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夏が終わりそうです!?

 夏が終わりかけています。

 夏が、終わりかけているのです!!


「氷柱姉、大変だよ!?夏が終わるよ!?」

「別になにも大変な事じゃないわね。いつもの事じゃない。」

「違うんだよ!!大変な事なんだよ!?」


 氷柱姉は何を言ってりるのか分からないという風な顔を浮かべている。

 私がこんなにも訴えかけているのに。


「だって、夏開けは学校に行かないといけないんだよ!?」

「普通の事じゃない。」

「クラスに行くんだよ!?」

「特別クラスに行くんでしょ?こないだもクラスの子と仲良く遊んでたじゃない。」

「違うよ!特別クラスじゃなくて、元のクラスだよ!」

「え、なんで?」

「樹に言っちゃったんだよ!夏開けたらクラスに戻るって!!」

「!?」


 やっと事の重要性に気づいた。

 私も、言葉が足りてなかったかもしれないけど、気が抜けすぎだよ!

 いやまあ、私が約束したのが悪いんだけどさ。

 でも、しょうがなかったんだもん!

 だって、樹に迫られて、何か言わない取って焦っちゃったんだし。


 はぁ、まあいいや。

 今は、夏が終わる前にどうするかの対策を立てないと!


「氷柱姉、どうしよう!?」

「そういわれてもねえ?どうにかしてあげたいけど、私にはどうにもできないし。」

「そこをどうにか、ねえ!?」

「無理なものは無理よ。」


 どうしたらいいんだろう!?

 氷柱姉の力は貸してもらえないのはかなり痛手だよ!?


「紅桜、電話鳴ってるわよ?」

「え?」


 気が緩んだ瞬間、電話の着信音が聞こえてきた。

 頭を抱えて自分の世界に入りすぎていたみたい。


『もしもし、紅桜ちゃん?』

「その声は広瀬さん?」

『!…そ、そうだよ。あ、あのね、今から話せない?』

「いいよ。何の話をするのかな?」

『いや、話は直であってからのほうがいいと思って……』

「二人きりで話したい内容って事?」

『うん。だからその、どこかで会えたらって……』

「了解。学校近くのファミレスとかでも良い?」

『う、うん!ありがとう。』


 永久からの電話が切れる。

 その後、氷柱姉が変な顔でこっちを見ていた。


「何?」

「別に、何か楽しそうじゃない。」

「楽しい事じゃないと思うけどなぁ。」

「だって、二人きりで会うんでしょ?告白とかじゃない?」

「会話を聞くなんて下品だよ。」

「目の前で話されて聞こえない方がおかしいでしょ?」


 仕方ないと思ってそれ以上言わなかった。

 それよりも、今日はゆっくりと家の中で考える予定だったから着替えてもない。

 待ち合わせる時間を指定し忘れたけど、なるべくは支度をしていかないとね。


「氷柱姉、ちょっと行ってくるから、留守番しといてね?」

「はいはい、行ってらっしゃい。」


 高校近くのファミレスとはいえ、そこまで遠いわけじゃない。

 電車を使う距離でもないけど、支度に時間がかかったのでその分急いで走ることにした。

 最近、外に出るといろいろな視線が来る。

 なんとなく、この暑さのせいだ。

 今年の夏は一段と熱く、肌の露出が多い服を着ることになった。

 まあ、私が選んだんじゃなくて氷柱姉が勝手に買ってきて、他の夏服をどっかにやったせいで着るものが無くなったせいだけど。

 それもあって変に注目されてる気がする。

 正直視線が気持ち悪いので早く建物の中に入りたい気はする。


「やっと着いた。」


 小走りをして何とか早めについた。

 流れる汗を拭きながら、ゆっくりと店内に入る。

 永久の姿が二かキョロキョロと見渡すと、私に気が付いた永久が手を振っていた。


「早かったね。」

「待たせるかもと思って早歩きできたんだよ。それより、広瀬さんの方こそ早いね。」

「ちょうど外にいたから……。」


 それだけ言うと黙ってしまった。

 正確に言うと、言いたいことを言い出せずにいる感じ。

 こっちから話を振ってあげたいけど、何分どんな話をされるかわからないから言い出し辛い。


「………」

「………」

 

 お互いに静寂が続く。

 この感じは嫌いだけど、どうにもできない。

 それがもどかしい。


「…………紅桜ちゃんは、TS病についてどう思ってるの?」

「それは……え?何で知ってるの??」


 なんで永久がその事を??

 訳が分からない。

 だって話をしてないはずだ。

 そんなはず……


「紅桜ちゃんさ、前に話してくれたよね?」

「い、いつ??」

「ほら、お泊りをした翌日に。…その、友達を追い返してくれた時だよ。」


 その時の記憶が一斉に脳裏を走った。

 そういえば、あの時に満さんが口走って、真実を言っちゃったんだった。

 なるほど、この前プールに行った時、永久だけ様子が変だったのもそういう事だったんだ。


「…ごめん。打ち明けたの忘れてた。」

「いや大丈夫だよ。逆に思い返さないほうがよかったかもだし。」


 あの後大変だったとはいえ、あんな重要な事を忘れていたとは情けない。

 しかし、真実を知っているとなると、態度をもとに戻してもいいかな?

 と、それよりも先に確認しておかないといけないことがあるね。

 

「私が紅桜だってことを気付いた後に、誰かに言ったかな?」

「言ってないよ。だって、それを広められるの嫌でしょ?私も嫌だったからさ。」

「そっか。」


 一先ず、広められてないことが分かって一安心かな。

 なら次の確認だね。


「名前は永久って言って大丈夫かな?」

「うん。元通りでいいよ。…あ、でも私は紅桜ちゃんって呼ぶね?」

「私はそっちの方が呼ばれなれたし、それでいいよ。それで、永久の話は何かな?」

「えっとね、私がもともと女の子だったって話を3人に聞かれたじゃない?それでね、ちょっと紅桜ちゃんに相談したいことがあってね。」

「私に答えられることなら…。」

「その、私もさ、特別クラスに行こうか悩んでるんだ。」

「それはやめた方がいいよ。」


 私は即答した。

 満さんがあまりいい顔をしなさそうで、美和ちゃんはすぐ仲良くなれると思う。

 けど、夜宵先輩がいる。

 それは何よりも重要事項で大切なことだ。

 あの人がいる場所へ赴くなんて絶対やめた方がいい。

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