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クラスメイトがおかしいです!?

 みんなが教室に戻ってくると、予想通り奇異な目を向けられた。

 覚悟をしていた分、心の傷になるような事はなかった。


 教室に先生が戻ってくると、私の為か騒がしいくなってるみんなを落ち着かせた。

 その後何事もなかったようにホームルームを始めた。

 みんなの期待の眼差しを受ける中、鈍感な心を持って平然と話を進めていった。


 そして、私についての話を忘れているのか一切話さず、ホームルームを終えると教室を出て行ってしまった。

 こうなってしまってば必然的に私の元へみんなが集まってくる。

 私がどこの誰なのか、なぜ樹と仲良くしていたのか等色々と質問が飛び交う。

 

「み、みんな、落ち着いてっ!」


 私が声を発しても近寄ってくるみんなの動きは止まらない。

 それどころか、私が声を発したことで声の数が増したように感じる。


「ちょーっとみんな!彼女が怖がってるじゃない!!」


 私の周りに人が集まりすぎて、黒瀬が大声をはした。

 そして、みんなを私から遠ざけるように手を振り払って私の前に立ちふさがってくれた。


「そんなに強引にしたら、話そうにも話せないでしょ!それに男子!いきなり女の子に近づいたら怖がられるに決まってるでしょ!もっと距離を取るように!」


 女の子にこんな事言っていいのか分からないけど、とても漢気があって今までの中で一番頼りがいがある。

 委員長という肩書があるからか、誰も黒瀬に歯向かおうとしないし、これで一安心。


「紅桜ちゃん、大丈夫だった?怖くなかった?」

「少し怖かったけど、黒瀬のおかげで一安心だよ。」

「そっか、……ていうか、樹君も助けてあげなきゃでしょ?」

「いや、飛び火……まあ、間違ってないか。みんな、怖がるような事はするなよ。」


 その注意の仕方は小動物か何かを保護するみたいで、ちょっと複雑な気持ち。

 でも、樹も私が周りとなじめるようにあえて手を出さないでいたんだと思う。

 その気を無下にしたみたいで快くないけど、黒瀬より先に声を上げてほしかったなって思ってみたり。


「ひとまず女子から一人ずつ聞くから整列してね!男子は時間があったら聞くから、それまでは紅桜ちゃんが警戒しないように散っててね。」


 たった10分しかない休憩時間は女子全員との一対一の質問で埋め尽くされてしまった。

 そんなにも多く聞くことが多くあるのかと内心疑問に思っていたけれど、いざ話始まれば自分の間違いだと思った。

 最初にどこから来たのかという質問であったり、転校生では無いのかと問われた。

 嘘をついて転校生という事にするでも考えてはいたけれど、それだと何処かでボロが出てしまう可能性があるのでやめた。

 

 その為、自分のことをバラした。

 何を言われてしまうのか怖くて仕方なかったけど、みんなを信じてみた。

 このクラスメイトを私なりに落とし込んで、みんながそんな事で私を陥れないと考えた。


「そ、そんな……。樹君とのカップリングが……。」

「え?」

「て、でも、女の子なら、正式にくっつけるわけで……」

「私達は、男同士じゃ無いとダメなの!?腐ってるのに、そんな純なる聖をみたら、浄化され……」

「た、倒れた!?」


 変なことを言い残して1人倒れる。

 そして、つられて1人又1人と数名が倒れてしまった。

 私の信じたクラスメイトは、どうやら頭のおかしな変人達だったよう。


「だ、誰か腐り切った奴らを運んで!」

「男子、出番よ!!……あ、でも直接触ったらセクハラだから。」

「それ、どうやって運べば良いんだよ。」


 クラスの女子の過半数が倒れてしまったので、2人一組で保健室へ運んだ。

 ただ、それだけの人数を保健室だけで補えるはずもなく、特別クラスのスペースにマットを敷いて寝かせる事にした。


「これ、何事?」

「せ、先輩、事件ですか!?」

「じ、事件……かな?」


 部屋にいた満さんと美和ちゃんに曖昧な返事を返して遠いところを見ていた。

 自分のせい、というのも何か違う気がするし、この状況をうまく説明できない。

 倒れて意識を失っているクラスメイト達がみんな運び終わると、二人にお詫びを言って教室に戻った。


 クラスの4分の1以上がいない教室は想定よりもガラガラに感じた。

 人数の少ない教室は私には丁度良かったらしく、ストレスなく授業を受けれた。

 倒れた人がいたっていうのに、こういうのは少し不謹慎だけれど、そう思ってしまうのはしょうがないよね?

