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すっきりしました!?

 時計の両針が頂点まで行くと、笛の音が鳴った。

 いわゆるお昼休憩みたいなもので、次の笛の合図があるまで誰もプールには入ってはいけない。


「お昼にしよっか!みんな何を持ってきた?私は弁当を持ってきたよ!」

「私たちは持ってきました!先輩と一緒に食べようと思たので少し多めに作ってもらいました!」

「どうかしら?」


 カバンから3重箱を取り出す。

 少し多いというレベルかはおいておいて、少し申し訳ない。

 こっちは何も持ってきてないからだ。


「美和ちゃんありがとう。けど、私たちは何も持ってきてなくて、さすがに申し訳ないかな。」

「気にしませんよ!そうですよね、満先輩?」

「私も気にしないわよ。まあ、嫌なら食べなくてもいいわよ。」


 満さんの言い方的に、食べないといけないかも。

 でも、私だけもらうのは悪いし……。


「それなら、紅桜ちゃん達も何か買ってきて、それをシェアしたらどうかな?それなら申し訳なさも少なくて済むかも?」

「そ、それなら…」

「じゃあ、決定だね!男子諸君も買いに行くでしょ?紅桜たちのナンパ防止も必要だから一緒に行ってきなよ。」

「氷柱さんがいるから要らない気もするんだけどな。それに、こっちが女性のみになるのも困るんじゃないか?」

「俺は適当に買ってくれたらいいから、樹と永久が行ったら?」

「いいの?」

「ちゃんと今欲しいものを買ってきてくれると信じてるからな!」


 何も持って来て無い組の内、神事が残ることになった。

 近くの建物に、フードコートらしきものがあったので、私たちはそっちに向かった。

 お昼時であり、プールに入れないこのタイミングで多くの人たちが押し寄せていた。

 列がかなり長くて今から並んだら30分ほどかかりそうだ。


「かなり並んでるね。どうしようか?」

「素直に並ぶしかないわね。」

「それとも外に一度出て買いに行きますか?」

「外に出る時間も含めると結局同じ時間がかからるわ。諦めなさい。」


 氷柱姉の言葉に、樹は口を閉じた。

 せっかく樹が案を出してくれたのに、すぐに否定するのはどうかと思う。

 けど、仕方ないのも分かる。

 

 他の人が来る前に、最後尾に向かって列に加わった。

 普通なら、先にテーブルをとって並ぶ人が多い中、それをしなくていい私たちは少しだけ早く並べた。

 おかげで、注文までは思ったよりも早く済ませれた。

 けど、注文時に渡された控えの番号がなかなか呼ばれなかった。


 というか、私達よりも前の人もまだ見たいで、どうやら注文の数にキッチンのほうが間に合ってないみたい。

 なので、氷柱姉と樹が残って私たちは先に満さんたちの元に戻る事になった。

 2人に任せるのは申し訳なかったけど、氷柱姉がもう少し我が儘に生きるべきと言って無理やり押し出した。

 ここで辺に抵抗すれば周りの迷惑になりかねないから、仕方なく戻った。


「あれ?ご飯は買ってこなかったの?」

「注文はしたんだけど、調理が間に合ってないみたいでまだまだ掛かりそうだから戻ってきたんだ。」

「そうなんだ。それならこっちに座って、ご飯をもらいなよ。私もちょっともらったんだけどおいしかったんだよ!」

「確かにおいしかったな!」

「先輩、ささこっちに来てどうぞ!あの人、バクバク食べるので急がないとなくなってしまいます!」

 

 美和ちゃんが開けてくれた空間に腰を落とす。

 お皿と箸を満さんが渡してくれて、美和ちゃんがさらにどんどん継いでくる。

 殿様になった気分だ。


「あの人加減を知らないんですよ!なので、先輩どんどん食べてくださいね?」

「ありがたくいただくね。」


 盛られたご飯に手を付ける。

 前に美和ちゃんの手料理を食べたけど、その時より断然おいしかった。

 もしかして、料理の練習を頑張ってるのかな?


「これは美和ちゃんが?」

「満先輩と一緒に満先輩のお母さんに見てもらいながら頑張ったんです!」

「何、意外かしら?」

「うん。満さんって、料理する必要ないぐらいお金持ちの家だから、料理人に作らせるイメージがね。でも、今日の料理どれもおいしくて素人って感じじゃない!」

「私は料理するからね。」


 意外な情報だ。

 満さんが料理する姿なんて全然想像できない。


「買ってきたわよ。百々ちょっとそっち持って。」

「はいはい。」


 氷柱姉と樹が戻ってきた。

 ご飯を食べて盛り上がっているタイミングでちょうどよかった。

 私たちが選んだものを満さんたちとも共有しておいしくいただいた。

 けどやっぱり、満さんと美和ちゃんの料理がおいしくて、私もご飯を作ってくるべきだったなと思った。


「午後からは何をしよっか?」

「さっきと同じ場所でいいかなって思ってたんだけど、もしかして向こうに行きたかった?」

「バレー出来るようにボウルの浮き輪を持ってきたんだよね!」

「いいんじゃない?」

 

