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腹を割って話しました!?

 グラスから水滴がこぼれる。

 冷房が効いてるはずだけど、外の日差しがここまで届いてるかもしれない。


「理由を聞いてもいいかな?」

「今はさ、夜宵先輩が居るからやめた方がいいよ。」

「生徒会長が居て困るの?」

「あの人変態だから、気お付けた方がいいよ。」

「そう、なの?」


 私の言葉に納得できないでいるかの様に顔をしかめる。

 普段の行いからあの先輩はヤバいと思うんだけど、なんで伝わらないんだろう?


「私と永久の言ってる人は同一人物だよね?なら同じ感想を思うはずなんだけどな?」

「いつもの生徒会長から考えられない感想なんだよね。」

「もしかして、私たちの前以外で猫を被ってたり?普段どんな感じなの?」

「凛としてて、どんな事にも冷静に対処するような人かな?」


 何それ、誰の話?え、本当に夜宵先輩の話!?

 もし、今の話が本当なら相当猫被ってるよ!?

 じゃないと絶対出てこない反応だよね!?


「私からしたら、変態を体現したような人にしか見えないよ。」

「全然違うね?もしかして、初対面の時に何かされた?」

「スカートめくられたよ。本当に最低だよ。」

「え?」


 永久は眼を丸めて、ドン引いていた。

 実際されたことだし、今でもちょっとは根に持ってるくらい。

 そして、他にも先輩が行った悪行を語った。

 しかし、思い返してみればすごく最低な出会いだ。


「あの人がいる間はやめた方がいいと思うよ。永久は目を付けられそう。」

「それなら、何されるか怖いね。紅桜ちゃんが止めるのも納得かも。」

「まあ、それだけじゃないんだけどね?」

「??」


 せっかくクラスに居場所があるのなら、それを手放すなんてもったいない。

 居場所がなくなってしまえば、作る事も混ざる事も難しい。

 それを私自身が今体験してる。

 悩んで悩んで、それでも胸が苦しくなるくらい悩んでどうすべきか考えてしまう。

 こんな思いはさせたくない。


「永久は、どうして特別クラスに入りたいと思ったの?」

「……多分、嘘つきだと思われたくないからかな?」

「嘘つき?」

「だって、ボクは元々は女だったわけで、知らないクラスメイトに嘘をついてる様なものじゃん?」


 そうなのかな?私はそんなこと思わないけどな?

 でも、言ってることは何となく分かるんだよね。

 多分、今の私と樹みたいな関係に近いのかな?

 私は紅桜だけど、男の紅桜じゃなくて女の紅桜として接していて、樹は両方の私を繋げれないように私が隠してる。


「クラスのみんなに打ち明けようとは思ってるの?」

「それはない。だって、怖いから。」

「じゃあ、特別クラスに入ったら今のクラスには戻らないつもりだったの?」

「うん。だってさ、きっとボクの事変な目で見ると思うから。」

「……尚更だめだと思うね。」

「紅桜、ちゃん?」

 

 やっぱり、後の事をあまり考えて無いみたいだね。

 その結果がどんなに苦しい事が全然理解できてないのがとても羨ましい。


「クラスを騙してるって気持ちは、分かるよ?でもね、それでもクラスメイトから離れるのはやめた方がいいよ?絶対後悔する。だって私が一番後悔してるから。てか、ぶっちゃけ私は今とても苦しいよ。」

「……」

「何度も言うけど、永久の気持ちは分かるんだ。それは絶対。けどね、そこは逃げるべきじゃないよ。」


 永久の目が揺らいでいる。

 私の声に怯えているかのようで、少し申し訳ないと思ったけどここは我慢してほしい。


「私はさ、夏休み明けにクラスに戻る予定なんだ。」

「そうなの!?」

「うん。樹とね、そう言う約束をしちゃったんだ。」

「そ、そうなんだ。……」

「けど、正直かなりしんどいんだ。みんなが私の事を変な目で見るんじゃないかって。ほら、私は見た目が全然違うから絶対変な奴と思われるじゃんか?それに、樹も私だって気付いてくれないだろうし。」


 自分で言ってて胸が痛くなるな。

 なんでこんなこと永久に話してるんだろう?

 私はあくまでも永久の話を聞きに来てるだけなのに。


「私はさ、完全に昔の私じゃない。昔の霜雪紅桜はもういないんだ。だから、同じように接してくれる人は絶対にいない。そんな中で私は生きて行かないといけないんだって思うと、孤独を絶えれないと思う。だから、答え合わせをするようなクラスに戻るって行動は怖いんだ。」

「……ごめん。」

「なんで謝るの?」

「だって、凄く辛そうな事、ボクのために……」

「別に永久のためじゃないよ。なんとなく、話したくなっただけだから。」


 なんだか急に喉が乾いてきちゃった。

 てか、全身が熱い。

 体が沸騰して、冷気によって冷や汗が流れてる感覚。


「い、樹君は、多分そんな人じゃないと思うよ。」

「知ってる。」

「僕たちはそんな人じゃないよ?」

「知ってる。」

「クラスメイトもみんな、悪い人はいないと思よ。」

「知ってる。」

「それなら、……」

「考え過ぎちゃうんだよ。」


 永久は私を元気づけようとしてくれてるのかな?勇気付けてくれようとしてるのかな?

 

「今日は永久の話を聞きに来たのに何してるんだろう?」

「ご、ごめん。」

「謝りすぎ。私は責めてる訳じゃないから。ちょっとしたヒトリゴトだよ。」


 私の口は軽いな。

 昔はもっと無口で、口は堅い方だったのにな。


「ねえ、もし特別クラスに映ったとして、クラスメイトには何ていうつもりだったの?」

「それは、……樹君に事情を説明してもらうつもりだったの。」

「樹?」


 なんで樹が出てくるんだろう?

 いつも一緒に居るからかな?


「ボクのTS病を唯一してるクラスメイトだったから。」

「……っ!?」


 無意識に、テーブルを叩きつけながら立ち上がっていた。

 永久の表情を見て、自分が何をしていたのか気付いて、全体を見渡した。

 多少こちらに目を向ける人は少しいたけど、すぐに目を逸らしてくれた。

 羞恥心を感じながらゆっくりと席に座った。


「ご、ごめん。」

「急にびっくりしたよ。でも、そんなに驚く事だったかな?」

「だって、樹からそんな話は聞かないし、素振りもなかったから。」

「それは、ボクが周りに言わないように掛け合ってたから。」

「そっか、樹が……もしかして、私の事も、知ってたりしないよね!?」

「知らない、と思うよ?だって、私と同じ症状の人はこの学校では聞いた事無いって言ってたから。」


 そっか。それなら一安心。

 私は胸を撫で下ろした。


「今日は、話に付き合ってくれてありがとうね?」

「それは気にしないで。」

「それでさ、お礼じゃないけど、少し手伝いたい事がって……」

「??」

「紅桜ちゃんがクラスの戻れる手伝いを、したいなって。……あ、無理にとは言わないよ!?嫌じゃなかったら……」

「本当!?私困ってたから助かるよ!!!」

「////////」

「よろしくね!!」

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