 

 お昼になると、久々にみんなと席を囲んでご飯を食べた。

 前までは男4人で傍から見れば男の集まりにも見えていたけれど、今は黒瀬が加わって3対2の構図になっている。

 こういう時は花が咲いたっているのかな?少しだけうらやましく見えるかも?


「紅桜ちゃんが戻ってきて、クラスが明るくなったね!」

「そ、そうかな?」

「それあるかも。特に、女子の声が大きくなった気がする。」

「紅桜ちゃんがいないときは結構静かだったよな。落ち込んでるやつもいたし。」


 落ち込んでる人たちはちょっと意味が変わってくるかもしれない。

 でも、私がいないとクラスのみんなが心配してくれてたと思うと、少しうれしかったりする。


「そういえばさ、紅桜ちゃんは”私”固定なのか?」

「うん。変、かな?この格好で俺とか僕はおかしい気がして。」

「いや、どっちでも似合うよ!むしろ、そっちの方がいいかも!!」

「委員長、声大きすぎ。」

 

 急に黒瀬が声高らかにしゃべる。

 近くにいたせいで鼓膜がやられそうだった。

 大きな声まで出して伝えたかったことなのかと疑問は感じつつも、時折出る黒瀬の黒い本性だと思って聞き流す。


「でも、実際そういう人はいそうだよね?樹君的にはどう思う?」

「……」

「どっちでもいいんじゃないか?一人称なんて、自分がしっくりくるもので十分だと思う。」

「そう、だよね。」


 樹の言葉を固唾を飲んで聞いて、最終的には安堵が出た。

 もし、樹がこれがいいと言い出したら、少し困ったかもしれない。

 けど、そうじゃなくて、樹らしい回答だったからうれしかったし、安心した。


「そうだ、紅桜ちゃんに聞かないといけないことがあった!」

「??」

「文化祭の出し物何がいいかな?」

「なんでもいいんじゃない?」


 それを私一人に聞くのはどうかと思うけど、一先ず無難な回答をした。

 これの怖いところは、私が提案した回答になる可能性がある。


「つまらない回答だよ!具体的な案はないの!?」

「なくはないけど、勝手にそれに決まりそうで……。」

「一応皆には案を聞いてるよ。委員長が急に話題に出すから勘違いしてると思うけど、一応仮決定はしてるんだよ。その上でもし紅桜ちゃんも何かしたいことがあったらまた話し合おうってことになってるの。」

「そうなんだ。でも、みんなで仮にも決まてるんなら、私が案を出しても変わらないだろうし、そのままでいいと思うよ。」

「それが、メイドカフェでも?一応紅桜ちゃんにはメイド服着てもらうことになるけど。」

「え?」


 そうなると少し話が変わってくるかも。

 私はコスプレとかは嫌いではないけど、あくまでも知らない人の前での話。

 さすがに知人の前では恥ずかしくてできないよ。


「やっぱり私も案を出そうかな?」

「今決まってるものでよかったんじゃないのか?」

「メイドカフェはちょっと。」

「紅桜ちゃんに合いそうだし、このままがいいんだけど……。もしかして、もっとすごい服期待の!?逆バニーとか!?」


 樹が意地悪な質問をしてくるし、黒瀬が変な妄想を始める。

 ここは何かいい案をとは思うけど、多分メイドカフェは賛成票多そうだし、私が何か案を出しても覆らなそう。

 こうなったら、一か八かにかけるしかない。


「今案出しても、変わらなそうだし、メイドカフェでいいよ。」

「本当!?紅桜ちゃんのメイド服姿見て見たい!?」

「言っておいてなんだが、本当にいいのか?」

「いいよ。だけど、黒瀬の言うように、もっといい服がいいと思うな。」

「???」

「男装女装メイドカフェにしようよ!」


 私はみんなに聞こえるように大きな声で宣言した。

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