 午後からは流れないプールに入って、バレーボールをすることになった。

 こっちのプールははしゃいで遊べるように水位が低くて私でも立っていられる位だった。


「チームはどうする?じゃんけんでいい?」

「問題ないと思うよ?」


 グーチョキパーでそれぞれ好きなものを出した。

 すると、思ったよりきれいなチーム分けが出来た。


「なんでこんなチームに!先輩と一緒がよかったです!」

「そうはいっても決まったものはね?」

「で、でも、怖そうです。」

「大丈夫だよ。氷柱姉と百々は運動できる方だし。」


 チームは、私・満さん・黒瀬、樹・永久・神事、氷柱姉・百々姉・美和ちゃん。

 きれいな感じに分かれた。

 けど、美和ちゃんは大学生二人とのチームに恐怖を抱いてる。

 理由は、明白ではあるけれど、それを加速させるように氷柱姉は苛ついていた。

 多分、私と同じチームになれなかったからかな?

 一緒のチームになるって意気込んでたけど、結局ならなかったから大変そう。


「まずは、男子チームと大学生&美和ちゃんチームからだね。」

「両方とも頑張ってね!」


 お手並み拝見というところで、試合が始まった。

 永久のサーブから始まって、かなり緩い入り。

 けど、氷柱姉と百々姉はレシーブの後速攻でアタックを仕掛けた。


「ぐへっ!?」

「ちっ。外した。」


 氷柱姉のアタックしたボールは神事の顔に当たった。

 そして、ふいの舌打ちに恐怖すら覚える。


「ごめんなさいね。つい力を入れすぎたわ。」

「だ、大丈夫っす。」


 明らかに痛みを耐えながら言っていた。

 そして、神事が大丈夫となると、百々姉がサーブを打つ。

 明らかに永久のサーブより速いボールが樹の顔めがけて飛んでいく。


「あ、あぶない!?」

「おっと…!」


 私が叫んだと同時に、樹は後ろに下がって腕でレシーブした。

 何とか対処したからいいけど、さっきから2人のプレイが危ない。


「ちょっと、当てるならちゃんとしなさいよ!」

「氷柱ちゃんも外したじゃんか!」

「あれは腕試しだからノーカンよ。」


 プレーの合間に2人が喧嘩を始める。

 そのすきに神事がサーブを打って、なんとか美和ちゃんがフォローしよーとするけどスカしてしまった。

 ある意味バランスが取れたチーム同士の戦いだ。


「2人に注意すれば大丈夫だから、落ち着いて行こう。」

「了解!」

「が、頑張るよ。」


 男子チームは樹を中心に結束していた。

 氷柱姉たちは、点を取られて少しは冷静になったけど、毎回けんかになって、その間に点を取られてる。

 そして、毎回スカしてしまう美和ちゃんが怒られないかと覚えて不憫だ。

 そしてついに、美和ちゃんのもとに氷柱姉が行った。

 

 何を話していたのか分からないけど、その話の後、美和ちゃんの動きが変わった。

 全身から変なオーラを放っているみたいで、動きにキレが出ててた。

 

「何を言われたんだろう?」

「きっとろくでもないわね。」

「そうだと思う。」


 満さんも黒瀬も同じ感想だった。

 後で変な事がないといいけど。


 試合が続くと、明らかに男子チームが押され始め、樹たちも本気を出し始めた。

 素早く動くボールが何度も相手のコートに飛んでいき、ラリーがすごい続いていく。

 けど、やっぱり試合は終わるわけで、氷柱姉たちが勝った。

 かなり僅差ではあったけど、美和ちゃんも大喜びで楽しそうだった。


 そして、私たちのチームは両方から手を抜いてもらっゆったりとした試合をさせてもらった。

 さすがにあの試合みたいな動きは私たちにできないからだ。


 何度か試合をすると、さすがに体力が無くなって帰宅することになった。

 バレーでクタクタになって帰るときはかなり眠たくて、揺られる電車の中では美和ちゃんと一緒に眠ってしまっていたらしい。

 電車を降りるときに、起こされて、ちょっと涎を垂らしかけていたので危なかった。


「息抜きにはよかった?」


 家に着くと、氷柱姉が心配そうに顔をのぞき込んできた。

 そんなに心配されることかと思ったけど、朝はかなり態度が悪かったのを思い出して、ちゃんと言葉にしないといけないと思った。

 

「うん。氷柱姉が誘ってくれたおかげだよ。……本当にありがとう!」

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