の人に誤解されかねないから心配だって?」

「違うわ!」

「大丈夫大丈夫!メイド服はこっちが準備しとくから家の人に変な趣味に目覚めたと思われないよ?女子も、タキシードは前日に配るから安心してね!」

「話を聞けよ!」


 男性陣の声が聞こえていないのか、心配していないことに対してべらべらと喋る。

 傍から見てるととても可愛そうに見える。


「樹はさっきから文句言ってないけど、気にしないの?」

「ん?だって、あの状態の委員長に何言っても意味ないし。」

「あーね。」


 少し遠い目をしてた。

 内心嫌がやってそうだけど、諦めてるね。

 言い出しっぺとして心から謝っておくよ。


 黒瀬の独壇場で話は進んでいき、出し物は男装女装カフェに確定しまった。

 後は何を提供するかとかなぜか裏オプションという意味の分からに物を考え始めてしまった。

 みんなの話の内容が分からないまま、あっという間に時間が経ち、気が付けば帰路についていた。


「あれ?氷柱姉と百々姉?」


 帰路の途中で2人の姿を見つけた。

 仲良く帰っているようにも見えるし、喧嘩してるカップルのように見えてしまう。

 触らなぬ神に祟りなしということわざを信じるなら今の2人に声を掛けないほうがいい気がする。

 けれど、アパートについてしまえばどうせ声を掛けることになるし、ここで喋っておいた方がいいかな。


「氷柱姉、百々姉!」

「ん?紅桜じゃない。もうそんな時間だったかしら?」

「紅桜ちゃん、お帰り!」

 

 いつもと変わらないような声色が返ってきた。

 とはいえ、2人のテンションがやっぱりおかしい。

 なぜか凄く大人しい。


「2人ともどうかしたの?」

「ん?何の事かしら?」

「別もいつも通りだと思うよ?」


 やっぱりどこかおかしい。

 反応がそっけなさ過ぎて逆に心配してしまう。


 いぶかしげな眼で2人を見てると、逆に2人も変な目で見てくる。

 私からしたら2人の方がおかしいのに、ちょっとだけ理不尽にも感じる。


「ま、紅桜がどう思おうが私達には関係ないし、さっさと帰るわよ。」

「そうだね、最近急にサブくなったよね。」

「あーちょっと!!」


 止めていた足を動かす。

 2人は私より足が長いから一歩が大きくて、隣を歩くのに精いっぱいだ。

 感じ取っていた違和感も次第に感じる暇もなくなってしまう。


「ちょっと早いよ!」

「ごめんごめん。」


 私が声を掛けることでやっと歩くスピードを落としてくれた。

 今までの氷柱姉なら歩き始める前から気を使ってくれてたのに。

 我が儘姫みたいな思考だけど、普段してもらってることが当たり前に感じて良くはないけど、やっぱりそれがないと疑問に思ってしまう。

 そこが、どうにも余裕のなさのように感じてしまう。


 アパートについてからの氷柱姉も少し違和感があった。

 偶にボーっとすることが多くて、私が声を掛けると正気に戻ってる。

 心ここに在らずの状態が続いてて、本当に心配だ。

 しかも、それが数日も続くんだから、いよいよ私が無理やりにでも聞き出さないといけないかも。


 そう思っていた間、学校で事件が起きた。

 文化祭の出し物に、他クラスが難癖をつけてきたらしい。

 これが今後この学校で伝説になったかもしれない模擬店戦争。


「あいつら、俺たちが出し物を変更するように手続きを出したタイミングで同じ案を提出してきたらしいぞ!」

「しかも、こっちがあいつらの案をわざと被らせに来てるとか抜かしてるらしいぜ。」


 教室に入ると一部のクラスメイトからそんな声が聞こえてきた。

 内容があまり良いものではないので少しだけ不安だ。


「おはよう樹。今朝のこれは何?」

「おはよう。これはまあ、聞こえたまんまらしい。なんでも委員長が言いに行ったタイミングで例の同じ案を出してきた組が同じものを提案してきたらしい。」

「そんな偶然もあるんだね。」

「そんな偶然あるわけないじゃん!あいつらこそわざとだよ!」

「っ!委員長…。」


 樹と話してると、横から黒瀬が口を出してきた。

 怒声を近くで聞いたものだから体がこわばってしまった。

 それにしてもどうしてそこまで怒ってるんだか。


「あいつら、私たちが案をわざと被せに来てるとか言い出してきたんだよ!意味わかんないよね!」

「そ、そうだね。」


 黒瀬は相当お怒りのようで、変に何かを言うと拗れそうだったので一先ず賛成の意を示した。

 何事もない文化祭をと思ったけど、今年は何か起きそう。


「他の組が難癖をつけてきたことは置いといて、出し物は決定したのか?」

「それが、被っちゃったからまた保留だよ。こっちはもうメニューとか決めてるのにさ、今から変更なんて出来ないよ。」

「そういえば、あっという間に決まってたね。」


 昨日の盛り上がりについていけず、いろいろ決まっていたことを今になって思いだした。

 そういえば変な事も決めていた気がするけど、どうだったっけ?

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